教員紹介

INOUE Kazuya

井上 和哉

井上 和哉
所属領域
人間科学研究科 臨床実習教育担当
職位
助教
専門
臨床心理学、健康・医療心理学、認知行動療法、スポーツ心理学
主な担当科目
心理実践実習
おすすめの書籍
関係フレーム理論(RFT)をまなぶ 言語行動理論・ACT入門ニコラス・トールネケ(著)星和書店2013年 アナログ研究の方法(臨床心理学研究法)杉浦義典(著)新曜社2009年 伝えるための心理統計:効果量・信頼区間・検定力大久保街亜・岡田謙介(著)勁草書房2012年 1時間多く眠る! 睡眠負債解消法 日中の眠気は身体のSOS、能力を半減させている!岡島義(著)さくら館2020年

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

主な研究テーマは、以下の2つです。
1つ目の研究テーマは、野球の送球イップスに対する心理的支援です。送球イップスとは、神経、心理的な要因から思うようにボールを投げることができなくなる症状を指します(例:ボールが大きく逸れたり、叩きつけたりしてしまう)。私の研究では、イップスを改善するために必要な心理的要因を認知行動療法の観点から明らかにし、効果的なイップスの治療プログラムの開発に取り組んでいます。

2つ目の研究テーマは、人間の言語と認知に関する学問である関係フレーム理論の観点から、Acceptance and Commitment Therapy: ACTの作用機序を解明する研究を行っています。具体的には、Implicit Relational Assessment Procedure: IRAPという認知課題を用いて、個人が持っている変容のアジェンダ(不快な気持ちはなくさないといけない、コントロールしないといけないという認知)の程度を測定するといった研究を行ってきました。そして、IRAPで測定した変容のアジェンダの程度がACTの介入効果をどの程度予測するのかについて検証をしてきました。

研究の社会的意義について、教えてください。

1つ目の研究テーマについて、イップスに悩む人は多く、野球では、約40%程度の選手がイップス症状を経験することが報告されています。また、イップスは野球だけではなく、ゴルフやアーチェリー、弓道、ダーツ、テニスなど、様々な競技で報告されています。イップスによって、競技からの離脱を余儀なくされるアスリートも多く存在します。好きだったスポーツを辞めてしまうことほど悲しいことはありません。そのような方を一人でも多く救うことができるように研究を進めています。

2つ目の研究テーマについて、Acceptance and Commitment Therapy: ACTの作用機序を基礎的に証明していくことは、セラピストがどのようなことを意識しながらクライエントとやり取りを行っていけば良いのか、知見を提供することができます。そのことは、うつ病や不安症などに悩むクライエントの支援にも寄与し、ACTという心理療法の説明責任(アカウンタビリティ)の補完にも繋がると考えています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

心理臨床家として、多様な人との交流経験や理解、幅広い視野の獲得は欠かせないと思います。日々の仲間との会話も楽しんでもらえると良いなと思います。国内外の研究会や学会にも一緒に参加できればと思っています。

大学院生の時は、自分とは何者なのか?何をして生きていきたいのか?分からなくなることもあると思います。自分と向き合うことも多くなります。得意な部分、不得意な部分、個人差もあります。それでも、少しずつ自分の夢に向かって挑戦する。その日々のプロセス自体がとても貴重で幸せなことだと思います。

何に関心があり、どのような人に貢献したいのか、自分なりの道をぜひ探索してみてください。

挑戦すると、時には失敗や苦痛も経験します。しかし、それらの体験は必ずしもネガティブなことではありません。多様な経験は自らを深め、育ててくれます。皆さんの積極的なチャレンジを応援しています。

そして、しんどい時は無理をせずに、一人一人、自分のペースで学びを深めてもらえればとも思います。研究や実習について質問や相談があれば、いつでも気軽に尋ねてきてください。