Interview05

医療ソーシャルワーカーに興味を持ちました。

仕事の内容を詳しく知りたいです。

人間福祉専攻 3回生 小野田 真優

医療法人社団洛和会
洛和会音羽記念病院
医療介護サービスセンター 西 咲良子 (2022年 人間福祉専攻 卒業)

社会福祉士の資格を取得して福祉分野の仕事に就きたいと考えている人間福祉専攻の小野田真優さん。最近、大学で医療ソーシャルワーカーの方のお話を聞く機会があり、興味を持つようになりました。早速調べてみたところ、仕事の概要は理解できても、具体的な内容まではイメージできません。就職活動はどうすればいいかも気になります。
そこで、社会福祉士の資格取得のサポートをする社会福祉実習指導室の先生に相談してみたところ、医療ソーシャルワーカーとして働く先輩につないでもらうことになりました。医療法人社団洛和会の音羽記念病院に勤務する西咲良子さんにお話を聞きに行きます。

さんしゃ先輩プロフィール

西 咲良子

静岡県出身。2018年、人間福祉専攻に入学。社会福祉士の資格取得を念頭に課程を履修し、桜井啓太先生のゼミでは子どもの貧困に関する卒業論文を執筆。課外活動では吹奏楽部に所属し、コロナ禍で活動休止となるまで、中学生から続けていたオーボエを担当。児童養護施設と大学近くのカフェでアルバイトも。2022年、社会福祉士国家試験に合格、医療ソーシャルワーカーとして医療法人社団洛和会音羽記念病院に就職。休日の楽しみは、最近転居した滋賀県でのカフェ巡り。社会人オーケストラで再びオーボエを吹くことにも魅力を感じ始めている。

病院の中で、患者さんやご家族を
福祉の視点から支える仕事です。

小野田
社会福祉士の資格取得を目指して社会福祉士課程で学んでいます。
大学で医療ソーシャルワーカーの方のお話をお聞きして興味を持ち、仕事のことを詳しくうかがいたくて来ました。
西
すごく嬉しいです。でもどうして医療ソーシャルワーカーに興味を?
小野田
社会福祉士の資格が活かせる仕事はたくさんありますよね。大学でいろんな職種の方からお話を聞く機会があったのですが、その中で、障害者・高齢者・児童などの分野にとらわれず、医療を通して幅広い福祉に関われる仕事って素敵だなと思ったんです。
西
まだ3回生なのにしっかり考えていてすごいですね。
医療ソーシャルワーカーは、病院の中で、患者さんやご家族を福祉の視点から支える仕事で、病院によって仕事の内容はさまざまだと思います。当院は、腎不全の患者さんが血液を体外で浄化する人工透析を行う専門病院。患者さんは外来で通ってこられる方がほとんどですが、さまざまな理由で入院が必要な患者さんもおられます。そういった方が退院される時に、退院後の生活を見据えた支援をするのが主な仕事です。
小野田
どのような支援をするのですか?
西
例えば、透析の患者さんの場合、足の血流が悪くなると、入院して足を切断しなければならないこともあります。そうすると退院しても入院前と同じ生活はできないので、可能な限り問題なく生活できるようにするにはどうしたらいいかを考えて、必要な支援をします。
具体的には、その人にとって必要な社会資源、例えば介護保険や、働けなくなる場合は生活保護などにつなぐこと。そして、退院後の生活について、一人暮らしなのか、サポートする家族がおられるのか、階段の上り下りが必要な家なのかなどの情報を、患者さんから詳しく聞き出して、医療スタッフやリハビリ担当者と共有し、退院までに、どんな医療が必要か、リハビリでどんなことができるようにするべきかを協議することなどです。家での生活が難しい場合は、施設への入所につなぐ場合もあります。

患者さんに寄り添うには
知識だけでなく人間力も必要です。

小野田
患者さんの退院後の生活を支える、とても大切な仕事だということがわかりました。
介護保険などの社会制度について、常に最新の知識を持っていなければなりませんよね。
西
介護保険、生活保護、後見人制度、障害者向けの福祉サービスなど、使うべき制度はたくさんあるので、大学で学んだことをもとに勉強しました。制度変更などに伴う最新知識は、法人が開催してくれる医療ソーシャルワーカー対象の研修会でアップデートしています。
病院で働く以上、医療に関する勉強も必要です。医療スタッフが患者さんの手術の話、検査の数値の話をしていても、知識がないとわからないんですよね。だから、看護師さん向けの専門書や透析の専門書を読んで勉強しています。
小野田
そうなんですね!医療の知識も。
西
私は必要だと思います。でもね、知識は学べば身につきますが、いろんな価値観の患者さんの思いを聞き出し、寄り添うためには、知識だけではなく人間力も必要だと痛感しています。今の状態で家に帰っても一人で生活できるはずがないのに、帰りたいと言う方。逆に、ご家族は帰ってきてほしいのに、まだ帰らないと言う方もおられます。
小野田
難しいですね。そんな時はどうするのですか?医療ソーシャルワーカーとして求められる人柄や素養はありますか?
西
患者さんの価値観を一旦受け入れることが大切だと思っています。なので、人に興味がないとこの仕事は難しいかもしれません。「なぜこうしたいんだろう?」と興味を持って話を聞くことが大切ですし、話を聞くためには信頼関係を築くことが大切です。
院内スタッフの間でも意見の食い違いはあります。でも、私たち医療ソーシャルワーカーが一番大事にするのは患者さんとご家族の思い。それは忘れないようにしています。
小野田
仕事のやりがいはどういったところに感じておられますか?
西
退院後、必要になることの多い在宅介護のサービスには、さまざまな職種の方との連携が欠かせません。ケアマネージャーさん、訪問介護スタッフさん、福祉用具の業者さん…多くの方を巻き込み、院内スタッフも巻き込んで「これで家に帰ってもらえる!」という状況を作れた時、そして無事退院してもらえた時に、心から「ああ良かった」って思いますね。入院という人生の大きな節目に、患者さんに寄り添って一緒に考えられるのは、私にとってすごく大きなやりがいです。
小野田
就職活動はどのようにされたのですか?地元ではなかなか医療ソーシャルワーカーの募集がなくて。自分から連絡して、見学に行かせてもらう日を決めていただくなどしています。この医療法人に就職しようと思われた決め手もお聞きしたいです。
西
私は京都府福祉人材サポートセンターの企画でインターンに行くなどしていました。最初は医療に限定せずに就活をしていたのですが、あるインターン先の先輩の話を聞いて医療ソーシャルワーカーになりたいと思い、その方がいる当法人を志望したんです。介護、保育、教育施設もある大きな法人なので、多様な経験ができそうだと思ったこと、研修制度が充実していることも決め手になりました。
小野田
とても参考になります。国家試験の勉強はいつから、どのようにされていましたか?
西
本格的に始めたのは4回生の秋ごろです。まずは過去問を解いて、わからない点を調べることを繰り返しました。社会福祉実習指導室の隣に雑談スペースがありますよね。授業の後、そこで友達と一緒に勉強し、その場で先生に質問もしていました。直前期には、週1~2回のペースで単元ごとに先生が講座を開いてくださって、重要ポイントをまとめた資料をもらえたのもとても役立ちました。
小野田
私も友達と一緒に頑張ります。

