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  • 母国の経済発展のために

国際関係研究科 Abeer Salih

「融資を受けることは恥」。
スーダンの発展を阻む誤解を解きたい。

「イスラム法に反した融資なんて受けるわけにはいかない」
現地運営者の誤解の多さを、自らのフィールドリサーチで知った。
彼らは融資を恥と考え、手持ちの資金のみで運営。
厳しい担保条件、申請の複雑さ、ずさんな財務管理も加わり、
銀行から融資を受けたことがある企業は2割にも満たなかった。
スーダンの経済状況の底上げには、中小企業の発展が不可欠。
しかし、政府も指針を打ち出せず、企業の基本データもない。
彼女は1社1社現地企業を訪問し、従業員数の諸情報などから融資を受けない理由に至るまでリサーチ。
時には門前払いを受けながらも194の企業から回答を得た。
その結果、企業はまず銀行口座を開設し財務管理をすること、
銀行は担保緩和など融資をうけやすい環境の整備、
そして、政府は中小企業庁を立ち上げ、
融資は法に則したものであることの認知拡大が必要という改善点に行きついた。
三者の歯車が噛み合えば、スーダンの経済は上向くはずだ。
この10月、2年の修士課程を経て彼女はスーダンの財務省へ。
彼女の足でつかんだリサーチが、実施される日がくるに違いない。