(Convey) Seminar Reports

Tourbillon (トゥルビヨン)

ゴール
全体として:性暴力が生じる社会的構造を子どもへのアプローチ(性教育)によって変える余地があるということを学問的に裏付ける。また、アプローチの仕方の目処を立てる。(来年度以降、可能であれば学校に性教育の出張授業なども検討したい) 参加者の方:関心や問題意識がふくらむこと。また、身近なこと(社会での出来事だけでなく、身近な人の発言など)と社会の構造的な問題とを結びつけられるようになること。
開催期間
2021年11月または12月~2022年1月
頻度
一週間に一度を目安に講演会を行い、同じ週にそこでの学びを深める勉強会を開く。 どちらも全て参加できる必要はなく、都合に合わせて参加してください。
使用言語
日本語
キーワード
    性教育、ジェンダー、教育社会学

ゼミレポート

 今学期の活動では、メンバー間のミーティングを重ねることで、今後の活動方針の核となるものを得られました。
 私たちTourbillonは、性教育の実践例を作ることを長期的な目標とする団体です。2大学計6学部から11名が参加し、メンター教員の柳原恵先生(産業社会学部)に相談しながら活動を行いました。性教育が専攻でないメンバーが大半であるため、子どものいる現場に向かうまでに、できるだけ学問的な知見を得ることが重要だと考えていました。
 しかし、今学期の活動の主となった「自分の感覚をベースに行うミーティング」を通じて、その方針は変化しました。多くのメンバーが抱いた感想からその理由は明らかです。「ミーティングでは自分の経験を気負うことなく話すことができた。そして、それを真面目にゼミ生が受け取り、さらに、議論もできた。参加してよかった」というようなものです。性やジェンダーに関する経験はなかなか話せないものです。互いへの敬意・尊重と考えを率直に話すことのバランスにより実現できました。
 性暴力やそれを容認するような言説は明確な悪意の集合としてではなく、今まで見過ごされてきたような、加害を加えた人にとっては当たり障りもないような些細なことの集積として引き起こされているのかもしれません。また、その些細なことは、注意深く過ごさなければないものにされてしまうほど、本人の中でも僅かなものです。しかし、これらは確実に誰かを苦しめています。
 ただ、見過ごしやすいものを自覚しようと努力することに精一杯になるのではなく、信頼できる場所で自らを晒してみる経験こそ重要なのではないでしょうか。子どもたちの社会に目を向ける以前に、私たち大人も問題を抱えています。そんな私たちだからこそ子ども達の声を聞ける可能性があるのかもしれません。子どもたちが持つ見過ごされがちな小さなもののなかにこそ、子どもたちにとって良い性教育のヒントがあると考えるようになりました。
 今後、性教育の実践例を策定していくにあたって学問的知見はもとより、私たちの感受性をもって子どもたちの声を拾い上げ、カリキュラムに反映させていきたいと思います。

みらいゼミレポート「トゥルビヨン」