Interview02

スポーツに関わる仕事がしたいです。

仕事の内容はどういったものですか?

どうすれば就職できますか?

スポーツ社会専攻 4回生 嘉正 照波 (立命館大学大学院社会学研究科 進学予定)

株式会社阪神コンテンツリンク
ベースボール事業部 伊東 壮大 (2014年 スポーツ社会専攻卒業)

高校生の時からスポーツ業界で働くのが夢であるスポーツ社会専攻4回生の嘉正照波さん。どんな仕事があるのか、就職活動はどうすればいいのか、情報の少ない中、自ら行動してバスケットボールB.LEAGUEのクラブのインターンシップに参加。スポーツで人が感動する現場に立ち合える仕事の面白さと、ビジネスとしてのスポーツに関わることの難しさ、その両方を垣間見てきました。
大学院進学を決め、もっと広く業界のことを知りたい、実際に働く人の話を聞きたいと思った嘉正さん。プロ野球の世界で広告の仕事に携わる阪神コンテンツリンクベースボール事業部の伊東壮大さんを訪ねました。

さんしゃ先輩プロフィール

伊東 壮大

大阪府出身。2010年スポーツ社会専攻に入学。在学中「アメリカのスポーツ文化・ビジネスに関する研修プログラム」に参加。漆原良先生のゼミでは「運動有能感を高める指導法」の研究を行う。課外活動では野球サークルに所属、北野白梅町の居酒屋でアルバイトも。卒業後は大手スポーツクラブへ就職、2015年に現職である阪神コンテンツリンクへ入社。阪神タイガース・阪神甲子園球場の総代理店として法人向けのスポンサー営業・企画に携わる。一番のモチベーション回復法は学生時代の友人と会って初心を思い出すこと。

案件ごとにすべて業務内容が違うので
毎日新鮮な気持ちで仕事に向き合えます。

嘉正
私もスポーツ関係の仕事をしたいと思っているのですが、情報が少なくて、仕事の具体的な内容がよく分かりません。伊東さんのお仕事について詳しく教えていただけませんか?
伊東
阪神タイガースと阪神甲子園球場の総代理店として法人向けの広告スポンサー企画・営業を行っています。阪神甲子園球場の広告媒体をはじめ、阪神タイガースの持つコンテンツを活用した販促キャンペーンなど、阪神タイガース・阪神甲子園球場のブランド力を生かした企画をさまざまな業種のクライアント様へご案内しています。
嘉正
日々の仕事内容はどのようなものですか?
伊東
販売商品として一番想像してもらえそうなのは、甲子園球場の広告看板でしょうか。あとは嘉正さんもスポーツ観戦に行くと目にされたことがあると思いますが、試合そのものに協賛がついていますよね?1dayスポンサーゲームという商品で、その協賛販売も行っています。これらはほんの一例で、日々さまざまな商品を企画し営業活動を行っています。
嘉正
もともと営業の仕事を希望されていたんですか?
伊東
正直なところ、入社前から現在の業務を把握して営業を希望していたかと言われると、そうではなかったです。私も嘉正さんと同じく、スポーツの仕事を色々と調べていましたが、入社してから見えた部分がたくさんありますので、今、嘉正さんが具体的な仕事内容について分からないのも当然だと思います。
今は営業で本当によかったと思っています。商品を企画・営業するこの業務は、営業部署だけでなく、チケットやグッズ、飲食部署などさまざまな部署と連携しながら、クライアントと、その先にいるエンドユーザーのニーズを形にし、販売する仕事。ニーズも日々変化するので、同じ業務内容はなく、毎日新鮮な気持ちで仕事に向き合うことができています。
嘉正
部署を横断したり、自社と外部とをつないだりするのは魅力的ですね。
伊東
すごくやりがいはありますよ!それぞれの部署の間に立って調整するのは一筋縄ではありませんが、自分が携わった企画が身近なメディアやショッピングセンターなどで取り上げられ、世間から良い反応があった時は、スポーツを通して社会に貢献できていると確かなやりがいを感じます。
私たちの仕事は、常に熱いご声援をくださるファンの方々はもちろん、さまざまな業種の企業様からも多大なるご支援をいただいて成り立っています。今後も、企業様とはWIN-WINの関係性を前提に力をお借りしながら、プレイそのもの以外の周辺コンテンツも充実させていくことで、ファンの方々のみならず、地域の方々にもスポーツ文化の持つ力の大きさを知っていただき、スポーツを通して社会に貢献したいと考えています。

