着任予定教員紹介
人類の生存圏、活動領域を拡大する
月面基地の建設に貢献したい
PROFILE
1998年立命館大学理工学部土木工学科卒業、2000年立命館大学大学院理工学研究科環境社会工学専攻修士課程修了、2003年同大学院理工学研究科 総合理工学専攻 博士課程修了。博士(工学)。
2004年九州大学工学部助手・助教、2009年Colorado School of Mines客員研究員、2011年福井大学工学部准教授を経て、2017年より現職。
専門は土木工学・地盤工学。国土交通省道路防災ドクター/TEC-FORCEアドバイザー、日本道路協会道路土工委員会委員、土木学会建設用ロボット委員会委員長、内閣府第3期SIPスマートインフラ
プロジェクトマネージャ、JAXA国際宇宙探査専門委員会委員等を務める。
趣味は国宝めぐり。出張先で博物館を訪れることも多い。仏像や絵画はもちろん、漆芸など繊細な手わざの工芸品にも心惹かれる。岡本太郎ファン。休日はYouTubeのレシピ再現で料理を担当。
先生の研究の内容を教えてください
専門は土木工学、中でも地盤工学という土を扱う分野を専門にしています。
学生時代から、主に月面の表層のレゴリスと呼ばれる土の研究をしてきました。天体に着陸する宇宙機(ランダ―)は、着陸時の地面の特性がわからなければ設計できません。ズブズブと埋まるかもしれないし、跳ね返されるほど硬いかもしれないからです。探査ローバーも同様です。今、JAXAと自動車メーカーが共同開発している月面探査車「有人与圧ローバー」を対象に、登坂可能な斜度などの走行性能に関する共同研究を行っています。こうした機械と土との相互作用を扱う研究分野は、テラメカニクスと呼ばれ、もともとは地上の建設機械や農業機械が対象でしたが、現在は、月や火星で活動する機械の開発にも必要とされています。
人類が月に出ていくには、地球での研究成果や技術が欠かせないのですね
私の一番の目標は、月面基地の建設に貢献することです。人類の生存圏や活動領域を拡大に向けて、それを支える月面インフラを切り拓く貢献をしたいと考えています。地上では、構造物を建設する際には必ず測量と地盤調査を行いますが、月面基地でも同様です。2030年頃の打ち上げを目指して、今、まさに月面で測量と地盤調査を行うための技術実証機の開発に取り組んでいます。
これからは、月で活動する建設機械の自動化にも挑戦したいと考えています。この分野は、地上では日本がトップランナーなので、月面でもその強みを発揮し、世界をリードしていくことが期待されています。建設機械の自動化・無人化は地上でも求められている技術なので、建設会社や建設機械メーカーとも連携しながら研究を進めていきます。さらに、この技術開発には、情報工学、ロボティクスなどさまざまな工学分野との連携が不可欠です。私の研究室を、そうした多分野の教員、エンジニア、学生が集まり、新たな価値を生み出す拠点にしていきたいと考えています。
※ローバーは国交省・宇宙建設革新プロジェクトによる開発品です
先生の研究室に入ると、どのようなことを学び、どのような研究テーマに取り組めますか?
上で紹介した測量・地盤調査装置の月面技術実証という実ミッションに、学生の皆さんも参画してもらう予定です。もうひとつ、アメリカのベンチャー企業が月に向けて打ち上げるランダ―に搭載して簡易な地盤調査をするJAXA主導のミッションにも参画しており、こちらについても装置開発、データ解析に参加してもらおうと考えています。打ち上げは2027年を予定しています。長期的には、月面の地盤調査データを利用した月面基地の設計や、無人建設機械を活用した施工技術に関する研究を学生の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。
JAXA、他大学、民間企業、立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC)とのシームレスな連携のもと、実ミッションへの参画を通してさまざまな経験を積んでほしいと思います。
先生の研究室で学んだ学生は、修了後、どのようなフィールドでの活躍が期待できますか?
JAXAなどの機関で研究職として活躍してほしいと思いますし、私の後継者も育てたいという思いもあります。これまで日本に宇宙基地建設の研究者はほとんどいなかったのですが、今後は必ず必要になってくるので、活躍の場はきっと広がると思います。
建設会社はもちろん、エネルギーや資源の会社、総合商社、シンクタンク、コンサルティング会社でも活躍できると思います。
宇宙機を開発する際には、多くの人、様々な分野が関わるプロジェクトの中で、統合力やマネジメント力を身につけることができるでしょう。それは、製造業を含むあらゆる分野で活かせる力だと思います。
※ローバーは国交省・宇宙建設革新プロジェクトによる開発品です
どんな学生に研究室へ来てほしいですか?
これまでは宇宙は「行くこと」が目的でした。でも私たちは今後「なぜ行く?」「そこで何をする?」という時代に生きることになります。それを考えられる人、なにもないところに自分自身の手で何かを創り出したいというフロンティアスピリットを持っている人と一緒になにかをやりたいと思います。専門分野は問わないので、とにかく夢中になってくれる人、夢中になりたい人に来てもらいたいです。
社会人なら、新しい事業を起こして、自分がリードしていきたいという思いのある人に来てもてらえると非常に面白いと思います。
「宇宙の分野は難しそう」と感じる人がいるかもしれません。例えば、機械、電気、制御、通信など、幅広い知識が必要なのは確かです。でもすべてを知っている必要はありません。宇宙機開発のプロジェクトに入ってしまえば、自分に足りない知識が見えるはずです。知識がなければ、走りながら一つひとつ学ぶしかないし、好きとか苦手とか言うヒマなんてありません。でも実践しながらの学びは、座学で「何の役に立つのだろう」と思いながら学ぶよりも絶対に楽しいし、吸収のスピードも格段に早いはずです。
※ローバーは国交省・宇宙建設革新プロジェクトによる開発品です