みなさまからのメッセージ

ご支援者インタビュー

立命館学園は、校友(卒業生)、企業、父母はじめ多方面の方々からご支援を得て運営しています。このページでは、学園の教育・研究充実のために、ご支援くださっている方々をご紹介します。

第10回


小木 裕文(おぎ ひろふみ) 氏

小木 裕文(おぎ ひろふみ)

立命館副総長  (立命館大学国際関係学部教授)
第10回は、小木裕文先生にお話を伺ってきました。

立命館大学との関わりについて

Q:立命館大学にお勤めになったきっかけを教えてください。

小木(敬称略) 1988年に新学部「国際関係学部」を設立することになったとき、声をかけてもらったことがきっかけです。
 西日本で「国際関係」をテーマにした学部は立命館大学が初めてでしたので、「これからの立命館にはアジアや世界に関心を持った学生が多く集まる。是非ともそこで人材育成に関わりたい」と思い、立命館大学に勤めることにしました。

 立命館大学に着任する前は、下関市立大学経済学部国際商学科で中国語を担当しながら、東南アジアの華僑・華人を研究していました。実は前任校に勤めるきっかけも「新学科設立」でしたので、当時の経験が立命館でもとても役立ったと思います。



研究分野について

Q:専門の研究分野について簡単に教えてください。

小木 当初は、東南アジア、特にシンガポールとマレーシアに移住したチャイニーズが自分たちの母語をどのように勉強し、中国系の社会をどのように支えているかということを研究していました。

 ただ、最近は興味が広がり「中国新移民」が私の1つのテーマになっています。1978年の改革開放政策以来、海外留学や移民が自由になってきました。中国経済が成長することで多くの留学生が海外に飛び出し、そして海外で働くまでになっています。その海外に飛び出した人の住んでいた村や町(福建省・浙江省・黒龍江省)で何が起こっているのか、7年間調査を続けてきました。そして今、私たちの研究グループで書いた論文を出版しようと動いています。

学生や校友との関わりについて

Q:国際関係学部の1期生を指導しておられたとのことですが、どのような雰囲気でしたか?

小木 1期生は160名程度と小規模だったため、学生全員の顔がわかっていました。また、学部棟も衣笠キャンパスから少し離れた西園寺記念館でしたので、学部の学生と密に関わることができたと思います。語学授業の学生と合宿に行くなど、1回生から3回生まではほとんど一緒に過ごしたと言っても過言ではないですね。

 立命館大学着任当初、担当していた中国語の授業の受講生から「授業だけだと少ない。もっと勉強したい」と言われました。当時、副専攻がなかったものですから、この発言をきっかけに課外授業として中国語の学習会を立ち上げました。通常の授業よりコアな内容を教えたり、シンガポールやマレーシアの華人社会を歩いて勉強することもありました。その学習会のメンバーは、研究者になったり、中国貿易に関わっていたり、卒業後も何かしら中国やアジアに関わる仕事をしています。

 本当に、真面目でチャレンジャーな学生ばかりでしたね。留学制度が整っていなくても、自ら海外へ飛び出して刺激を受けて帰ってきていました。そして、ひと回りもふた回りも成長していく学生の姿にひたすら感心していたことを今でも鮮明に覚えています。






Q:学生とのエピソードで印象的だったことはありますか?

小木 どの学生とのエピソードも印象的で絞れないです。ただ、やっぱり一生懸命だった子はみんな輝いていたし、印象に残っていますね。

 たとえばゼミ生に、石井匡君という1期生のゼミ長を務めた学生がいました。彼は在学中上海に留学して、卒業時は中国研究の論文で最優秀賞を取りました。ゼミでの真摯な学び、海外でのフィールドワークを共にしたことが強い思い出となっています。現在は三菱系の専門商社に勤務し、毎月中国各地を回り、石炭コークスの買い付けをしています。中国語との出会いによって、今や中国通のグローバル人材として成長しています。昨年のゼミ同窓会も幹事としてとりまとめてくれました。なんと二十数年の付き合いです。

