研究・産学官連携ニュース

2014.09.10

大学院生命科学研究科修士課程 野村康大氏 国際学会で受賞

大学院生命科学研究科修士課程2回生 野村康大(こうた)氏(指導教員 民秋均教授)は、2014年9月7日~10日にプラハで開催された第22回国際イソプレノイド討論会において英語でポスター発表し、若手研究者を対象とした賞であるPSE (Phytochemical Society of Europe)prize for young scientist communication を受賞しました。

この学術集会は、天然物を扱うヨーロッパの化学者を束ねるポーランド・チェコフォーラムとして発足したものが、イソプレノイドフォーラムと改称するとともに新生したもの。1960年~1970年代は東西の「鉄の壁」を越えて両陣営の化学者が集う先駆的な役割を果たしてきました。今日では、広い研究領域でのイソプレノイド専門家が集まるフォーラムへと発展しています。

発表内容は、植物の葉緑素の一つであるクロロフィルaの長い側鎖の生合成経路の解明に関するもの。生合成中間体は微量しか存在しないため、側鎖部分の中間体候補化合物を多数有機合成して、中間体由来の側鎖構造物とガスクロマトグラフィ法にて溶出挙動を比較検討し、生合成経路を明らかにしました。

クロロフィルは、4つのピロールが環を巻いた構造であるテトラピロールに、フィトール (phytol) と呼ばれる長鎖アルコールがエステル結合した基本構造をもっています。このフィトール部分(フィチル基)は、二重結合が4箇所あるゲラニルゲラニル基として生合成されたのち、3箇所が還元されて産生されます。これらがどのような順番で還元されていくかについて野村氏は明瞭に示すことに成功しました。