立命館 特集

2019 ATHLETE

Mar 17, 2019

[写真]地域貢献イメージ

REGIONAL
CONTRIBUTION

競技だけではなく、地域の清掃活動やスポーツ教室など、さまざまな活動に取り組む団体を紹介していきます。

[写真]馬術部
  • 馬術部

人と馬がお互いの感情を理解し合い、深めた絆の力を競技で発揮する馬術。嬉しい時も悲しい時も、「馬と一緒にいるときは、どこか心が落ち着き、優しい気持ちになれる」そんな馬や動物たちが持つ魅力を多くの人に伝えるため、2019年11月から保育園児を対象とした馬の触れ合い体験をスタートさせた。

月に一回、平日の9時30分から1時間半、京都市のみつばち菜の花保育園を馬術部の厩舎へ招き、競技馬のにんじんあげや、デモンストレーション、厩舎見学を行っている。比較的大人しい性格のポニーなどと違って、大きく迫力のある競技馬と触れ合ってもらうため、必ず部員が馬の傍につき園児たちの安全確保に注意を払う。馬にとっても園児たちとの触れ合いは慣れないため、馬と園児が安心できる環境をつくる必要があり、手を一緒に食べられないにんじんのあげ方や、馬の近くにいるときは「大きな声を出さない」、「急に走らない」といった注意事項の共有を徹底しているという。初めは怖がっていた園児たちも少しずつ心を開くと、積極的ににんじんをあげたり、馬のお腹を撫でて「温かいね」と無邪気に笑ったりするなど、終始和やかな雰囲気が溢れた。「馬も踊るんですか?歌うんですか?」といった子どもならではの斬新な質問が多く、部員たちは思わず感心してしまうという。

平日開催のため全部員が参加することは難しく、十分な安全確保を行うと現在の少ない部員数では馬との触れ合い時間が限られてしまう。今後はより多くの時間をつくるため、大学の長期休暇中には実施回数を増やしていきたいと意気込む。地域に支えられ応援される部を目指して、馬とともに地域との関係性を築いていく。

[写真]馬と園児のふれあい
馬と園児のふれあい
[写真]馬術部によるデモンストレーション
馬術部によるデモンストレーション
[写真]バドミントン部
  • バドミントン部

子どもから大人まで年齢問わず、幅広い世代の人たちが参加するバドミントン教室「茨木市×立命館バドミントンクラブ」。バドミントンを通して地域住民の健康づくりに繋げるだけではなく、参加者同士がコミュニケーションを楽しめる“交流の場”を提供することで地域活性化に努めている。

教室の始まりは2017年、茨木市の地域活性化事業にバドミントン部の企画が採択されたのがきっかけで、それ以降、地域事業の一環として実施されてきた。月に一回、日曜日の14時から2時間、茨木市に住む小学生以下の子どもから大人まで、約30~40人を対象にバドミントン指導を行っている。準備運動や器具を使ったトレーニングをはじめ、技術レベルに分かれて基礎練習や実戦練習に取り組む。各コートには部員が1人ずつ付き本格的な指導を行うが、指導するだけではなく参加者との打ち合いにも加わることで積極的にコミュニケーションをとるよう心掛けている。部員たちにとっても指導ができる場は、自身の技術や人間力の向上に繋がる貴重な存在。限られた時間を有意義なものにするためテキパキと動く。幅広い世代と接することで部員の社会勉強に繋がる一方で、教室にはいつも楽しい雰囲気が流れ笑顔が溢れているという。教室の終了後も子どもたちが嬉しそうに「相手して!」とお願いしてきたり、毎月の開催を楽しみにしている参加者が増えたりするなど、少しずつ地域との繋がりが深まってきた。

今後、立命館大学のバドミントン部が目指すのは教室を通して地域に浸透し、地域に支えられる存在となること。バドミントンの魅力を多くの人に届けるとともに、地域の笑顔が行き交う場へと育てていく。

[写真]器具を用いたトレーニング
器具を用いたトレーニング
[写真]バドミントン指導
バドミントン指導
[写真]サッカー部
  • サッカー部

「愛し愛されるクラブ」をチームスローガンに掲げるサッカー部が取り組んでいるのは、柏野小学校でのサッカー教室。サッカーの普及や人材育成はもちろん、チームが地域に認められる存在となるよう、部員たちが誠実さをもって関われる“身を正す場”として、自らの成長に繋げている。

