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TOPICS & EVENTS

02.28

TOPIC

2023

関麻衣先生が行った研究の成果が学術雑誌 Oxford Bulletin of Economics and Statistics に掲載されました

230228sekiBRAC小学校の自学自習の算数の時間(正課外の取り組み)の様子

関先生の論文は以下から入手できます。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/obes.12545


SDGsでは「4.質の高い教育をみんなに」というゴールを掲げています。このゴールを達成するために必要な研究とはなんでしょう?どんな教え方・学び方が効果的だろう?という問いがまずは思い浮かぶと思います。次に、そもそもこども達はどうやって学びを深めているのだろう?とさらに深い問いへと考えが広がるはずです。今回、私は共同研究者の河原崎耀さん(University College London and Institute for Fiscal Studies)、澤田康幸先生(東京大学)、およびMinhaj Mahmud先生(Asian Development Bank)と共に、日々こども達が教室の中でどのようにお互いから影響を受けながら学びを深めているのか、因果推論を用いた実証研究を行いました。

この論文の舞台はバングラデシュのBRAC小学校で行われた自学自習プログラム。教室で繰り広げられる一種の「スピード競争」が児童の学習成果に及ぼす影響を調査しました。クラスメイトの課題の回答提出時間が速いとプレッシャーで悪い影響が出る可能性がある一方、やる気を引き出す効果も考えられます。分析結果によると、悪影響を及ぼすよりも、回答時間が短縮し正答率がアップするというポジティブな効果の方が強いということが分かりました。これは各児童が自分に合ったレベルの課題に取り組んでいるというこの自学自習プログラムの特性からくるものかもしれません(誰もが一番早く回答を提出できる可能性がある)。他の国や別の学年でも同じ効果が見出せるのか、追加分析が期待されます。

皆さんもぜひ、SDGsゴールの達成に資するような研究に、卒業論文や修士論文、博士論文で取り組んでみてください。そういった研究の積み上げが、明日の政策をより良い方向に変え、世界のこども達の未来を変える力になります。

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