みなさまからのメッセージ

ご支援者インタビュー

立命館学園は、校友(卒業生)、企業、父母はじめ多方面の方々からご支援を得て運営しています。このページでは、学園の教育・研究充実のために、ご支援くださっている方々をご紹介します。

第2回


佐伯 希彦 氏

佐伯 希彦

1963年 理工学部卒業  東邦電気産業株式会社 代表取締役社長
第2回は、長年にわたり、継続的にご支援くださっております東邦電気産業株式会社代表取締役社長の佐伯希彦様です。本年度は、「学生の課外活動を支援する」という寄付メニューで、ソーラーカーの設計・製作に取り組む学生団体EV-Racingの活動をご支援くださいました。本学のご卒業生でもいらっしゃる佐伯社長様に、学生時代の思い出から、ご支援に対する思いなどについてお話を伺ってきました。

立命館への支援を考えたきっかけについて

EV-Racingを支援してみようと思われたきっかけについて教えてください。

佐伯(敬称略) これまでは、「立命館大学の『教育・研究』力の向上を支援する」という総合的な支援をおこなっていました。しかし、EV-Racingのメンバーが支援を求めていると知り、直接お会いして話を伺いました。彼らの活動内容や目標、困っている現状など活動にかける情熱を聞き、ぜひ応援したいと思ったのです。支援する対象やその成果が見えるというのは、おもしろいのではないかと考えました。

実際にEV-Racingのメンバーとお会いしてどんな印象を持たれましたか。

佐伯 学生にもかかわらず、レベルの高い活動をしていると思いました。車体の設計から、アルミの溶接まで、自分達の手でソーラーカーを製作しているのには驚きました。完成させるには、電気技術・機械工学・流体力学など色々な知識や経験が求められるはずです。それを、自分達で「学びながら実践する」という姿勢に感心しました。自分の学生時代には、このようなサークルはありませんでした。ぜひ頑張って欲しいと思います。


学生時代にまつわるエピソード

佐伯社長はどのような学生時代を過ごしていらっしゃったのですか。

佐伯 学生時代は、コンクリート工学を学びました。私が在籍していた昭和37年は、コンクリートミキサー車が、町を走り始めた頃でした。コンクリートミキサー車の誕生によって、高品質の生コンクリートが建築現場に運ばれ、使用されるようになりました。しかし、それまでは建築現場でコンクリートを製造・使用するのが主流で、どうしても品質にバラツキが生じてしまうという課題がありました。

そこで、コンクリートの品質を安定させ、強度を高めるためには、混和剤をどの割合で調合すべきかなどの実験・研究しました。理工学部は、授業数が多いうえに、実験もありましたので、遊ぶ時間はほとんどありませんでした。かなり真面目に勉強していた記憶があります。積み上げ式のため、一度単位を落とすと次の講義をとることができませんので、単位を落とせないプレッシャーといつも戦っていた気がします。

学生時代の経験で、いまの仕事に活かせている部分はどのようなところでしょうか。


佐伯 学生時代に学んだことのほとんどが、現在の仕事に非常に役立ってると感じています。
卒業して4年後の昭和42年に、父親が興した会社である東邦電気産業株式会社に入社しました。その時は若く、一生懸命さがあるのみで必死でした。
鉄筋コンクリートの強度の原理や中身の構造について、見識のある電気業者はあまりいませんでしたので、この部分を理解できていることは、非常に大きなアドバンテージとなりました。学生時代の恩師に、いまでも本当に感謝しています。

また、土木工学の勉強を通して、段取りの重要性を学びました。社長になると全ての段取りをしなければなりません。会社が大きくても、小さくても、やるべきことはさほど変わりません。この「段取り力」は、いまでも役に立っています。

