STORY

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[システムアーキテクトコース]

研究室の外でも挑戦を続け
悪天候でも安全な
自動運転の実現に貢献したい。

中嶋 健翔NAKAJIMA Kensho

情報理工学研究科 情報理工学専攻 計算機科学コース 博士課程前期課程1回生
(情報理工学部 情報理工学科 システムアーキテクトコース 卒業)

PROFILE

神奈川県出身。高校では軽音楽部とテニス部に所属。現在も作曲したりギターを弾いたりしている。研究の息抜きはテニス、サッカー観戦、映画鑑賞。研究面では在学中にトップカンファレンスと呼ばれる学会で発表すること、TIER IV社の「学生研究員」に採用されることを目指している。

悪天候時の自動運転で生じるノイズを
高精度・高速に除去する方法を提案

今、自動運転に関する研究をしています。完全自動化に向けてさまざまな面から課題解決が図られている自動運転技術。私が注目したのは、雨や雪、霧などの悪天候下では、自動運転の「目」であるLiDARというセンサが取得するデータにノイズが入ってしまうという問題です。

学部時代は雪を原因とするノイズの除去について研究を行いました。雪によるノイズの分析を行った結果、3つの特徴を発見。その特徴を利用することによって、既存の方法よりも高い精度で、しかも速く、ノイズを除去できる方法を提案したものです。

悪天候下でのセンサデータ

西尾先生から、この研究成果を英語論文にしてロボティクス分野のトップカンファレンスであるIROSに投稿してみようと言われた時は驚きました。学部生の論文を投稿するなどあり得ないと思っていた学会です。たとえ採択されなくても世界の研究者の目にふれ、コメントをもらえるのを楽しみにしているところです。

3回生から研究室に配属されるのは情報理工学部の強みだと思います。早くから研究の進め方を実践的に学べるからです。どんなに優秀な人でも、研究には積み重ねる時間が必要。その積み重ねの結果、自分なりの成果が出せるというプロセスを楽しいと感じています。

大会で実車両を走行させた経験が
研究面での視野を広げてくれた

課外活動で「自動運転AIチャレンジ」という自動運転技術の大会に挑戦しました。シミュレータ上での予選を261チーム中9位で突破し、決勝に進出。決勝の競技では、実際にコース上で車両を動かします。Autowareという自動運転システムをベースに、プログラムの改変や機能の追加を行い、障害物回避などの課題をクリアしていくものです。

自動運転車両を動かすのは初めてでした。私も乗車していたので、目の前でステアリングが回ったり、加速したりブレーキをかけたり、車両が周囲をどのように認識しているかをモニターで確認できたことに感動しましたし、本当に楽しかったです。自動車メーカーをはじめ他チームとの情報交換もとても有意義でした。当日は暑さでパソコンの動作不良が起きたことで完走できませんでしたが、それも含めて実際の走行ではどのような状況が起こりうるのかを体験できたことで、研究面での視野も広がりました。

私のチャレンジを見て研究室に入ってくれた3回生、次は自分もと言ってくれた4回生がいることをとても嬉しく思っています。今後は一緒に参加したいと考えています。

ここがスゴイ!

私の研究室

My Laboratory

研究で使用している悪天候下走行時でのLiDARデータは世界でも希少なもので、研究室のOBや企業連携によって初めてアクセスすることができ、研究を進めることができました。最新のUWBセンサやBLEビーコン、イヤラブル機器なども、研究に必要であれば購入してもらえます。パソコンは常に新しいモデルを購入するのが先生の方針。高価なデスクトップPCやM2 MacBook Airもすぐ支給されました。学生が研究に集中できるよう配慮していただいていると感じています。

赤外線LiDARで取得したデータから人体の骨格を推定します。

UWBやミリ波レーダなど、さまざまなセンサが研究室にあります。

赤外線LiDARが複数あり、研究室の学生が使用しています。

研究で使用しているパソコン。用途に応じて使い分けています。

temiというパーソナルロボット。人の認識や障害物を回避しながらの自律走行も可能です。

スタートアップでのアルバイトで
他の研究者とのコネクションもできた

自動運転のオープンソースソフトウェアAutowareは、西尾研究室もプロジェクトに参画してきたもの。私は、その開発を行うTIER IV(ティアフォー)社の子会社、Emb IV(エンブフォー)社でアルバイトをしました。シミュレータ上で、さまざまな交通状況のシナリオを作成し、Autowareの適切な動作を検証する業務です。Autowareの仕様や機能をより深く知ることができ、研究に活かすこともできましたし、社内でのミーティングを通して意見交換ができたことも有意義でした。Emb IV社を通して、他大学の自動運転の研究室と交流を深められたことも嬉しかったです。西尾先生が、研究室外でのチャレンジの機会を積極的に与えてくださるおかげで、充実した研究生活を送ることができているのだと感じています。

大学院では、雪だけでなく雨や霧などで生じるノイズに対しても除去可能な手法を研究し、悪天候下での安全な自動運転の実現に貢献したいと考えています。自動運転技術は、ロボットやドローンにも活かせる汎用性の高い技術。修了後の進路は未定ですが、今取り組んでいることを活かしたいと考えています。

教えて!先輩

私の学生生活

Question
Q

研究室はどのように選びましたか?

A

授業で聴いたOBの話+F1好き

3回生の時、西尾先生の授業で、自動運転の研究に携わるOBの話を聴いて興味を持ったのが最初のきっかけです。もともとF1などのモータースポーツが好きだったこともあって「面白そう、やってみよう」と自動運転の研究をすることに決めました。

一休みしたいときはギターを弾いて気分転換。

自動運転AIチャレンジの決勝競技で使用した車両。

中学生から始めたテニス。研究室の仲間とも楽しんでいます。

研究室の仲間との会話は研究に取り組むモチベーションの1つになっています。

Message

情報理工学部を目指すみなさんへ

今の自分にできることだけではなく「やってみたいな」「興味あるな」と感じる気持ちを大事にして進路選択をしてください。情報理工学部は、スポーツや音楽、その他なんでも自分の好きなことを「情報」の観点からつきつめられる学部、新しい興味の対象を見つけることもできる学部です。大学で、自分の「好き」を深めてください。