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2014.10.20

日台合作映画『南風』のプロデューサートークショーをシアター型教室で開催しました

日台合作映画『南風』のプロデューサートークショーをシアター型教室で開催!

 

京都の立命館大学映像学部で10月9日(火)、日台合作映画『南風』のプロデューサートークショーがおこなわれました。
 冒頭では『南風』がプロデュースされた経緯について大和田氏が説明。最初は、台湾新竹にある中華大学観光学院の張馨文先生から企画案を得たことが制作のきっかけだったとのこと。
「台湾のサイクリングロードを中心にしたストーリーに」との依頼から、台北の女子高生トン・トンと東京の出版社で働く26歳の風間藍子を中心に台湾各地をサイクリングしながらまわるロードムービーを作り上げました。
 このように日台の撮影現場には様々な違いがあったものの、制作自体はスムーズにいったという。
これは「台湾の観光を意識する」という視点がまずあったためであり、企画立案当初から日本の視点で進めることが出来たからとのことです。

 本作でこだわりのシーンは「全編にわたって描かれる美しい台湾の情景」と大和田氏。撮影をするうえでも各シーンが綺麗になる時期を厳選して撮影に望んだとのこと。
雨も台風も多い熱帯地域だけにこういったこだわりを追求するのは大変だったと述べました。
 このこだわりを確かなものにするために採用した撮影監督が長田勇市氏。同氏は『探偵濱マイク』 『ウォーターボーイズ』など数々の作品に携わってきたベテラン撮影監督ですが、短い時間で美しい情景を数多く撮れる技術力を見込んで採用したのだと言う。
ロードムービーの特徴は、移動日程がタイトなことから撮りこぼしを翌日再撮影することが不可能であるということ。
つまり撮れなかった時点で終わりということです。従って、撮影準備などは迅速に行う必要があります。本作で長田氏に御願いした結果、厳しい撮影スケジュールであったのにも関わらず、撮りこぼしはほとんどなく、編集後に必要となった追加撮影シーンもわずかだったと言う。

 また、今回登場するロケーションに関して、もともと九份は、シーンに入っていませんでしたが、ロケハンのときそのあまりにも神秘的な情景から、シーンとして入れたいとの萩生田宏治監督の強い薦めで入れずにはいられませんでしたと朱氏。ただ、山頂であるため、サイクリングで登るのは無理なので省いています。
これについては「バスですら登るのに苦労していた」と大和田氏。しかしこのシーン以外は、ロケハンの際、実際にサイクリングしながら場所を選んでいったとのこと。
また、映画としてストーリーを成立させるために、主人公にとっての目的地を選ぶという視点で白羽の矢が立ったのが日月潭。藍子とトントンがそれぞれの目的を持ってこの地を目指すという設定にしたという。

 キャスティングについては、日本の俳優について、作品の世界観や年齢という点で黒川 芽以さんに依頼しましたが、台湾のキャストについてはオーディションを採用したという。
このキャスティングオーディションについて、朱氏は日本の場合、有名な俳優と無名俳優では別枠でオーディションをするが、本作では、メインとエキストラの双方のオーディションを一度に実施したとのこと。
また脚本が無い状態だったのにも関わらず、台湾の若手の中では人気も実力も伴った俳優が数多く来てくれたとのこと。結果として、注目の若手俳優であるテレサ・チーやコウ・ガが参加することとなり、芝居も非常に際立ったものになったと朱プロデューサーは満足そうに答えました。
 このように「台湾の観光を意識した作品を企画して欲しい」といった課題を端緒に、エンターエンターテインメントとして作品を完成していった様はプロデューサーを目指す受講生や来場者にとってはケーススタディとして正にピッタリだったと言えます。

『南風』は現在京都シネマで上映中です。中華圏の中でも随一の親日地域として知られる台湾ですが、サイクリングの名所としての同地域については意外に知られていないのではないでしょうか。これを台湾人、日本人それぞれの女性の成長を感じながら同時にワンシーンごとに描かれる台湾各地の情景は一見の価値がありますので、是非ご覧ください。

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