教えて!先輩さんしゃの学生生活

Q大学生活の思い出は?

A実習、アルバイトなど、たくさんあります

社会福祉士課程の実習で特別養護老人ホームに行きました。担当したのは重度の認知症の方。関わり方にすごく悩んだことが心に残っています。また、子どもの福祉に関心があったので、3回生の時から児童養護施設でのアルバイトもしていました。
下宿先は大学の近く。お寺巡りをしたり、パンが好きなので、近くにあるパンと洋菓子のカフェでアルバイトをしたり、キャンパス外での京都暮らしも楽しんでいました。

お気に入りのカフェにて友人と

小さな挑戦を積み重ねるうちに目標が定まり、
想像もしなかったような自分に成長できました。

小野田
西さんは、なぜ、人間福祉専攻を志願したのてすか?
西
福祉を目指す人は同じような価値観になりがちかなと思ったので、福祉以外の専攻もある学部で、いろんな価値観にふれながら学生生活を送りたいと思って、さんしゃを選びました。
仕事で接する患者さんやご家族の価値観は本当にさまざまです。なので、大学でいろんな背景や多様な価値観を持つ友達と関わることができたのは本当に良かったと思っています。
小野田さんはどうだったんですか?
小野田
実は、絶対に福祉の仕事をしたいとか、社会福祉士の資格を取りたいとは思っていなかったんです。母が障害のある子どもと関わる仕事をしていて、幼い時から話を聞いていたことから、なんとなく人間福祉専攻に入学しました。
でも、大学で幅広く学び、いろんな挑戦へのサポートもしてもらえたことで、高校時代には想像もできなかった自分に成長できたと思っています。
西
わあ、素敵ですね。どんな挑戦をしたんですか?
小野田
いくつかあるのですが、2回生の時に、授業の一環として日越友好ベトナム障害児教育福祉セミナーに参加したのは大きな挑戦でした。私にとって初めての海外経験。障害者施設を訪れてお話を聞いたり、現地の福祉制度を学んだりして、制度の違い、価値観が同じ部分と違う部分があると知ったことなどがとても勉強になり、社会福祉士を目指そうと考えるきっかけにもなったんです。
西
それはすごく貴重な経験でしたね。
小野田
はい。さんしゃには学生の挑戦をサポートしてくれる制度や企画がたくさんありますよね。私も小さな挑戦を積み重ねるうち、ベトナムに行ったり、社会福祉士課程を履修したりと、新しい一歩を踏み出すことができました。社会福祉士課程は先生との距離が近く、経験談をうかがったり、先輩とつなげてもらったりと手厚いサポートが受けられます。それで医療ソーシャルワーカーにも興味を持つようになりました。
他専攻、他学部の友だちも多く、これまでに出会った人とは違う生き方にもたくさんふれられたことで、私は視野を大きく広げることができました。以前の私のように目標が漠然としている人こそ、さんしゃに合っていると思います。
西
私もそう思います。小野田さんが、さんしゃの良さを活かして、自分からいろんなことにチャレンジしているのは本当に素晴らしいですね。
その姿勢は、社会人になってもすごく大事だと思います。そのまま頑張ってくださいね。
小野田
ありがとうございます!

総括

これまで、医療ソーシャルワーカーの仕事内容がはっきりとはわからなかったのですが、今日、とても具体的なお話をお聞きしたことで、大変なことも多いけれど、それ以上にやりがいのある仕事だろうなと感じることができました。同じ静岡県出身、同じ学部で学生生活を送ってこられた先輩のお話に共感できることも多く、すごく心強かったです。あと1年間、仲間と一緒に、国家試験の勉強も、就職活動も頑張りたいと思いました

学生プロフィール

小野田 真優

静岡県出身。2021年、人間福祉専攻に入学。社会福祉士を目指し、2回生から社会福祉士課程を履修中。2回生の時、日越友好ベトナム障害児教育福祉セミナーに参加。リフレッシュ方法は走ること。中高で陸上競技部に所属し、今も京都大学のランニングサークルに所属、仲間と一緒に鴨川の河川敷をランニングしている。3回生で初めてフルマラソンに出場、完走した。一人暮らしで、今は料理することが楽しい。