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篠田剛准教授、宮本十至子教授が共編者として編集・執筆された『デジタル時代の税制改革――100年ぶりの国際課税改革の分析』が刊行されました
経済学部の篠田剛准教授、宮本十至子教授が共編者として編集・執筆された『デジタル時代の税制改革―100年ぶりの国際課税改革の分析』(ミネルヴァ書房)が、公益財団法人租税資料館の第8回(2024年度)出版助成を受け、2024年9月に刊行されました。
経済のデジタル化は経済社会のあらゆる面に影響を与えていますが、国際連盟の時代に形成された国際課税ルールもデジタル化への対応を迫られています。2021年10月のG20会合において、経済のデジタル化に対する「2つの柱に基づく解決策」が最終合意されました。新たな国際課税ルールの「第1の柱」については実現が危ぶまれているものの、「第2の柱」のグローバル・ミニマム課税については日本も含め既に多くの国で実施に移されています。本書は、2021年の国際合意とその後の展開を踏まえて、あらためて既存のルールの歴史的評価や理論的評価を行い、新ルールの意義と限界を明らかにしようとするものです。
編者らは、こうした国際課税改革の意味を真に理解するには経済的な側面と法的な側面の両面からアプローチする必要があると考え、財政学を専門とする研究者と租税法を専門とする研究者との共同研究の形をとってきました(共同研究の一環として、立命館大学経済学会セミナーを開催したほか、社会システム研究所の研究助成も受けてきました)。財政学者と租税法学者による学際的な共同研究という点は、本書の一つの大きな特徴となっています。
新ルールについては、仮にその全面的な実施が挫折したとしても、今後も参照される歴史的な意味を持つものであることは疑いありません。国際課税は変化の激しい時代を迎えていますが、変化の本質を理解する一助として多くの方に読んでいただければ幸いです。
はしがき
序 章 新しい国際課税ルールの内容,その意義,直面する課題,そして税収効果(諸富徹)
第1章 経済のデジタル化と「市場国」への課税権配分を巡る論理の変遷(篠田剛)
第2章 利益Aに係るデジタル課税の意義と課題─移転価格税制の経験を踏まえて(江波戸順史)
第3章 グローバル・ミニマム課税における所得合算ルール(IIR)─税法と会計の関係(中嶋美樹子)
第4章 TCJA2017におけるアメリカ法人税の国際課税方式の変更に関する議論とその影響(吉弘憲介)
第5章 グローバルタックスガバナンスへのアメリカのパワーの影響─「BEPS2.0」第2の柱を素材として(松田有加)
第6章 EUにおけるGloBEルールの受容─ドイツでの国内法制化を中心に(辻美枝)
第7章 BEPS2.0第2の柱におけるGloBE情報申告書の意義と手続保障(金山知明)
第8章 経済のデジタル化に伴う国際課税の動向と課題(宮本十至子)
あとがき
人名索引/事項索引
諸富徹・宮本十至子・篠田剛 編著
『デジタル時代の税制改革―100年ぶりの国際課税改革の分析』
ミネルヴァ書房 2024年9月刊行
ISBN:9784623098132
A5・312ページ
定価4,620円(本体4,200円+税)
<購入リンク>
ミネルヴァ書房
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