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2006年度研究会報告

第15回(2006.7.7)

テーマ 『恐怖を原動力とするアメリカ文化』
報告者 ウェルズ 恵子(文学部教授)
報告の要旨

ウェルズ恵子氏の発表は、特定の集団に対する群集の恐怖をあおうことによって国家の統一性を図りながら、それに対する抵抗力として大衆文化を生み出してきたアメリカ文化の特異性をめぐるものであった。

ウェルズ氏は、アメリカでの恐怖心理に煽られた群衆のパニック的な行動(魔女狩りやリンチなど)歴史を概括され、とりわけ、南北戦争後の黒人達への白人か下層階級の恐怖と文化差別的な対応の過程を丹念に説明された。

つづいてこのような群集心理の恐怖の力学に抵抗する大衆文化の例として、ジョンソンとオダムによる黒人霊歌集を取り上げられた。これらの黒人霊歌集に現れる宗教的なイメージ、永遠の自由として死と恐怖としての生という転倒したイメージの中で、虐げられた黒人達が心理的な解放感を経験していたことが示され、特定の集団への差別的な対応とそれに対する抵抗が大衆文化を生み出す過程が見事に描き出された。

報告終了後、イタリア移民の存在に対して、近代国家権力の構造に関して、ネガティブな心理に関して、多くの質問が寄せられ、有意義で実り多い応答がなされた。

加國尚志

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