週に1回、18時30分から1時間半、20~30人の小学生を対象にサッカー指導を行う。児童が楽しめるメニューを組むだけではなく、それぞれの学びを大切にし「呼び捨てではなくコーチって呼ぼうね」など、全員で作る決めごとを守るよう呼びかけている。2017年、柏野小学校での教室が始まった当時は2週間に1回の頻度であったが、2019年からはカテゴリ別に4チームある部の体制を生かし、各チームから5~6人が交代で担当するよう調整し、毎週欠かさず取り組んできた。多くの部員が参加できるようになり、さらに頻度が増えたことで児童にそれぞれの顔を覚えてもらえると、今度は人気の部員まで出てくるなどより深く親しい関係性が築けてきたという。部として大切にしているのは、部員自身が主体的に動き、学ぶこと。教室の仕切り役や連絡係を後輩から積極的に担当するなど、部員にとって成長できる環境を作り続けている。

また、毎年地域から複数の小学校を招いてミニゲーム大会「原谷カップ」を開催しており、2019年夏にはサッカーボウリングやクイズを親子で楽しむ企画「原谷カーニバル」を初開催。保護者が着いて来られない児童には部員がペアを組み、参加者全員で楽しめた。今年2月に行う原谷カップでは、サッカー部以外のさまざまな体育会も参加予定。チームの成長とともに地域の笑顔を作るため、日々新たな企画を重ねている。

[写真]児童たちとの交流
児童たちとの交流
[写真]原谷カーニバルでのサッカーボウリング
原谷カーニバルでのサッカーボウリング
[写真]ヨット部
  • ヨット部

大きな帆に風を受け、揺れる波の上で雄大な自然を実感するヨット。「チャレンジヨット」は、日常では味わえないこの貴重な体験を、ハンディキャップを持つ人たちにも楽しんでもらおうと、ヨット部が1991年から行っている歴史ある活動だ。ヨットに乗る参加者、参加者を乗せる部員、それぞれが“チャレンジする”思いを抱き、沖へと進む。

毎年、養護学校や特別支援学校、社会福祉施設から30人ほど、様々なハンディキャップを持つ幅広い年代の人たちが参加する。安全確保のため、事前にライフジャケットの説明や注意事項の確認を十分に行う。乗船の際は岸付けしたヨットを部員たちが押さえつけ、できる限り揺れを少なくした状態で持ってもらうなど、参加者が不安を抱かないよう配慮に努め、その後は部員たちの技術に任せ、波の上を楽しんでもらう。昼食では食事の取り分けから全員が参加できる形をとっており、今夏は大きな桶にそうめんを入れ、グループで囲んで食べた。午後にはチアリーダー部や団体サークルの演舞でもてなすなど、初めは緊張感を抱いていた参加者も部員たちも、一日を通して打ち解け合い、全員が楽しい時間を過ごすという。

現役の部員は全員参加だが、安全第一のため技術と経験を備えなければ参加者と一緒にヨットへ乗ることはできない。チャレンジヨットは部員たちの日々の経験や成長を生かす場でもあり、1回生から年を重ねるごとに活動への思いも強くなっていくという。参加者が見せてくれる「楽しかった!」という笑顔が、部員たちを励まし嬉しい気持ちにさせてくれる。「ヨットの上で自然を感じるこの時間を、より多くの人に楽しんでもらいたい」というこの思いは、これからも代々受け継がれていく。

[写真]乗船前に注意事項の確認
乗船前に注意事項の確認
[写真]お昼の交流タイム
お昼の交流タイム
[写真]アメリカンフットボール部
  • アメリカンフットボール部

草津市立南笠東小学校の通学路でスクールガード活動を行うアメリカンフットボール部『PANTHERS(パンサーズ)』。チームの認知度向上、部員の交通意識の改善、そして「尊敬され、支援されるチームになること」を目標に2017年から活動を始めた。今では通学路で児童たちに「パンサーズのお兄ちゃんだ!」と呼ばれるなど、地域に受け入れられた存在となっている。

活動は、授業がある毎週木曜日の7時30分から、5人ずつがシフト制で参加し、保護者や地域のボランティア団体と協力して児童の登校を見守る。狭い道路でガードレールもブロックもない歩道の幅は1mほど。通勤する車やバイクが抜け道として使用することも多く、車がすれ違う際には歩道まで入ってきてしまう。部員たちは必ず道路側に立ち、車が接近すると児童たちに「ちょっと待ってね」と声をかけて安全を守る。児童が元気よく登校できるよう、部員から大きな声で「おはよう!」と挨拶するよう心がけており、なかには「じゃんけんしよう!」など元気いっぱいに応えてくれる子もいるという。昨年からは男子バスケットボール部も参加し活動を強化している。

