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2019.08.26

PFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワード2019入選 映像学部卒業生田村将章監督を直撃!

PFF(ぴあフィルムフェスティバル)をご存知でしょうか?


この映画祭は、“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに、1977年にスタート。現在では、単なる映画祭の枠に留まらず、映画コンペティション「PFFアワード」を中心に、“新しい才能”を発見・紹介し、育成していくなどの活動をおこなっており、映画業界をめざす者にとってここでの入選は将来をも占う非常に意味のあるものとなっています。アワードでグランプリ等を受賞すれば、そのうち1名がスカラシップ権を得ることができ、2年間じっくりと映画制作に打ち込むことができます。


そして去る7月1日、「第41回ぴあフィルムフェスティバル」(以下「PFF」)のコンペティション部門「PFFアワード2019」の入選作品が発表され、映像学部4回生(川村ゼミ)金子由里奈監督『散歩する植物』と、映像学部卒業生(2019年卒、鈴木ゼミ)田村将章監督『そんなこと考えるの馬鹿』見事入選を果たしました!!


PFFでは2019年9月7日(土)~21日(土)に国立映画アーカイブにて映画祭が開催され、金子監督・田村監督作品をはじめとするコンペティション部門「PFFアワード2019」入選作品や招待作品など40作品以上が上映されます(ちなみに、同日・同会場にて金子・田村両監督作品が観られるのは9月14日[土]です!!→上映スケジュール)。

そして、9月20日(金)にいよいよPFFアワード2019の受賞者発表、授賞式がおこなわれます!
7月9日にこの「EIZO VOICE」で金子由里奈監督のインタビューをお届けしましたが、今回は卒業生の田村将章監督のインタビューが到着しました!監督の映画への熱量が伝わってくるものとなっています!映像学部で映画を制作している方にも読んでいろんなことを感じていただけたらと思います!



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Q1.入選の一報を受けた時の率直な感想をまずは教えてください。

発表の一週間ほど前にPFFディレクターの荒木さんから電話があって入選したと知りました。発表当日は寝たのが朝だったので、昼頃に金子からの電話で起きました。そのときは寝ぼけていたので気の利いた返事ができなかったのですが、「PFF目指そう」というのはお互いに何度も言ってきたことだったので、それが現実になったんだなと思うと感慨深いです。


Q2.「ぴあフィルムフェスティバル」に応募した理由、田村さんが考える若手映画監督としてPFF入選・入賞する意味はどんなものでしょうか。

PFFは世界最大級の自主映画コンペとも言われる通り、非常に知名度が高く歴史も長いです。多くの人に観ていただき意見をもらうためには一番だと考えて応募しました。入選・入賞することの意味も、まずはそこにあると思います。あとは今後次第です。


Q3.今回入選した作品「そんなこと考えるの馬鹿」はどのようなきっかけで制作したどんなお話ですか。

認知症で徘徊癖のあるおばあちゃんを探す男女の夏休み……という映画です。

重要なのは、おばあちゃんが透明人間だということです。ジャンル映画の歴史を見ても、田舎+夏+SFというのは相性が良いので、僕もやりたいと思っていました。透明人間という題材は、小津安二郎の映画(どの作品かは忘れました)を観ているときに思い浮かびました。具体的に言えば、小津映画ではよくあるのですが、「誰もいない廊下」を写したショットを見たときです。誰もいないのに確かに人の気配を感じるのが凄いのですが、こういう不気味なものをやりたいと思いました。そこからストーリーなどを考え始めるのですが、兎にも角にもきっかけは恐らく小津です。

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Q4.39PFFで入賞された松浦さん、今回共に入選した金子さん、そして田村さん、皆さん立命館大学映像学部生であると同時に、立命館大学映画部でもあります。田村さんが映像学部に入学した理由、また映画部に入った理由を教えてください。

映像学部に入った理由は、映画をやりたいと思ったからです。ところが、入ってみると映画の話ができる人が案外少ないことに気付きました。全員が映画をやりたいと思っているわけではないので仕方がないことなのですが。とはいえ、金子とは入学して間もない頃に黒沢清という監督の話題で盛り上がったこともあり、そのときは少しホッとしました。映画部に入った理由は、先輩たちが作った映画の熱量とユーモアに感動したからです。あとは、本当に「映画」が好きな人たちが集まっているなと素直に思えたからです。

 

Q5.映像学部での学生生活はいかがでしたか。

僕は映像学部で映画制作を中心にやってきたので、その範囲での所感にすぎないのですが、多くの人が「うまくやろう」とか「教科書通りやろう」ということを意識しながら映画を作っている気がします。そうして出来あがった作品はたしかに「ちゃんと観れる」ものに仕上がってはいますが、それに対して疑問を抱く人は少なかったように思います。映画の歴史は「教科書通りやらない」ことの積み重ねで出来ていると僕は思っています。とはいえ、僕が映画部で作った映画よりも圧倒的に多くの人が映像学部の「ちゃんと観れる映画」を観に行っていたので、お客さんにとってはどうでもいいことかもしれないのですが……

あ、そうは言いつつ映像学部には刺激的で面白い作品を作る人たちがいることも事実なので!僕が尊敬している同期・先輩・後輩も何人かいるので、この点は強調しておきます。

 

Q6.卒業後はどんなことをされていますか。また今後どのような活動をされる予定でしょうか。

今は映画館のバイトです。今後も映画を作っていきたいと思っています。透明人間をやったので、次は狼男とかミイラ男を考えています。ドラキュラやフランケンシュタインも良いですが。あとは、ドッペルゲンガーの話もやりたいです。

 

Q7.最後に、PFFでの上映を観に来る方々へ、映画の見所などメッセージをお願いします。

突飛なストーリーなので最初は戸惑うかもしれませんが、実のところ普遍的なテーマを扱ってもいます。夏休みを描いた映画は数多くありますが、個人的にああいう映画は夏が終わったころに観るのがベストだと考えています。その点でいえば『そんなこと考えるの馬鹿』を9月に観るのは最適なタイミングです。ぜひご覧ください。


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映像学部には、映画をはじめとする映像へのいろんな思いをもった人がたくさん集まります。田村監督はそのいろんなカラーの中できっと葛藤し、自分と向き合い、他色をみつめ、混ざり合い、はじき返しながら、自分にしか出せない「色」を創ってこられたのではないでしょうか。

卒業後関東にお住まいの皆様、立命館関係者の皆様、そして田村監督のように映画を愛する在学生の皆様、9月7日からはじまるPFFの映画祭で是非、そんな色とりどりな監督たちの「今」を観てみてください!!

田村監督、ありがとうございました!

映像学部はこれからも監督を応援しています!!

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