教員紹介

TSUCHIDA Noriaki

土田 宣明

土田 宣明
所属領域
心理学領域(博士前期・後期担当)
職位
教授
専門
発達心理学
主な担当科目
老年心理学特論、演習、人間科学プロジェクト演習
おすすめの書籍
ヒトの心はどう進化したのか-狩猟採集生活が生んだもの鈴木光太郎 (著) ちくま新書

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

現在の研究テーマは抑制。特に運動抑制の加齢効果についてです。あることをしようと思っていたのに、思わず意図とは違う反応をしてしまうようなエラーの研究です。このようなエラーを特に老化との関連で実験的に研究しています。 「保続」という現象をみる機会のあったことがこの研究テーマを考える「きっかけ」となりました。「保続」とは前にした反応が場面や状況が変わっても持続してしまう現象なのですが、高次脳機能障害を患っていらっしゃる方には頻繁にみられる症状でもあります。この症状を観察させてもらいながら、我々の行動や反応がいかに別の反応や運動を抑える働き(抑制機能)の上に成り立っているのか考えさせられました。 研究の中で我々の生活がいかに意識されない心のメカニズムによって支えられているのか、いつも認識させられます。このメカニズムがすこしでも解明できたらと考えています。

研究の社会的意義について、教えてください。

研究の成果が高齢者をケアする側の高齢者理解に繋がればと考えています。抑制機能に代表されるような前頭葉機能は高次の精神機能であって、「つかみどころのない」機能であるともいわれています。このような機能が日常場面でどのような役割を果たしているのか、その機能が障害を受けたらどのようなことに注意しなければならないのか…など研究を通して解説する(解説できる)ことが、自分の研究の社会的意義になるのではないかと考えています。

そのためには,研究成果をただ論文化するばかりでなく、一般の向けにいかに分かりやすく説明できるかが重要だと考えます。専門用語を駆使してモデル化するばかりでなく、日常用語を使いつついかに分かりやすい解説ができるかという点です。本当に難しい作業ですが今後の課題の一つであるとも認識しています。

この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。

一人でも多くの院生が自分の研究テーマを見つけて、心理学の専門家として巣立っていっていただければと思います。そのために、指導教員としてなけなしの頭で知恵を絞って頑張りたいと思っています。院生の皆さんもとにかくいろいろなことに好奇心をもって、地道に努力してほしいと思います。

近年、院生の情報処理能力はすばらしいです。私が院生だった頃と比較すると格段の差です。ただ、何事も簡単に処理してきた習慣があるからでしょうか。「堪え性」(こらえしょう)がなくなってきているようにも思えます。そもそも研究計画はなかなかうまく立てられません。立てた研究計画は思うように進みませんし、実験をすれば失敗することばかりです。このような障壁は当たり前のことと思って、一つずつ乗り越えていってほしいと思います。いずれ光明がみつかるはずです。

著書等

  • 行動調節機能の加齢変化 (北大路書房、2006年)

  • エピソードでつかむ老年心理学 (ミネルヴァ書房、2011年)

  • 対人援助学を拓く (晃洋書房、2013年)

経歴・業績について