毎年招かれる地域の夏祭りでは、出店や体験コーナーを担当し、地域との交流を深めている。試合にはバスを一台貸し切って地域の人たちが応援に来てくれることもあり、少しずつチームの存在が認められていることに喜びを感じつつ、地域の“支え”を実感しているという。「選手は応援してもらえることを当たり前だと思ってはいけない。地域の人や周りの支援があるからこそ競技に集中できる」という気持ちを忘れずに、今後も地域と強く繋がった愛されるチームを目指す。

[写真]夏祭り
夏祭り
[写真]スクールガード
スクールガード
[写真]男子バスケットボール部
  • 男子バスケットボール部

滋賀県立草津養護学校(高等部)の生徒を対象に、バスケットボールやホッケー、ボッチャの練習サポートを行っている男子バスケットボール部。活発な生徒たちはエネルギーに満ち溢れ、笑顔で楽しむ姿に“スポーツに障害は関係ない”ことを実感させてくれるという。

週に2回程度、4限と5限の時間に部員1~3人が養護学校へ行き、課外活動の支援や技術指導を行う。また年に2回、2月と6月にBKCで全部員が養護学校の生徒と一緒に練習や交流試合、お昼には食堂で昼食をとる交流イベントを開催している。教職課程を学んでいる部員が練習メニューを考え、バスケットボールを通して生徒たちと楽しい時間を過ごす。2019年6月の交流イベントでは滋賀県立野洲養護学校の生徒も合同参加し、学校別対決では大盛り上がり。たとえ準備が大変であっても、部員たちは生徒や保護者の楽しそうな姿にやりがいを感じている。

2024年に滋賀県で開催される国民体育大会、全国障害者スポーツ大会に向けて、知的障害を持つ人にもスポーツを楽しんでほしいという思いで3年前から活動を開始。「積極的に話しかけること」、「笑顔で接すること」を心がけ、年を重ねるにつれて部員たちの指導力も高まり、今では生徒たちとあだ名で呼び合うほどの仲になった。嬉しいことに、障害者スポーツ大会では、草津養護学校のチーム成績がどんどんと伸びているという。部員が活動を通して「伝える力」や「社会性」など多くを学び、生徒たちにはいつも感謝の気持ちを抱いている。今後も長期的に取り組み、ほかの養護学校との関わりを増やすなど規模を大きくすることを目標に、障害を越えてスポーツの魅力の普及に努める。

[写真]バスケット指導
バスケット指導
[写真]ホッケー対決
ホッケー対決
[写真]根上一茂さん
  • 立命館大学AVA
  • 根上 一茂 さん
  • [文学部4回生]

2016年10月に設立された、立命館大学AVA(Athlete Volunteer Association)。硬式野球部の交通マナーを改善するべく立ち上げられた交通安全委員会から始まり、現在体育会の21団体が所属。体育会に所属していない学生も含め総勢75名が「共者、共学、共栄」を理念に地域の清掃活動や、祭りへの参加、体育会学生に向けた栄養学や就職セミナー、試合の集客など、幅広い活動を行っている。

根上さんは、硬式野球部の学生コーチをする傍ら3代目の代表として、多忙な日々を送っている。「体育会の学生は、競技だけに重きをおいて大学生活を送る人が多い。AVAを通して、さまざまな経験をして、人間的に成長してほしい」と活動の意義を語る。そして、「体育会の閉鎖的な環境の中では、考えが偏ってしまう。体育会に所属していない学生にも大学スポーツに関わってもらい、相乗効果が生まれてほしい」という。

今年度は、試合の集客活動にも取り組み、6月の硬式野球部の立同戦では、留学生を招待する企画も実施。いくつもの部活が応援に駆けつけ、一緒に応援する姿は、これまでのスタンドの光景とは全く違ったという。「どんどん横のつながりが広がっている」と笑顔をみせた。そして、清掃活動などを通して、地域とも良い関係を築けており、お互いの顔が見えることで、立ち上げ当初の目的であった交通マナーの改善にもつながった。地域の人から「頑張って」と声をかけられることも増えたそうで、着実に彼らの活動が実を結んでいる。

今後について、「立命館の取り組みを大学スポーツの良い事例にし、いつか日本全国の大学スポーツ界がよりよくなっていってほしい」と生き生きと語る彼は、AVAの仲間と共にこれからも大きな夢に向かって挑戦し続けることだろう。

[写真]台風で被災した平野神社清掃
台風で被災した平野神社清掃
[写真]柊野まつり ストラックアウト出店
柊野まつり ストラックアウト出店