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2018.04.23
映像学部「メディアアート」の世界へようこそ!
映像学部「メディアアート」の世界へようこそ!
「メディアアート」って何かを語れる人はどれくらいいるでしょうか。
メディアアートは「ニューメディアアート」とも呼ばれ、従来の美術とは違った新しい媒体(ニューメディア)を使った芸術的表現のことを言います。何かを表現するためには、必ず「媒体」が必要です。例えば、従来の美術でいうと、「キャンバス」を媒体にした絵画による芸術表現がその代表的なものですが、メディアアートは「媒体」をそんなキャンバスから「スクリーン」・「コンピュータ」・「壁」・「服」・「空間」など新しいものに移し、新しい技術を使って何かを表現する、無限大の可能性に満ちた芸術といえるのではないでしょうか。
映像学部でメディアアートを学ぶ学生の作品を見てみてもその無限の可能性を感じることができます。
それぞれの作品にはセンサーやプログラミングなどの装置・技術が用いられています。プロジェクションマッピングの登場は、私たちにメディアアートをより身近なものにしてくれた一つの出来事と言えると思いますが、様々な発想や技術を学びながら既存の映像の枠組みを広げ、これからの映像や新しい表現を開拓し、「今まで見たことなかった」「これも映像の可能性なんだ」という映像学部生の挑戦は、メディアアートという分野においても行われています。
ただ、技術によって表現媒体や表現方法がめまぐるしく変わる芸術なので、「メディアアートって何か?」を語るためには、日々学び続けることがとても重要です。
今回はそんなメディアアートについて学ぶ映像学部の授業「メディアアート論」(望月茂徳准教授)にお邪魔し、ワクワクするようなメディアアートの世界を体感してきたので皆さんにもご紹介します!
2回目となるこの日の授業では、古代から近現代に至る「アートとは何か」という問いかけに対する様々な見解や、表現する媒体の変遷について学び、映像を「光を用いた表現」として捉えなおしてみることについて学びました。特に、「カメラ」の誕生とそれを媒体にした実験的な表現の取組みは、メディアアートを学ぶ上で非常に重要なポイントになるようです。
「では、実際に皆さんも『光の芸術』としてのメディアアートを体験してみましょう」
授業の中で、「長時間露光」によるアートを受講生みんなで体験することになりました。教室内を暗くし、あらかじめ受講生に持って来るように伝えられていた「スマホのライト」や「ペンライト」を全員で灯します。
「長時間露光」というのは、カメラのシャッタースピードを遅く (シャッターが開いている時間を長く)して撮影する方法のことを言います。特別なアプリなどは必要なく、シャッタースピードを調整できるカメラを使用しておこないます。
この体験の前に、「長時間露光」写真を膨大に撮影し、それらを更にコマ撮りでつなげてアニメーションにした映像が授業内で紹介されました。
目に見えない光の軌跡を操り、頭の中のイメージを光の線で表現するのはとても難しい技だと思いますが、それを見事に見せてくれています。
さすがに時間が限られているため、コマ撮りでつなげることはできませんが、「光の芸術」をその場で体験する受講生の皆さんはワクワクした表情をしています。
「それでは、左の列の皆さんから、約5秒で好きな絵を光で空中に描いてください。ライトをつけたまま一筆書きに描いてしまうとすべてがつながってしまうので、離れた線を描く時はライトを点けたり消したりしながら描いてみましょう。」カメラを構えた望月先生が5秒数えつつ撮影します。
スクリーンに映った画像を見ると、「LOVE」の文字がくっきりと暗闇に浮かんでいます!この完成度には「おおっ!」と歓声があがります。
先生は「ライトを動かしているときは何を描いているかわかりませんが、カメラの長時間露光を活用すれば、ライトの光の軌跡が絵として浮かび上がってきますよね」と受講生に確認し、「つまり、テクノロジーを使うことではじめて可能になる表現があるということ、あるいはこんなテクノロジーの使い方もあるんだということを発見することが、まずはメディアアートの醍醐味です」と説明されました。
受講生の皆さんを、たった数分の体験でこんなにも表情豊かにしてしまう「メディアアート」の世界。技術の進歩に常にアンテナを張り、自分なりの表現「媒体」を探したり作り上げていくことってワクワクしますね!望月先生の「メディアアート論」が映像学部生に人気の授業であることに納得です。
今後はこの授業を通じて、映像表現の幅の広さと独自性について自覚し、世の中の作品を能動的に見ることができることを目標とし、新しいメディア表現と技術・技法、多様な考え方との関わりについて知見を広げ、異なる視点で物事を捉える姿勢を身につけていきます。
今後の授業展開が楽しみですね!