大原 愛実(旧姓:中山)

2010年

大原 愛実(旧姓:中山)

アイ・シー・ネット株式会社勤務(開発コンサルティング会社)

あなたにとって、
「国際関係学部」はどんな存在ですか?
異なる価値観・意見・バックグラウンドを持った人同士が切磋琢磨し、他者の違いを認めながら自分らしさを伸ばせる場所/ホーム
あなたの「今」を国際関係学部で学んだことと
関連づけて語ってください。
現在、開発コンサルティング会社で業務を行っています。主な業務は2つで、ひとつは国際協力機構(JICA)がODAの一環として行っている技術研修員受け入れ事業として、海外の行政官や起業家を日本に招き、日本の技術・知見を学ぶプログラムの受託・運営です。昨年は、アジア・アフリカの防災を専門とする行政官を招き、東北地方で3.11からの教訓や平時になにに備えることが重要か、について視察・議論を交わし、自国での防災・減災のためのプランづくりをお手伝いしました。
もうひとつは、国内の人材育成事業として、大学・高校と提携して途上国の社会課題の解決を考える海外プログラムの設計・運営を行っています。毎年、春休みと夏休みには学生さんに同行し途上国・新興国に行き、調査やプロジェクトを行っていますが、私自身学ばせていただくことが多いです。
大学に入るまでは、将来漠然と国際協力に関わりたいと思っていましたが、どういった関わり方があるのかについては、国際機関やNGOで働くということしかイメージできていませんでした。そんな中、「国際協力論」という授業でODAの実施部隊である開発コンサルタントという職業があることを学びました。企業でビジネスとして国際協力に関わる働き方がある、というのを知れたのはとても新鮮でしたし、政策・実施のミクロ・マクロの両方の視点から開発に携われるというのがとても魅力的で、今の仕事を選ぶきっかけとなりました。
また大学時代から、「わからなかったらフィールドを見てみる」という精神で、インドやニカラグア、フィリピンでのNGO活動や論文のための調査を行い、その時の体験が今の仕事でも活かされています。このフィールドを大切にする、という精神は学部時代の周囲の仲間や先生からの影響によるものがとても大きいです。
あなたの「越境」体験を教えてください。
学部時代、卒論のフィールド調査でインドのNGOを訪問し、そこで調査とは別に現地で行っているHIV感染予防の啓もう活動のお手伝いをさせていただいたことがありました。活動は現地の村のお医者様と共に行ったのですが、敬虔なヒンディー教徒でもあり、その地域でのHIV予防の重要性については認識しているものの、社会通念上婚前交渉も認めていないのですから、知識としてどこまで伝えたらいいのかということには、葛藤と抵抗がありました。最初は日本の性教育の教材などをベースに資料を作成していたのですが、現地の文化や考え方と相反しない形で受け入れてもらえるものは何か、自分が帰国後も現地で使っていただけるものは何か、ということを考えながらお医者様と共に教材作成を行いました。
国際開発・協力という活動を行う上で「事業の持続性を保つための介入方法」とは何か、ということは、授業等では習っていてわかったつもりになっていましたが、実際に座学だけでなく、小さな越境体験でしたが自身が「学習者」から「実施者」となって現地の人と協働したことで、開発を行う上での現地との関りや姿勢について学んだことがたくさんありました。
この経験から現在、大学や高校のプログラムを設計する際には、視察や調査をして現場を分析したり、批評するだけではなく、小さくても自身で何かプロジェクトを作って、それを現地の人と一緒に作り上げてもらう、という関わり・学び方を大切にしながら、プログラムの企画・提案を行っています。