中国文学・思想専攻

中国は、3000年以上に及ぶ漢字文化のなかで、さまざまな文学や思想が発展し、それらの精華が現在に伝えられ、また周辺地域にも大きな文化的影響を与えてきました。これほど一貫して継続する文化を有する地域は世界でも希有であり、東洋の漢字文化はまさしく世界に誇る人類の遺産といえるでしょう。
私たちの中国文学・思想専攻は、文学・思想、文化のさまざまな学問領域にすぐれた研究成果を生み、文化勲章受章者の白川静名誉教授に代表されるように、高い学問的水準を誇っています。初年次から卒業年次までの系統的な学びと小集団教育を主軸にし、各領域を専門とする教員による細やかな指導によって、私たちの専攻が培ってきた学問を習得できる態勢が整っています。また本学文学部創設以来の長い伝統を有しており、豊富な書籍・資料類が収蔵されています。それらの活用、また古代漢語・現代中国語の習得を重視した学びを展開し、東洋の漢字文化に広がる興味深い学問的問題を通して人の心のあり方を探究し、世界的規模で活躍する人材の育成を図っています。

中国文学・思想専攻の特徴

  1. 古代から現代に及ぶ文学・思想の種々の問題を探究することで、東アジア文化の基層と本質を知り、また漢字や漢文の豊かな知識を修め、現代中国語の確かな語学力を養って、東洋学的教養を身につけると共に、国際交流や国語教育に活用することができる。
  2. 中国の文学や思想を中心に学びながら、同学域内の東洋史専攻および現代東アジア言語・文化との学びの連係によって、東洋史学的方法や現代中国・朝鮮の状況を視野に入れ、東アジア全般の文化の歴史と現在の動向も学び取ることができる。
  3. 文学・思想の各領域の専門教員による小集団教育によるきめ細かい指導が受けられ、また海外留学の道も広く開かれており、大学収蔵の豊富な文献・資料類の活用だけでなく、実際に中国文化を体験することもできる充実した学びの環境が整備されている。

講義紹介

  • 中国思想概論I・II 「諸子百家」と称されるように中国は思想の分野も古代から多様な発達を見せています。主として孔子・孟子が説いた儒家や老子・莊子の道家の思想など、中国のみならず東アジア世界に深く根付き、東洋的精神をはぐくんだ中国思想の特色、またその思想史的展開などについて解説します。
  • 中国文学概論I・II 中国は古くから文字が発達しさまざまなジャンルが生まれ、世界の文学に大きな位置を占めています。古代から近世までの詩歌や散文、小説、文芸批評など、各ジャンルについて系統的な解説が行われ、代表的作品や作家の紹介もなされ、東アジアに大きな影響を及ぼした中国古典文学の教養が身に付く講義内容です。
  • 中国文学・思想講読演習 中国文学や思想を理解する上で重要な作品を精緻に読解するという原典理解を通し、作家や思想家あるいは作品世界について、またその背景となった歴史・社会について考察を深めてゆきます。古代の詩文いわゆる漢文作品のほか、『三国志演義』『水滸伝』などの近世白話小説や魯迅などの近代文学作品もとりあげます。
  • 中国文学史I・II 六朝時代の詩についての講義を中心にそれぞれの時代の中で詩人たちがいかに生き独自の文学を残していったか、その軌跡を追います。また『三国志演義』や『西遊記』などの小説について、その母体となった諸芸能や周辺環境などについて解説します。
  • 漢文入門 「東洋学のための言語入門」の内容から専門的に進んで、古漢語と語法の理解をさらに高め、また漢字についての知識も豊かにし、漢文読解力を向上させる授業です。日本古来の漢文読解「訓読」の習得を目指しますが、現代中国語の語彙・語法とも関連させた古代から現代に及ぶ「漢語(中国語)」の相互的な理解も重視します。
  • 中国文学・思想特殊講義 中国の文学と思想は古代から多種多様な発達を見せています。個別のテーマを設定し、そこに存在する学問的問題を丁寧に解説し、中国の文学・思想、文化や民族性の特質、東アジアにおける影響などを明らかにしようとする講義内容です。講義のテーマとしては、例えば「文字学(漢字学)」などが行われます。