08.27


2013

被災地研修(後編)

キャンパスアジア担当教員 廣澤 裕介

被災地研修(後編)

キャンパスアジア担当教員 廣澤 裕介

 8月3日には、石巻からバスで出発し、南三陸町、気仙沼市、

陸前高田市を車窓から見ながら進み、大船渡市で研修を

おこないました。大船渡市では市役所を会場にして、市役所

職員と教育次長さんから、大船渡市の被害状況と復興計画に

ついて、また震災と文化財について講演をしていただきました。

大船渡市は立命館大学と復興に関する協定を結んでおり、また

時を同じくして大学から支援ボランティアのチームが来訪して

いました。講演していただいた教育次長さんも本学の文学部

東洋史学専攻を卒業した校友です。

 講演では、大きな災害にあったとき、行政は復興のために

どのような期間でどのような方針で、具合的にどんな計画を推し

進めてゆくのか、みずからが被災者である職員がどのような

気持ちで公共のための仕事をしているのか、また文化や歴史を

守りながら市民とともにどうまちづくりをしてゆくのか、文化財を

守るための地域や全国のネットワークなど、お話しいただきました。

学生からの質問を交え、公務員として、または個人としてさまざまな

見地から貴重なお話を聞かせていただきました。


 


 講演のあとには、大船渡駅周辺に移動し、商工会議所主催の

お祭り「三陸・大船渡祭り」を見物しました。被災した建物が残るなか、

たくさんの市民の方々が笑顔で参加しており、学生たちは地元の

団体や企業が参加する盆踊りを見たり、お祭りグルメを味わいました。

立命館のボランティアグループも盆踊りに参加してました。

 夜は立根地区公民館にお世話になり、近くの富山温泉で汗を流した

後、研修終了のミーティングをおこない、3日間の研修で学んだことを

話し合いました。現在の東北の現実に向き合って感じたことや考えたこと、

東北に来る前と後の心境の変化、ここで暮らす人たちから聞いたこと、

東北の人たちの強さに感動したこと、これから自分が何ができるか

などなど、言葉を詰まらせ、涙を抑えきれない学生もいました。中国・

韓国の学生だけでなく、日本の学生も、なぜ東北に来て、自分の目で

見なければならないのか、この研修の意味を深く理解できたようです。

 自分が見た東北のことを、自国に戻って、また自国以外でも、

たくさんの人に伝えて欲しいです。そして、このまなびが、万が一の

場合への備えとなり、学生たちが困難な場面で、さまざまな人を

思いやりながら、リーダシップを発揮してくれることを期待します。



 8月4日は早朝の6時に公民館を出発。東北の山々や北陸の海を

臨みながらバスは進み、京都のシェアハウスには午後9時半ごろ

到着しました。

 この研修には、実に多くの方の協力がありました。南三陸町観光

協会、大船渡市、さまざまなボランティアサークル、NPO、立命館復興

支援室ほか、個人でお世話になった方も多く、みなさまのおかげで

学生たちには忘れられない学びができました。深く感謝をいたします。


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