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2018年12月1日 講師:松原 洋子

優生保護法問題からみる医療の倫理

 現在日本では、人口減少対策が大きな課題になっています。それでも政府は、「産めよ増やせよ国のため」とは言えません。子どもを産むか産まないか、産むとすればいつ何人産むのかは、個人やカップルの権利であるという考え方、すなわちリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を、無視することができないからです。 リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、国際的に支持されている人権概念です。個人による生殖の決定を、なぜあえて「権利」と認めなくてはならなかったか。それは、「産む産まない」をめぐって、人々が非人道的に扱われてきた歴史があるからです。 日本では、「不良な子孫」の出生防止を掲げた優生保護法が1948年に公布され、1996年まで施行されていました。同法のもとで、約16,500人が不妊手術を強いられたと記録されています。優生保護法では、医師が強制不妊手術を申請することになっていました。優生保護法に医師や保健行政がどのように関わったのか、そもそもこのような法律がなぜ戦後施行されていたのか。この講座では、優生保護法問題を通して医療の倫理を考えます。


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