教員紹介
TAKAHASHI Kohske
高橋 康介

- 所属領域
- 心理学領域(博士前期・後期担当)
- 職位
- 教授
- 専門
- 認知心理学
- 主な担当科目
- 大学院:演習
学部:認知情報論 - おすすめの書籍
- 知覚は問題解決過程
感情:人を動かしている適応プログラム
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
認知心理学が専門です。
小さい頃から「人間は何者か」という漠然とした疑問を持っていたように思います(これはポストディクティブな記憶の書き換えかもしれません)。その延長線上で人間の不思議さに惹かれて研究を進めています。顔認知や錯視・錯覚を中心に、よく言えば幅広く、言い換えると節操なく、さまざまなトピックに取り組んでいます。しかし研究を進めれば進めるほど「人間は何者か」という謎は深まるばかりです。
最も興味があることは何かと問われれば「人間の知覚や認識という現象である」と即答しますが、認知心理学者だけで立ち向かうはこの問題は複雑かつ巨大すぎます。そんなわけで、今は心理学以外の領域の研究者とも手を組んで、既存の枠組みにあまり捉われずに新しい分野を開拓していこうと野望を抱いています。
研究の社会的意義について、教えてください。
認知心理学の目標は人間の仕様(スペック)を高い解像度で解き明かすことだと思います。そしてそのこと自体にとても大きな意義があるものだと最近は感じています。昔は自分自身がやっている研究に「何の意味があるのだろうか」と自問自答したりもしましたが、最近は「知ること」の必要性と重要性を強く感じるようになりました。
多様な人々が共生する時代にあって、自分とは異なる認識の仕方、行動の動機付け、思考の枠組み、感性、そういったもののあり方をまずは知る必要があります。認知心理学を含む心理学の特徴は、それが生身の人間を対象とした学問であるということです。人間の仕様を明らかにすることは、まさに広い意味で自分と共に生きている、そして自分とは異なる他者のことを知るための手がかりとなります。これこそはエンパシーと呼ばれるタイプの共感につながるものだと思います(似て非なる共感としてシンパシーというものもあります)。
この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。
どこにいても目指すことは変わらないと思いますので、この研究科でも自分らしくいることを目指したいと思っています。しかし自分の自分らしさを自分自身でわかっているかといえば怪しいところなので、結局のところ自分が何を目指したいのかはわからないというのが正直なところです。
大学院生の皆さんへ。第一に自分と異なる考え方をリスペクトして欲しいと思います。日常生活でもそうですが、研究でも自分とは違う視点はとても大事です。リスペクトとは相手に譲歩することではなく、対等に接することだと思います。だからさまざまな人たち(教員も含む)を相手に対等の立場で議論してください。そのための基礎体力(知識、技術)をまずは身につけましょう。第二に、その過程で自分自身が変わることを恐れないでください。きっとその変化は成長です。そして第三に、これは本当に重要なことだと思うのですが、疲れたら休める場所、弱音を吐ける場所を作っておきましょう。