後輩達へのメッセージ

後輩達へのメッセージをお願いします

佐伯 自分の好きなことに全力で取り組んでみてください。可能であれば、サークルのように複数の人達と共同で行なうことが良いと思います。ひとりで、好きなことに没頭し、専門的な知識や技能を身に付けていくことも大切です。しかし、ある年齢に達した時や人生のどこかで、人をマネジメントしなければならない時が必ず来ます。その時に求められるのが、総合力です。

この総合力を身に付けるためには、専門的な研究に加えて、誰かと協力して成し遂げた経験、自分が段取りを立てて物事を進めた経験が必要です。20代、30代で手を抜いた仕事をすると、後々必ず苦労することになります。

苦労することも修行だと思って、様々な経験を積んでいくことは、学生時代から取り組むべきだと思います。その時に大切なのは、自分の好きなことをすることです。好きなことなら、大変なことや苦労があっても耐えられます。EV-Racingの活動は計画的かつ協同で行わなければいけません。こういう活動をぜひ全力で頑張ってもらいたいです。

佐伯社長様、素敵なメッセージをありがとうございました。
以下では、ご支援いただきましたEV-Racingの活動をご紹介いたします。



学生団体EV-Racingのご紹介と支援の背景について

学生団体EV-Racingとは?
 EV-Racingはソーラーカーや電動バイクを自ら設計・製作し、ソーラーカーの大会に出場し上位入賞することを目指して活動している理工系プロジェクト団体です。製作活動以外にも、子どもたちや地域の方々に対してソーラーカーの普及を促進するイベントも実施しています。
 EV-Racingが出場するのは、毎年8月に鈴鹿サーキットで行われるソーラーカーレースです。このレースは、今年で21回目を迎える歴史あ
るレースで、世界で一番の出場台数を誇っています。出場者は4つのクラスに分けられ、それぞれの優勝を競い合います。今回は、ソーラーパネルの出力が480Wに制限されるエンジョイクラスのマシンによる4時間耐久レースに挑みます。

EV-Racingが支援先を探していた理由について
 新しい車体を作り、「ソーラーカーレース鈴鹿」で上位入賞するという目標を果たすとともに、チーム力の強化を図るためですです。昨年、同レースに出場した時は、モータートラブルの影響で20周強しか走れず、悔しい思いをしました。この原因は、長年使用を続けている部品が多く、経年劣化が激しく、ソーラーパネルも傷んでいたことにありました。買い替えるにも、財政難のため難しく、古い車体をベースに今年も参戦せざるを得ない状況でした。そこで、自分達の目標達成のためには支援者を探し、新しい車体を製作することになりました。

今回のご支援について -EV-Racing代表者コメント-
 私たちの想いに共感いただき、光栄に思います。佐伯社長の援助により、新しいモーターを購入することができ、既存フレームとソーラーパネルの劣化についても改善できる見込みが立ちました。アルミの溶接技術についても技術不足が課題でしたが、技術指導くださる方もご紹介いただきましたので、今回のレースでは飛躍的な活躍をお見せできると考えています。
 今は、このご支援に対して、東邦電気産業様のロゴを車体に印字することくらいしかお返しできません。ただ、8月3日(金)、4日(土)の「ソーラーカーレース鈴鹿」では、必ずや上位入賞を果たし、結果を残すことで、このご恩に報いたいと考えています。



佐伯 希彦様のインタビューを終えて

佐伯様は、EV-RACINGの学生達との懇談のなかで、EV制作にかける熱い思いが詰まった話に、同じ理工学部出身ということもあり、熱心に耳を傾けていらっしゃいました。制作現場を見学された際には、車体の素材や設計に関する専門的な部分について質問を交えながら、学生達の思いを汲み取ってくださいました。

帰り際には、直接的な支援の約束だけでなく、少しでも学生達を後押ししたいと、溶接技術の専門家をご紹介くださいました。継続的に支援いただける校友(卒業生)の存在が、立命館大学にとってどれだけ貴重な財産なのか、改めて実感するインタビューとなりました。8月3日(金)・4日(土)は、EV-RACINGの学生をぜひ応援ください。