矢花 恵未さん

株式会社 大丸松坂屋百貨店 勤務

2002年3月 文学部卒業

プロフィール

2002年3月 文学部地理学専攻卒業。卒業後、株式会社 大丸(現:株式会社 大丸松坂屋百貨店)に入社。婦人服アシスタントバイヤー、マーケティング企画室を担当。海外展示会での買い付けや、社内でのファッショントレンド講師も経験。現在はWEB通販でコスメの販促、CS、物流を担当。2人の子どもを育てながら働く、ワーキングマザー。

私が働くことに対し、楽しいと感じる瞬間は、「社内外の人々と繋がりを感じられたとき」です。学生の頃から、洋服が大好きでアパレル業界で働きたいという思いを持っていました。

きっかけは、旅行。地理学を専攻していたこともあり、在学中によく旅行をしていました。ヨーロッパでは、可愛い雑貨や、アクセサリーなど「本物のファッション」にたくさん触れ、そこから洋服も大好きになりました。現地で見つけた安いサンダルを仕入れて、学園祭で売ったりもしていたんですよ。それがすごく楽しくて、このまま洋服に携わる仕事をしていければなぁと思いましたね。

ただ、その時はアパレル関係で働きたいという思いを持ちながらも、どこか企業に引っかかりたいと必死になっていたのを覚えています。ちょうど私たちの時代も「就職氷河期」だったので、とりあえず働けるだけでも、ありがたいと思っていた面もありましたね。

結果として、私は世間で「大手企業」といわれるところに内定しましたが、中小企業の面接もたくさんうけていました。大切なのは、最初から大手を狙うのではなく、まずは「自分の好きなこと、得意なこと、興味のあること」を突き詰め、そこから企業を絞っていくことだと思いますね。例え、憧れの職業に就けなくても、それに近い仕事、それにつながる仕事、自分自身が納得できる仕事など、自分の軸を通せる仕事を見つけてほしいと思います。

縁あって百貨店に入り、ファッションに携わる仕事をしていても、働いているうちに、ファッションが好きだけど、仕事にしなくてもいいか…と思ったり、辛くて、仕事自体を辞めたいと思うこともありました。でも、辞めることはいつでもできますが、一度辞めてしまうと、もう一度同じ仕事をしたい!と思ってもなかなかチャンスは訪れないと思います。だから、辛くても、働き続けることが大事なんじゃないかなと思います。出産してからも、苦労して好きな仕事を続けてきた、という思いの方が強いからです。続けることは強さだと思っています。

私の周りにいる学生時代の友達で、子どもを育てながらフルタイムで働いている方って本当に少ないんです。私も、保育園の待機児童問題に直面したり子供が病気になった時は子育てをしながら仕事をすることの大変さを感じるときもあります。でも、そういった時は、周囲の活躍しているワーキングマザーをロールモデルにし、頑張ってこれました。目標を持ちながらも、自分の身の丈をしっかり見つめ、自分にあった働き方を選択するのも大切なことですね。好きなことができているからこそ、仕事を続けられていると思いますね。だからやっぱり、「好きなこと、得意なこと、興味のあること」を学生時代に突き詰めることが大切なんだと思います。

今、私が仕事をする上で大切にしていることは、「時間を切り売りしないようにする」こと。ぼーっとしていても同じ給料はもらえますが、それでは子どもを保育園にあずけて働いている意味がないと思うんです。働いている以上は会社に対し、きちんとアウトプットし、お客様に喜んでいただき、自分も輝きたいと思っています。そして、いずれ子どもたちが大きくなったら、またファッションの前線で活躍できる日を夢みながら、今はワーク・ライフ・バランス重視の生活を送っています。

在学生のみなさんへ

学生の間にいっぱい学んでください。特に卒論は大変ですが、苦労した経験は、会社に入ってから絶対に役立ちます。資料を集め、仮説、検証を繰り返し、文章を作成し、自分の結論を発表するという作業は、今の自分の基礎になったと思います。それから、OB訪問は絶対に行くべきだと思います。第1志望の会社なら、2、3人に会って話を聞かせていただいてもいいくらいだと思います。WEBや説明会から見えるのは、その会社のほんの一部です。SNSなども活用しながら、最後は自分の足で現場の声を手にいれた方がいいですね。将来に向けて、今を後悔しないように、精一杯、学生生活を楽しんでくださいね!

取材後記

矢花さんのように、子どもを育てながら仕事を続けるのは大変なことです。それでもやりたいことや好きなことがあるからこそ苦しい状況でも仕事を続けられるのだと思いました。働く環境を何かのせいにするのは簡単なことですが、どんな仕事でも、どんな環境でも自分が選択した理由や求めるものがあれば続けていけるのだと思いました。(岡戸 亜沙美/産業社会学部2回生)

企画・取材・文/田中 裕太郎(文学部4回生)、岡戸 亜沙美(産業社会学部2回生)、鈴木裕加(産業社会学部2回生) 企画/佐藤 陽(政策科学部2回生)、山内 快(経営学部2回生)