BKCの東門をくぐるとすぐに何棟もの白い建物が並んでいるのを見ることができます。そこがテクノコンプレク ス。立命館大学が誇る産学官連携の中核研究拠点です。このテクノコンプレクスは立命館大学の研究成果を企業の研究ニーズと結びつけるための施設として建設 されました。この施設はマイクロシステムセンター、SRセンター、ハイテクリサーチセンター、産学連携ラボラトリーなどの様々な研究棟の集合体となってい ます。

テクノコンプレクスには、研究活動と企業をつなぐリサーチオフィスがあります。このリサーチオフィスは「大学の知的資源の活用」「大学の研究・人材育成へ の協力」「大学の研究施設を活用」という三点を結合し、更なる社会貢献を推進するための総合的窓口として設立されました(当時の名称はリエゾンオフィ ス)。このオフィスを中心とした取り組みが評価され、立命館大学は「産業界からの産学官連携の評価」において2005年、2006年と全国の大学の中で1 位を獲得。柔軟かつ迅速に企業のニーズに対応する姿勢が多くの企業に認められました。

[リンク] 経済産業省 技術移転を巡る現状と今後の取り組みについて(平成17年度版)

SRセンター

SRセンターは「テクノコンプレクスの目玉」とも言える研究施設です。案内された実験ホールに入ると、中心に 円柱型の装置とその装置から出る15本のレーンが目に入ります。これが日本の私立大学で立命館大学にしかない放射光装置“オーロラ”です。その特徴は、世 界的にみても最小クラスであるということ。そのため光源点から約3mの距離で光利用が可能です。軟X線領域で光子密度が最大となることや、高い安定性を持 つ電子ビームが存在することも、“オーロラ”が小型ながらも高精度放射光装置だということを証明しています。

この装置につながるレーン“ビームライン”を使って、生きた細胞内構造が観察できます。これは医学分野では注目の研究のひとつです。また、組成分析という ことも可能です。和歌山のヒ素カレー事件の時のヒ素の分析には、放射光が使われたそうです。加えて、超微細構造体加工、例えば蚊の針サイズの微細な加工品 も作ることが可能です。
このビームラインは、1つのラインごとに、企業等に貸し出しすることも出来ます。

[リンク] SRセンターホームページ

 
   
マイクロシステムセンター

産学官連携の一環として一般企業の資金援助と文部科学省の補助金を受け建設されたものです。マイクロプロセス 施設、放射光施設の活用、および学内外の研究者、技術者との交流の場として機能し、新たな産業創出に資する活動を行っています。
この施設は超精密機械を扱うため、ほこりを嫌います。そこで、室内に一定の気圧をかけ、常に陽圧状態に保って部屋にほこりなどが溜まらないような仕組みに なっています。
そのため、この施設の研究室に入るには、髪の毛一本落ちないように帽子を被り、白衣、手袋、マスクの着用が求められます。勿論、普通の紙・鉛筆の使用はご 法度です。

さて、ここで1つ問題です。よく「マイクロ」や「ナノ」という言葉を耳にしますがこれは一体どのような大きさ か知っていますか?

答えは1ナノ=10億分の1メートル
1マイクロ=1ナノの1000倍
ゴマ一粒をナノメートルとして考えると、1メートルは日本列島の北海道から九州までの大きさになります。とてつもない小ささですね。

[リンク]ナノマシンシステム技術研究センター

 
   
ハイテクリサーチセンター

テクノコンプレクスの一角、ハイテクリサーチセンター内に、エコ・テクノロジー研究センターがあります。この 施設・研究センターは持続可能社会を目指したエネルギーの利用と資源循環、それに付随する環境システムの研究・開発を行い、その成果をもって広く社会に貢 献することを目的とし、国内外にわたっての産学官連携によって研究を推進する、という目的のもと設立されました。

ここではエコ・テクノロジーに関する研究を行っています。その中で見せていただいたのが、炭の多様性。1グラムの炭で100平方メートルもの表面積を持 ち、結果的に悪臭を吸収することが出来るのだそうです。また、ここでは炭から作る「キャパシタ」と呼ばれる電池の研究も行っています。これは何度充電・放 電を繰り返しても電池の容量が全く減らないという充放電に優れた電池です。しかし、電池の大きさがものすごく大きくなってしまうという欠点も併せ持ってい ます。現在は電池とキャパシタのハイブリッド化などの研究も行っています。

また、ディーゼルエンジンの燃費の良さに注目し、排気ガスに含まれるススを限りなく減らすという研究も行って います。従来はプラチナ触媒を使っていたのですが、このセンターでは安価な銀でも代用可能だという研究成果が得られました。まさにエコ・テクノロジーの将 来を担う研究が目白押しのセンターでした。

[リンク] エコ・テクノロジー研究センターホームページ

 
   
取材・文石 塚貴也(法学部4回生)