教員紹介

MATSUMOTO Takuma

松本 拓真

松本 拓真
所属領域
臨床心理学領域(博士前期・後期担当)
職位
教授
専門
臨床心理学、乳幼児メンタルヘルス
おすすめの書籍
自閉スペクトラム症を抱える子どもたち―受身性研究と心理療法が拓く新たな理解松本拓真(著)

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

子どもと家族への心理臨床(特に力動的実践)を専門とし、社会的に十分に注目されてこなかった苦悩を記述するとともに、そこから必要とされる新たな支援の枠組みを構築・検証することを目指しています。研究法としては、主に事例研究法や質的研究法(臨床エスノグラフィーを含む)を用いますが、可能な限り量的研究も並行して実施します。また、英国で発展してきた乳児観察(infant observation)やワークディスカッション(Work Discussion)も積極的に活用しています。

近年は特に保育現場に関心をもち、子どもが他者との関係のなかで発達するプロセスを描き出すとともに、育ちのパートナーとしての保育者を産業・組織心理学的な視点も援用しながら支援する方法を研究しています。さらに、個々の子ども・保護者だけでなく、現場や組織そのものをアセスメントし支援する「コンサルタント・カウンセラー」という新たな専門的役割の構築を目指しています。

研究の社会的意義について、教えてください。

「あの子にカウンセリングしてあげて」と親や職場の上司から言われた状況を想像してください。それは「共感的に受け止めてあげて」なのか、「不適切な行動を変えて」なのか、「反省させて」なのか、「対応のヒントを後で教えて」なのか。

臨床心理士・公認心理師の認知度は高まっていますが、心理職に何ができるのかは、社会に十分に理解されているとは言い難い現状です。子ども・若者の主体性や精神的幸福度が課題となるなか、臨床心理学には、より人々の力になれる方法を模索する必要があります。社会の変化や危機に応答する新たな支援は、既存の臨床心理学の枠組みを刷新し、現場へのさらなる貢献につながります。ここに私の研究の社会的意義があります。自らの実践の意義は、外部からの視点によってこそ見えてくることがあります。日本の、ある地域で生まれたローカルな実践を、海外を含むグローバルな文脈のなかで検討できる臨床家・研究者を育てていきたいと考えています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

私の研究室では、主に2つの道を拓いていきたいと考えています。

1つは、子どもと家族を対象とした心理支援者になる道です。特に、保育・児童福祉・社会的養護の領域に関心をもつ院生を歓迎します。

もう1つは、子どもが家族や支援者とともに育つ現場を丁寧に記述し、必要とされる支援を開拓・検証し、社会実装していく研究者への道です。博士後期課程への進学を考えている院生も歓迎します。

どちらも長い道のりです。その始まりとなる大学院で、臨床と研究の土台となる良い栄養を、たくさん蓄えてほしいと思っています。大学院修了後は、ともに心理臨床に取り組み、開拓していく仲間として交流していきましょう。

経歴・業績について