 また、現在、毎日新聞のワシントン支局長を務めている白戸圭一君も印象に残っています。彼は学生時代、探検部としてアフリカ調査に、インターンシップで南アフリカに行っていました。毎日新聞入職後も「どうしても外信部に行きたい」と言い続けていたようで、「念願の南アフリカに赴任した」という話を聞いたときは、その執念に驚きました。

 私は長く教員生活を送ってきましたので、学生たちが卒業後も成長を続けている様子がよくわかります。長く立命館に勤めているからこその特権ですね(笑)。教員にとっては、校友がどんな仕事に就いて、どんな風に活躍しているのかを知ることは本当に楽しみです。
 もう1年で定年を迎えますが、退職しても立命館の校友と触れ合う機会はたくさんあるので、楽しみは尽きません。


ご支援にかける想い

Q:「校友会未来人財育成基金」に継続してご支援いただいていますが、ご支援の想いをお聞かせください。

小木 国際関係学部には、自主的に学生同士が集まって討論会を開いたり、研究に取り組もうとする学生が多いです。その点で、この校友会未来人財育成基金の第1次活用プランである「コンベンション・セミナーハウス」に共感しました。大阪いばらきキャンパスの開設準備が進められているなか、3キャンパスで学ぶ立命館の学生がもっと交流を図れるような仕掛け作りは大変重要です。立命館大学の校友はたくさんいるので、校友の皆さんが協力することになれば相当大きな力になると思います。

 「校友が後輩を支援し、その支援を受けた後輩が更に次の後輩を支援する」、そんな大学になってほしいと思っています。
 
 学部同窓会など多くの校友が集まる場所でオークションをして、その売り上げを寄付する方法も良いと思います。年に1回、国際関係学部の同窓会があるので、そのときにできればと考えています。家に眠っているものをみんなで持ち寄ってオークションを楽しみながら、後輩の支援をする。支援の形や種類にこだわらず、多くの校友の皆さんが息の長い支援を続けていただければと思います。


Q:校友会未来人財育成基金に加えて、「BOOKS FOR BOOKS~立命館の本活~」にもご支援いただいています。そのきっかけや想いを教えてください。

小木 本がたくさんあるので、「何かの役に立つ方法はないかな……」と思っていたところ、この取組みを知り、すぐに申し込みました。
 先生によっては学生に配る方もいらっしゃいます。そのまま本を活かす方法も良いと思いますが、選択肢の1つとしてこの取り組みは素敵だなと思いました。これまでに3回申し込みました。

 何より簡単に手続きができるのがいいですよね。私がするべきことは「本の箱詰め」、「申込書の記入」、「集荷時間の指定」の3つだけです。あとは時間になったら運送会社が取りに来てくれるだけなので、全く負担に思いませんでした。これからも継続していきたいと思っています。






Q:学生や校友にメッセージをお願いします。

小木 まずは学生へ。
 学びが多様化している中で、立命館大学は学生のことを考え、それぞれの想いに応えるための体制を整えています。学生自身に「やりたい」という想いがあれば、それを伸ばすように全力でサポートするのが立命館です。自分なりの夢を持って、大いに大学の制度を活用してください。

 最後に校友の皆さんへ。
 立命館大学は常に発展し続けたいと思っています。その発展は、新しく入学してくる学生が学びを深めているからこそ成し得ます。もちろん、教職員も努力を惜しまないつもりです。また、これからは従来にも増してグローバル人材を輩出し、社会で活躍する学生を育てていく必要があります。そのためには、校友であり、彼らの先輩である皆さんにもご支援・ご協力をお願いしたいと思います。未来の立命館を一緒に創りましょう。


(掲載日:2014年3月7日)

小木 裕文(おぎ ひろふみ)様のインタビューを終えて

学生との印象的なエピソードについて伺うと、次から次へと、教え子との思い出を話してくださいました。今回その全てを掲載することはできませんでしたが、どのエピソードも、自分の夢を見つけ、ひたすら挑戦している学生の姿が目に浮かぶものばかりでした。話される小木先生の顔は、子どもの成長を少し誇らしげに自慢しているお父さんのようにも見えました。