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2006年度研究会報告

第2回(2006.7.14)

テーマ 「『戦時社会政策』の再検討」
報告者 高岡 裕之(関西学院大学)
報告の要旨

昭和戦時期の日本で厚生省が設立され、「戦時社会政策」が展開されたことはよく知られている。「戦時社会政策」に関しては、同時代からの長い研究史があるものの、その全体像はいまだに把握しがたい状況にあるといわざるを得ない。歴史学におけるファシズム国家研究では、「戦時社会政策」がほとんど問題とされず、他方、社会政策学や社会福祉学などからの研究はそれぞれが枠組みを異にするため、全体としての像を結ぶものではなかった。他方、近年では戦後社会科学のパラダイムが批判されるなかで、戦時動員体制を通じて日本でも「福祉国家」(ないしその骨格)が形成されたことを強調する研究が登場するようになったが、それらが「戦時社会政策」に関して、具体的に新たな知見を提示している訳ではない。

以上のような現状把握に立ち、本報告では、最近発表した論文(「戦時動員と福祉国家」『岩波講座アジア・太平洋戦争3』岩波書店、2006年1月)を前提としながら、「戦時社会政策」を考える上で必要な基本的視角について、厚生行政のあり方を事例としつつ、問題提起を行った。

高岡裕之

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