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TOPICS & EVENTS

08.26

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2024

【寺脇ゼミで「演習II」の研究成果報告会を開催しました】

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私たちのゼミでは、「演習II」の中で取り組んだ研究成果を発表し合う研究成果報告会を7月30日に開催しました。この報告会では、秋学期から新たにゼミに参加する2回生を招き、40人を超える参加者の中で、4つのグループがそれぞれ以下のテーマで研究成果を報告しました。

・古着に対する支払意思額と環境情報提供効果
・規格外野菜の適正割引額とは?-変形、キズ、色むらに対する受入補償額の推計から-
・ダイニングレストランにおけるびわ湖の俯瞰景観の価値評価
・歴史景観を楽しむカフェがもたらす観光便益-八幡堀の事例-
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各グループは5月から6月にかけて学外でアンケート調査を行い、得られたデータを統計的に分析しました。今回私たちが得た主要な研究成果は以下のように要約されます。

・ファストファッションを中心とするアパレル産業が引き起こす環境負荷を具体的なデータで示すことで、人々の古着に対する支払意思額は約10.7%上昇した。またその情報提供によって人々が古着利用の社会的意義をより強く認識する傾向も観察され、こうした環境情報提供が人々の古着に対する認識や評価、行動を変え、その市場の拡大に貢献することが結論付けられた。

・変形したトマト、キズがあるトマト、色むらがあるトマト(いずれも中玉、5個入り)に対して人々が最低限割り引いてほしいと思う金額(受入補償額)は、順に24円(基準価格の7.3%)、77円(基準価格の23.6%)、88円(基準価格の27.1%)と計測された。規格外の属性によって受入補償額は大きく変わることとなり、その属性に合わせた価格設定が必要だと主張される。

・びわ湖大津プリンスホテルの37階に位置する「レイクビューダイニング ビオナ」から望む琵琶湖の俯瞰景観は、そこで食事を楽しむ人々に年間約1億8360万円の便益を与えていることが示された。現在琵琶湖周辺の建築物の高さには規制がかけられているが、こうした俯瞰景観の活用を視野に入れ、適切なゾーニングを行いながら部分的にその規制を緩めることの必要性が提案される。

・八幡堀の歴史景観を楽しみながら飲食ができるカフェ「ほりかふぇ」は、その利用者に年間約2780万円、一人当たりでみて約893円の便益をもたらしていることが示された。この一人当たりの便益額は近江八幡市への日帰りの来訪者が市内で支出する娯楽サービス費を上回っており、こうした歴史景観を楽しむカフェはその歴史観光地の観光振興に大きく貢献するものだと主張される。
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質疑では多くの鋭い質問や意見が飛び交い、活発な議論が展開されました。報告会後のアンケートでは、私たち3回生からは「どの班もしっかり準備をしてきたことがわかる良い発表会だった」「各ステップを逆算しながらメンバー全員で仕上げられたことに達成感を覚えた」「他の班の発表を聞くことで新しい発見があり、良い刺激を受けた」「互いを高め合えるような良い経験だった」など手ごたえや達成感、充実感をあげる声が多く聞かれました。同時に「質問に即答する力がまだまだであることに気づかされ、より深い理解と念入りな準備が必要だと思った」「2回生も質問できるような雰囲気作りが必要だと感じた」「他の班の内容を意識することが自分たちのより良いプレゼンにつながることを学んだ」「理解が不十分であったところを今後の論文制作を通して改善したい」など今後に向けた課題もあげられました。
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2回生にとっても良いゼミのスタートを切ってもらえたと思います。アンケートからは「分析方法をわかりやすく丁寧に教えてくださったので、興味を持って聞くことができた」「質問側も着眼点が自分とは全く異なっていて面白かった」「質問とそれに対する回答がとても論理的で圧倒されるものがあった」「たくさんの質問を出し、それに答えることで臨機応変に対応する力が鍛えられるんだなと思った」など私たちのプレゼンに満足してもらったり、質疑の雰囲気に刺激を受けたりした様子がうかがえました。加えて「いよいよ実際に経済学を使って研究をしていくんだということを実感した」「私たちが次にどのような形で発表をしたらよいのか、そのお手本を見せていただけた」「自分がプレゼンするときに真似したいと思える部分が多くあった」「分析手法を身につけるために計量経済学Iで学んだ内容をしっかり復習する必要があると感じた」などこれから始まるゼミ活動に向けて前向きに取り組もうとする姿勢もみられました。
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私たちは現在、上記のグループで得た研究成果をもとに個人で論文を書く作業に取り組んでいます。さらにその成果を発展させたプロジェクトを企画しており、秋学期からの「演習III」の中で実践的に取り組む予定です。引き続きゼミ全体で協力して、今後も社会の発展に貢献する研究成果をあげたいと思います。

経済学部3回生 石津志乃

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