みなさまからのメッセージ

ご支援者インタビュー

立命館学園は、校友(卒業生)、企業、父母はじめ多方面の方々からご支援を得て運営しています。このページでは、学園の教育・研究充実のために、ご支援くださっている方々をご紹介します。

第3回


村田 正利 氏

村田 正利

1994年 経営学部卒業   滋賀BMW 株式会社服部モータース 代表取締役社長
第3回は、滋賀BMW株式会社服部モータース代表取締役社長の村田正利様です。立命館大学BKCインキュベータにおいて、起業家を志す学生や若手研究者のご支援をいただいています。 本学の卒業生でもいらっしゃる村田社長様に、ご支援に対する思いや学生時代の思い出などについてお話をうかがいました。

学生時代の思い出について

Q:立命館に入学された理由をお聞かせください。

村田(敬称略) 父親が商売をしていたこともあり、経営学部に興味があったことと学費が安かったことが決め手だったように思います。「命を立つる」という立命館の名前の由来が格好よく思えたのも理由の一つです。
「なんとなく」で入学を決めましたが、今は本当に立命館で良かったと思います。社会に良い人材を輩出するためにさまざまな挑戦をしていたり、学生に対する支援を充実させたりと、大学としての使命や本分をきちんと果たそうとしている気がしています。出身校を聞かれて、「立命館」と答えることができることをとても誇りに思っています。

Q:学生時代はどのように過ごしておられたのでしょうか。

村田 よく遊び、よく学び、よく働くことを心がけていました。
やや学びがおろそかになったこともありましたが、アルバイトや友人達との交流に多くの時間を費やしました。また、講義の合間には、衣笠周辺をはじめ歴史ある神社・仏閣を数多く見てまわるなど、非常に充実した四年間でした。
特にアルバイトでは、たくさんの貴重な勉強をさせてもらいました。いまでは経営者という立場になりましたが、従業員の気持ちを理解するうえで、アルバイト時代の経験が活きていると思います。どのようなマネジメントがよいのか、逆にどのような点に気をつけるべきなのかを考える際の良い材料になっています。いま思えば、非常に貴重な経験ができた4年間でした。

今回のご支援について

Q:今回のご支援をお考えになられたきっかけを教えてください。

村田 以前から「学生と一緒に何かしたい」という思いはありましたが、具体的なプランは描けていませんでした。そんな折、「インキュベータの入居者募集」という案内を見かけました。母校の敷地内にそのような施設があるのを知り、この場所を活用して何か支援できないかと考え、早速事務局に連絡しました。
当初は、自分達がインキュベータの部屋を借りて、学生と一緒に何かプロジェクトを行うという案を考えました。しかし、学生が主体となって運営できる支援方法はないか、と何度も事務局と打ち合わせを重ねた結果、現在の「アントレネスト」という支援方法にしました。

Q:アントレネストとは具体的にどのような支援なのでしょうか。

村田 BKCインキュベータの一室を滋賀BMW服部モータースで借り、起業および事業化準備中のプロジェクトを行う学生・若手研究者に無償提供するものです。この場所を企業家(アントレ)が集う場所(巣・ネスト)として「アントレネスト」と名づけました。
アントレネストへの入居希望者は公募・選考のうえ、決定します。入居者は、活動拠点の提供に加え、当社はじめ有識者で組織されたアントレネスト運営委員会と3ヶ月に一度、交流の機会を持ち、活動状況の報告や事業化に向けたサポートが受けることができます。


※BKCインキュベータとは、大学等の知的資産を活用して、産学官連携の強化、地域産業の技術の高度化、新事業の創出・育成を目的とする賃貸施設です。詳しくはコチラ

Q:この支援には、どのような想いを込められたのでしょうか。

村田 これから将来に向けて羽ばたいていく学生達のために、彼らが「失敗してもいい場所」を作りたいと思いました。私は学生時代に起業を考えたことはありませんし、将来についても漠然としたイメージしか持っていなかったと思います。
「今の学生も同じような学生生活を過ごしているのだろう」と思っていたら、将来に向けて一生懸命勉強したり、何かに懸命に取り組む学生が数多く存在することを知りました。そんな学生達に驚きましたし、純粋に支援したいと思いました。

現在、私は会社の社長になり、なかなか失敗ができない立場にあります。チャレンジするのにも慎重さが求められるようになりました。しかし、若い学生はそうではありません。「何度失敗してもいい」と私は思います。もちろん、何も考えずに失敗するのではなく、色々と取り組んだ上での失敗が大切です。そういう失敗から学ぶことも多いはずです。「失敗を恐れずに、積極的にチャレンジできる仕組みを提供したい」、そのような思いからアントレネストを考えました。



