教員紹介
WAKABAYASHI Kosuke
若林 宏輔

- 所属領域
- 心理学領域(博士前期・後期担当)
- 職位
- 准教授
- 専門
- 法心理学、社会心理学、パーソナリティ心理学、心理学史
- 主な担当科目
- 演習
- おすすめの書籍
- 社会と向き合う心理学サトウタツヤ、若林宏輔、木戸彩恵 (著) 新曜社
現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。
専門分野は法心理学です。同分野の研究を志したきっかけは、卒論指導の際に指導教員の先生に紹介されたテーマが目撃証言だったことです。ただし現在に至るまで継続している理由は、多くの法学者の先生、司法関係者の方々、また同じく心理学を司法に応用している心理学者の皆さんに出会ってきたことに他なりません。これらの出会いを経て、司法の社会的意義とその諸問題について知り、これらの問題に心理学をどのように使うのかを考えてきました。また同時にこのプロセスが心理学的な気付きや研究にも繋がっています。
よって扱う研究テーマは多様です。具体的には、以下のようなテーマがあります。
-取調べの可視化映像のカメラアングルによる任意性評価への影響
-捜査公判協力型答弁取引における虚偽自白発生メカニズムの検討
−評議という集団意思決定におけるコミュニケーションの検討
-修復的司法理論に基づく当事者とコミュニティの関係の修復
−人工知能と司法判断
いずれも基本的には、裁判の証拠・証言およびその収集方法に基づく判断の心理・制度的バイアスの検討ということになります。総じて「人が人を裁く」という社会の仕組みおよび実践について検討をしていきたいと思っています。
研究の社会的意義について、教えてください。
法心理学を「学融」領域と定義しています。社会問題解決のためには、両学範が相互に解を利用し終わるのではなく、「解の共有」を目指すことを目的として融合的に連携をすることが必要だからです。そのため様々な司法関係者と連携を図るべきですし、その基本にあるのは対話だと考えます。心理学者だけの力で社会や世界が変えられるわけではありません。司法においては法学者、法実務家または司法関係者、さらに法社会学や法科学といった同じく周辺領域の人たちと連携を図る必要がありますし、そのようなネットワークの形成事自体に意義があると考えます。そういった連携の中で、司法への諸問題について心理学的視点をもって調査し、制度や実務について提言できる心理学研究を目指しています。
この研究科でめざしたいこと、院生へメッセージをお願いします。
司法という社会的な問題の解決を図る重要な仕組みに対し、心理学の知識や理論を活かそうとする分野です。心理学を学ぶ者にとってやりがいのある仕事だと思います。心理学だけを学ぶのではなく、それを活かすということを具体的視野に入れて学ぶことや研究をしたいという方であれば本研究科への進学は適切かと思います。とくに法心理学に関しては、日本でも有数の大学院・研究機関だと思います。

著書等
論文
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録画された自白:日本独自の取調べ録画形式が裁判員の有罪判断に与える影響
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公判前の事件報道に対して理論的根拠を含む裁判官説示が与える影響
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評議に声は届いているか? 模擬裁判員裁判の公判と評議の心理学的分析