教員紹介
NAKASHIKA Naoki
中鹿 直樹
- 所属領域
- 実践人間科学領域(博士前期・後期担当)
- 職位
- 准教授
- 専門
- 行動分析学,対人援助学
- 主な担当科目
- 演習、人間科学プロジェクト演習
- おすすめの書籍
- 応用行動分析学入門小林重雄(監修)山本淳一・加藤哲文(編著)学苑社1997年
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
障がいのある個人を対象としたキャリア支援がテーマです。ここでのキャリアは就職という意味ではなく、「できる」ことを広げていこうという意味です。 障がいのある高等部の生徒さんに、大学内に設けた模擬店舗に来てもらって仕事をしてもらいます。普段の学校や生活の場面では「○○ができない」と見られることが多いですが、場面を変えて周囲がそのつもりで見ることにより「できる」ことは広がっていきます。
「できる」は援助付きのものを指します。援助付きというと特別な何かを思い浮かべるかもしれませんが、行動分析の考え方によれば、私たちの普段の振る舞い(行動といいます)はすべて何らかの援助付きだということができます。
障がいがあると、大多数にあわせた援助がうまく働かないことがあり、その人にあわせた別の援助が必要になります。個人にあわせた援助を見つけ「できる」を拡げていくことが研究テーマです。
研究の社会的意義について、教えてください。
「できる」を単独能力としてとらえるのではなくその人とその人がおかれた環境との相互作用の中で考えます。こうした考え方の学問的背景が行動分析学です。障害の有無にかかわらず、私たちの行動は、<行動に先行する条件><行動に続く条件>という枠組みの中で成立すると考えるのです。これによって「できる」を拡大するためには、どのような支援・援助が必要なのかについて具体的に考えることができるようになります。 こうした考え方が少しずつでも広まっていけば、我々の住む社会がすべての人にとって住みよいものになることにつながると思います。
この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。
大学院生と一緒に広い意味での障がいについて、行動分析と対人援助学の立場から捉え、実践を通して個人に対しての支援の在り方を探っていきたいと思います。
すべての実践は実験です。さまざまな場面で実践をおこない、個人への支援についてラディカルに考えていきましょう。