Q:支援している学生と接した印象はいかがでしょうか。

村田 「勇気」と「元気」そして「挑戦する思い」を持った学生が多いように感じます。私は大学のキャンパスに行くたびに学生からパワーをもらっています。懸命に努力する学生達の姿をみて、私自身も「もっと努力しなければ」という身の引き締まる思いになります。逆に私が支援してもらっているのかもしれません(笑)。

Q:アントレネストの今後の展開について、お考えをお聞かせください。

村田 私一人の知識や経験の伝達にとどめずに、社外ネットワークも活用して、学生達にとって「よりよい学習の場」を共に作り出していきたいと思っています。
私もまだ20年くらいしか仕事をしていませんので、伝えられることにも限りがあります。しかし、周囲には多方面で活躍している経営者や社会人がいますので、そういった方々と学生を繋ぐ架け橋になっていきたいと思っています。以前、女子サッカー「なでしこジャパン」のコーチに当社が講演会をお願いした際に、アントレネストの学生にも声をかけたところ、参加した学生から「非常に勉強になった。他のテーマでもぜひ開催して欲しい」という感想が多く寄せられました。これを機に、このような学習の機会をもっと増やしていきたいと考えるようになりました。
このような取り組みが当社のみならず、地域の他の企業と連携して支援ができれば、より多くの繋がりができると思っています。
また、当社の社員と学生が接する機会も増やしていきたいと考えています。いま持っているアイデアとしては、社内勉強会への学生達の参加や、学生達による社員インタビューです。社会人が前向きに働く姿をみて、社会に出るワクワク感を持ってもらいたいです。 社員インタビューは、学生にとっては仕事内容・楽しさや大変さを知る機会になりますし、社員にとっては、「自分達の仕事とはなにか」という原点を振り返る良い機会になると思います。社員一人ひとりと学生が交流し、お互いを高め合う取り組みが盛んになることを望んでいます。

なぜ社会貢献活動に取り組むのか。

Q:貴社では、他にも様々な社会貢献活動を行っていると伺いました。
  その内容についてお聞かせください。


村田 主に2つの活動をしています。
1つは、朝のパトロール活動です。「自動車を扱っている会社」であることを生かした地域貢献ができないかと考え、車に青色回転灯をつけてのパトロール活動を3年前から始めました。火曜日から金曜日までの、毎朝7時40分から30分間ほど、地域住民の方と協力して近隣の小・中学校の通学路をまわっています。
もう1つは、滋賀県企画の「琵琶湖森林づくりパートナー企業」として、湖南市三雲の森林を整備し、琵琶湖の水をきれいに保つ支援をしています。

Q:社会貢献活動を積極的に取り組まれる理由をお聞かせください。

村田 当社は、現在新しい企業理念を作り、理想の会社を作ろうと動き始めています。その中の取り組みで、「何のために働くのか」「会社は何のためにあるか」ということを、社内で議論しました。そこで、出てきたのが、「全ての人を幸せにする」というみんなの思いでした。
地域の通学路のパトロールも、全ての人を幸せにするためです。地域の方々に「ありがとう」と感謝され、その感謝の言葉は、従業員を嬉しく幸せな気持ちにしてくれます。地域貢献活動というと格好よく聞こえますが、実際には自分達が嬉しくなるためにやっている面もあります。例えば、その取り組みが新聞に掲載されると、従業員の家族も「家族がよい活動をしている」「よい会社に勤めている」と思い、ポジティブな感情が伝播していきます。そのようにして「すべての人を幸せにする」循環を生み出せる会社にしていきたいと思っています。


後輩達への熱いエールを

Q:学生(後輩)達へメッセージをお願いします。

村田 学生時代に夢を見つけましょう。夢を持ちましょう。どんな小さな夢でもいいので・・・。夢を持つことで人生は楽しくなるし、生きる目的が見つかると思います。

つまらない人生も、楽しい人生も同じ人生です。

夢を持ち、その実現のために一生懸命生きればきっと人生楽しくなるはずです。そして、夢があればどんなに辛いことがあってもきっと笑って乗り越えることができるはずです。

村田 正利様のインタビューを終えて

「後輩である学生のために」「母校が好き」ということをインタビュー中に何度もお話されていたのが印象的でした。BKCインキュベータが、挑戦したい学生にとって「失敗してもいい場」となるためには、産官学の連携が必要不可欠です。その中心に、村田様のようにビジネスの最前線で活躍しておられる校友の方が携わってくださることは、学生にとっても、大学にとっても大変心強い限りです。一人でも多くの校友の方に愛され、応援される母校であり続けられるように、より一層仕事に励んでまいりたいと決意をあらたにしました。