VOICE

黄瀨 美妃
薬学研究科
博士後期課程1年
薬学研究を通して、現在ある薬で治療できない世界中の患者さんを救いたい
育成拠点: 創薬科学研究センター
INDEX
01博士課程後期課程への進学動機、
また現在の研究活動・院生生活について
立命館大学大学院&博士課程に進学された動機をお聞かせください
立命館高校に通っており、私のクラスは、先進的な理数系教育を実施しているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に文部科学省から指定されている特別クラスでした。このため、英語や科学の教科に力をいれており、国際共同課題研究などを通してサイエンスの楽しみを感じる良い経験ができたので立命館大学への進学を決めました。研究者になるという夢を叶えるために大学入学当初から修士課程に進むことは決めていました。博士課程には、希望する企業の研究職に就くための就職事情を鑑みて、博士学位取得はメリットになるだろうと進学を決めました。子どもの頃から、身近な疑問を説明できる生物などの理科が好きで、医療や身体の不思議などに興味があったことから薬学部を選択し、現在の研究室で研究しています。医者ではなく研究者を目指した理由は、現在ある薬で治療できない世界中の患者さんを救いたいと思ったからです。
研究活動と研究に取り組み始めたきっかけをお聞かせください
高校生の頃、通院して薬を服用しなくてはならない時期がありましたが、薬の治療効果には個人差があり、私は治療効果が得られず困っていました。この体験から、「私と同じように治療薬が合わなくて困っている人たちを救いたい」という気持ちになり、研究者を目指すきっかけとなりました。現在はがんや免疫などに関わるタンパク質のスプライシングアイソフォームについて研究しています。実験を進めていく中で多くの疑問点が出てくるのですが、わからないことがわかる面白さや、研究成果が治療薬となって社会に貢献できるかもしれない、ということにやりがいを感じています。

研究活動で不調な時の対処法やリフレッシュの仕方を教えて下さい
研究計画に関して理想と現実のギャップは常にあります。研究計画が思うように進まない時や焦りを感じる時は、立てた仮説が間違っているのか、もしくは自らの実験方法を間違えているかのどちらかですので、一つ一つ確かめながら自分の納得がいくまで実験しています。研究活動とプライベートの両立については、オンとオフを切り替えて”やるべきときにやる”が理想です。ある程度時間を決めて実験を終えることや早寝早起きのように規則正しい生活を心がけています。そして、甘いものを食べることで心身ともにリフレッシュしています。
02NEXTフェローシッププログラム
について
NEXT学生フェローに選ばれて良かったことを教えてください
研究専念支援金の支給によりアルバイトの必要性がなくなり、時間を気にせず実験ができるので、研究に割り当てる時間が増えました。研究費支給では、実験試薬の購入だけでなく、学会参加費や旅費などを支払えるので、地方での学会にも参加しやすくなるなど経済的な利点があります。また、コーディネーターさんが様々なキャリアの研究者の方々と交流する機会を設定してくれるので、女性研究者としてのキャリアプランや就職活動に関する情報を得て不安が解消されました。さらに論文作成などの相談にのってもらうなど参考になることが多く、コーディネーターさんの存在は大きなメリットです。
NEXT学生フェローとしての役割をお聞かせください
研究技術などを身に着けながら研究テーマに沿った成果を出すということが、NEXT学生フェローとしての一番の役割だと思っています。さらに後輩指導や先生方と学生の橋渡しも役割の一つです。具体的には、実験手技や論文紹介、データの解釈や仮説の立て方について支援し、後輩の力になりたいと考えています。
03今後のキャリアプランについて

修了後の進路についてお聞かせください
修了後はアカデミアを視野に入れつつ、製薬メーカーなどへの就職を検討しています。企業では研究職に就いて研究成果を薬として社会に還元するということを第一に考えています。また、目標としていることは、家庭と仕事の両立です。女性研究者として産休や育休を経たとしても研究を続け、活躍できる研究者になりたいと思っています。またそういった経験を通して、同じ状況に悩む女性研究者の活躍を支援できるようになりたいです。
04学部生・院生への
アドバイス・メッセージ
大学院進学を考えている学生へのアドバイス・メッセージをお願いします
周囲の多くが就職するなかで、大学院に進学することで周囲から取り残されるような不安を感じる人もいるかもしれません。ただ、NEXTフェローシップ・プログラムなどの支援や研究者同士、大学院生同士で交流する機会もあるので、孤独を感じることはありません。進む勇気を持って、やりたいことに向かって挑戦してみてください。
(2023年2月 掲載)