立命館土曜講座 開催講座一覧


2020年12月12日 講師:遠藤 英樹

ウィズ=アフターCOVID-19の観光――その可能性と課題

 現代社会は、人、モノ、資本、情報、データ、イメージ、観念、技術等がたえず移動する世界を現出させた。だが、現代の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の状況では、国境を越えていくようなモビリティなどなくなったのではないか、と思う人がいるかもしれない。その通りである。しかし、だからこそ現代はモビリティの時代だと言えるのだ。現在のように観光をはじめ人のモビリティがとまってしまっているのは、ウイルスが世界中を移動し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックに流行してしまったためである。そして、そのように新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がグローバルなかたちでパンデミックに流行したのは、人やモノのモビリティを介してなのである。いわば観光は世界に対して、ウイルスによるリスクを贈与(ギフト)したのである。では観光は、もはや、ないほうが良いものなのか。実は観光には、今後の社会を形成するうえで重要な可能性が秘められている。そこで本稿は、観光が今後、①「どのような形態をもつようになるのか」、②「そのなかで、どのような意義をもつのか?」を考える中で、「贈与」「地域」「デジタルテクノロジー」をキーワードとして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以後の観光の可能性を描写したい。

■所属 立命館大学文学部 教授   

■主な著書・論文
  Hideki Endo (ed.)(2020)Understanding Tourism Mobilities in Japan
   [Series: Antinomies: Innovations in the Humanities, Social Sciences and Creative Arts] Routledge
   『ワードマップ 現代観光学――ツーリズムから「いま」がみえる』
   (遠藤英樹・橋本和也・神田孝治編著、新曜社、2019)
  『ツーリズム・モビリティーズ――観光と移動の社会理論』(遠藤英樹、ミネルヴァ書房、2017)

前のページに戻る

このページのトップへ