計算構造生物学研究室 (高橋研) バイオリンク4F (B4C)
【研究概要】
生体は組織、細胞、細胞内小器官などから構成され、生命現象とは、それら生体組織を構成する膨大な生体高分子の多様な働きを通して実現されている。生体内の酵素のような分子が特異的な立体構造を取ることによって複雑な生体反応を制御し ている。例えば図のカリウムチャネルのようなイオンチャネルは様々なイオンの透過をコントロールすることで、脳における情報処理や細胞内情報伝達、細胞毒性の制御に関与している。その立体構造を決定する基本情報はDNA に塩基配列の形で保存されている。近年のDNA配列情報および蛋白質立体構造情報の解析技術の大幅な進歩により、膨大な量の1次構造データと、立体構造データが明らかになってきており、構造・機能予測などでバイオインフォマティクスが急速に発展している。
【研究テーマ】 生命構造情報と機能情報を結びつける
研究室では、1次構造情報からの立体構造形成についての解明、そして立体構造情報から、いかにして機能が発現されるかを解明している。実験データに基づいた物理化学的理論の構築、データベース解析などの情報論的手法や、各種分子シミュレーション、エネルギー計算技術など、様々な手法を駆使している。以下に主な研究テーマを紹介する。
1)水和ダイナミクスと分子の構造、機能の解明〜MDシミュレーション
筋肉は超高性能なモーターであり、常温常圧というマイルドな条件で、人類が作った最高のエンジンを遥かに上回る超高効率で化学エネルギーを運動エネルギーに変換できる。近年、そのエネルギー変換において、分子表面の高速に運動する水分子(HMW: Hyper Mobile Water)の挙動が注目されており、筋肉や有機分子の周囲の誘電測定でその存在が示唆されている。ここでは主にMDシミュレーションを用い、まず水和ダイナミクスの謎を解明することで、そのメカニズムに迫ろうとしている。
2)タンパク質が折れたたみ、構造を形成するメカニズムの解明〜MDシミュレーション
最近、天然変性タンパク質の機能と構造に関して最近、研究が進んできており、本研究室では周囲の水に着目し、構造ダイナミクス解析を行っている。
さらにレプリカ交換法などの効率的シミュレーション手法を用いて、タンパク質の構造形成問題などに挑戦している。
3)イオンチャネル分子の機能解明とデザイン〜MDシミュレーション
上で示したカリウムチャネルの仲間として、イオンの透過に関して整流作用を示すカリウムチャネル分子(Kir)が見つかっており、その様々な変異体も作られている。そのチャネルでの印加電圧と透過電流の関係が1 分子レベルで測定されており、それを分子シミュレーションによって再現し、アミノ酸置換の効果を定量的に明らかにすることで、そのメカニズムの解明を行う。さらに新しい機能を持ったチャネル分子のデザイン手法の開発を目指す。
4)結晶の構造形成の解明、オルガネラ密集による機能上昇の解明〜連続体モデルの応用
溶媒を連続体として近似する誘電体モデルは、巨大な超分子での計算を効率的に行うことができる。この手法を結晶のような巨大な分子複合体の構造形成問題の解明に応用し、様々な結晶での分子間相互作用を計算して成長し易い向きを予測しようとしている。高品質な結晶作成は構造解析においても重要である。
またミトコンドリアなど分子からみて遥かに巨大なオルガネラの化学浸透共役の謎にも挑戦している。密集したミトコンドリアでは、排出されたプロトンの濃度が局所的に高くなり、その結果ATP 合成速度が増大しているらしい。このような「化学浸透共役器官は、密集により仕事の効率が増す」ことを示すため、オルガネラ周囲のイオン濃度を環境条件の変化を取り込んでシミュレーション計算を行う。
5)生命ビッグデータ解析によるタンパク質?薬相互作用の網羅的解析
生体分子の構造と機能に関するビッグデータを処理し、知識を引き出す新たな技術を開発している。具体的には、薬などの化合物とタンパク質の分子間相互作用に注目し、新たな薬の設計を助ける計算技術の確立を目指している。例えば、変分ベイズ推定による教師なし学習およびDeep Neural Networkによる教師あり学習を組み合わせた、いわゆる人工知能技術により薬とタンパク質の相互作用構造予測手法を開発した。さらに基礎理論、方法論の開発のみに留まらず、ユーザインターフェイスやwebサービスの設計なども行う。
その他:バイオデータベースからの情報抽出 など
メンバー
教員/スタッフ
名前 | 職位 | 居室 | 内線 | E-mail | | links |
高橋 卓也 | 教授 | B4C または B404 | 4404 | tkhs=at=sk |
| 個人HP、研究者DB |
笠原 浩太 | 助教 | B4C または リンク2F共同研究室 | 4413 | kshr=at=fc |
| 個人HP、研究者DB |
=a=をアットマークに変換して、.ritsumei.ac.jpを加えてください。
2018年度修士
近藤 遼平
佐藤 史彬
島戸 拓也
奥野 雄貴
2018年度学部卒研生
- 長谷川 信哉
- 芦田 凌惟
- 板谷 颯人
- 井辻 大悟
- 久良 知実
- 寺澤 裕樹
- 仲 笙子
- 仲田 淳一
- 吉岡 真呂理
- 宮本 晴貴
アクセス
所在地
びわこ・くさつキャンパス クリエーションコア2階 計算構造生物学研究室
住所
〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1
最寄り駅
JR東海道本線(琵琶湖線)南草津駅
南草津駅から立命館大学行きのバスがあります。
詳しくはこちら
連絡先
計算構造生物学研究室の内線番号は、4413です。
資料
LINKS
内部向け資料
Alumni
教員/スタッフ
名前 | 連絡先 | |
永井哲郎 | tnagai=at=nagoya-u.jp 2013-15 助教 |
|
2017年度修士2回生
2017年度学部4回生
2016年度学部4回生
- 江崎
- 沖田
- 佐久間
- 野中
- 平野
- 文野
- 宮脇
- 山上
2015年度学部4回生
2014年度学部4回生
- 緒方
- 佐藤
- 相原
- 岩井
- 岩田
- 大ア
- 大東
- 松永
- 吉川
2013年度学部4回生
- 石崎
- 宇野
- 佐々木
- 谷口
- 長友
- 板東
- 奥
- 田村
- 馬場
ftp.ritsumei.ac.jp
csb takahashi
/var/www/html/lifescience/bioinfo/takahashi
/mnt/ap208001/htdocs/lifescience/bioinfo/takahashi