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  • 将棋への愛着

文学部 香川愛生(第35・36期女流王将)

将棋で泣いて、将棋で笑う。
将棋愛なら、誰にも負けない。

負けた瞬間、人目もはばからずに泣いた。
「コテンパンに負けたのが悔しくて、悔しくて」。
小学校で、何気なく指した将棋が彼女の人生を変えた。
母に直訴し、近所の将棋教室に通いはじめた。根っからの負けず嫌い。
常に上位を目指し、12歳で「女流アマ名人戦」に優勝、当時の最年少記録である
15歳でプロの女流棋士になるまでに。しかし、プロの世界は甘くはない。
全く勝つことができず、悔し涙にまみれた。
「ゼロから将棋を見直したい」と生まれ育った東京を離れ、全国一、二位を争う
実力者揃いの立命館大学に進学する。「違った環境に来て改めて、
負けず嫌いだということと、将棋が心底好きだ、ということがわかった」と彼女。
生まれ変わった彼女は、6大タイトルの一つ「女流王将」を20歳で獲得。
人目もはばからずぽろぽろと涙する彼女の顔は、笑顔だった。
そして今年10月には、初防衛にも成功した。
これまでの悔し涙を、嬉し涙に変えていく番だ。