「新卒でプロスポーツチームに入る」だけではなく
違う業界で経験を積む方法もあるんですね。

嘉正
中途採用で今の会社に入社されたそうですが、大学時代の就職活動や転職のことを聞かせていただけますか?
伊東
新卒時はプロスポーツチームに関わる仕事の募集が少なく、募集があった関西ではない某プロ野球チームを志望したものの、入社はかないませんでした。新卒入社した会社の勤務地だった関東でスポーツ関連のセミナーに参加していたところ、そのセミナーで繋がりができた方から当社の募集情報を教えていただき、縁があって現在に至ります。
嘉正
私はずっとバスケをしてきたので、いつかB.LEAGUEのクラブに関わりたいという気持ちがあります。どの競技でもスポーツ業界は新卒採用が少ないため、新卒で入るのは難しいと聞きました。
伊東
私も就職活動当時、プロスポーツ業界にお勤めの先輩方から同じように聞いていました。一見華やかだが、他業種と比べまだまだ小さな業界なので、採用、育成にかけるお金と時間がなく、より即戦力が求められる。だから、スポーツが好きな気持ちはもちろん大切だけど、それよりも志望する業種、つまり営業なら営業、広報なら広報の経験が優先されると。今となれば先輩方のおっしゃっていたことがよくわかります。
だから今はあまり志望業界を絞りすぎず、柔軟に、長い目で考えてみてもいいんじゃないでしょうか。実際に、プロスポーツ業界への志を持ち続けていた大学時代の仲間が、社会人経験を積んだ後、ここ数年で次々とこの業界に転職してきているんです。別のプロ野球チームに入った仲間もいますよ。大学時代に熱く語り合っていた仲間と業務上の関わりがあること、プライベートでも、今も同じ志を持って話ができることは本当に嬉しいです。
嘉正
すごく勉強になります。私はB.LEAGUEのクラブでのインターンシップ経験を通して「お客様の顔が見える場所」で働くのが好きなんだと気づきました。だったら「新卒でプロスポーツチーム(クラブ)」だけにこだわらなくても、エンタメやホスピタリティの業界で経験を積み、最終的にスポーツの現場に行けたらいいのかなとも思いました。
伊東
「お客様の顔が見える場所」での業務、興行に関わる業務ですよね。とても良い考えだと思います。スポーツ以外にも様々なエンタメ興行がありますよね。例えば弊社には野球事業のほかに、音楽ライブを担当する事業部もあります。野球も音楽ライブも興行のノウハウで共通する部分はあると感じています。先程お話した友人たちのように、即戦力が求められる業界だからこそ、プロスポーツ業界への志を持ちながら、違う業界で経験を積むことは一つの方法だと思いますよ。
B.LEAGUEのクラブでのホームゲーム運営スタッフの一員として

教えて!先輩さんしゃの学生生活

Q大学時代、印象に残っている出来事は?

A「アメリカのスポーツ文化・ビジネスに関する研修プログラム」 で アメリカのスポーツ文化に触れたことです

2回生の時、「アメリカのスポーツ文化・ビジネスに関する研修プログラム」に参加し、各スポーツチームがトレンドを取り入れることを常に念頭に置いた企画を通して地域に愛されたチーム作りを行っていることを知り、スポーツ文化の持つ力の大きさを肌で感じました。特に印象に残っているのはサンディエゴ・パドレスの本拠地、ペトコパークでのフィールドワークです。スタジアム中心の街づくりに感銘を受けました。帰国後、生まれ育った関西でスポーツの持つエンターテイメントの力を伝え、スポーツを地域の人々にとってより身近な文化にすることで社会に貢献したいと強く思うようになりました。

※2024年度は「異文化理解フィールドワーク」として、当時と異なる内容で開講予定。
ペトコパークの記者席にて球団関係者の説明を聞く

ダブルメジャー制度を活用した学びや、ゼミでの経験は
社会に出てからも活かされていると感じています。

伊東
今、大学ではどんなことを学んでいるのですか?
嘉正
金子史弥先生のゼミで、バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)の運営状況や地域貢献活動に関する卒業論文を書いているところです。ゼミ生の中にはスポーツ経験のない人もいて、競技者目線での研究だけでなく、スポーツ・メガイベントと地域活性化の研究、スポーツ観戦者に関する研究など、さまざまな切り口からスポーツにアプローチする志の高い人が多く、話していると自分の発想も広がります。
大学院では、B.LEAGUEのクラブとスタジアムの関係から地域活性化を考える研究を計画しています。
伊東
B.LEAGUEのクラブでの現場経験ともリンクしていて楽しそうですね。素晴らしい環境だと思います。
嘉正
はい。家族、学校、国、世界といったさまざまな社会とスポーツとの関係を考えられるのがさんしゃの良さ。社会学的な立場から見るスポーツは、スポーツの立場から見る社会とは全然違うなと感じています。
伊東さんは、大学での学びが今の仕事にどう結びついていると感じますか?
伊東
ダブルメジャー制度などを活用し、スポーツだけでなく多角的に社会学を学んだことから、社会は絶えず変化しているという当たり前のことを身にしみて学びました。海外研修プログラムを通して、情報の断片だけで理解したつもりにならず現場で全体像を見る大切さを知り、ダブルメジャー制度のメディア社会専攻での学びとリンクしたことも印象に残っています。
4年間お世話になった恩師・漆原先生からは、目の前にある物事に対して常に疑問を持ち自問自答することの大切さを教わりました。卒業論文の執筆においても、スケジュール管理やホウレンソウ(報告・連絡・相談)がいかに大切かなどを厳しく指導していただき、それらの学びが現在の業務にも大きく結びついています。当時は大変でしたが、社会に出てからさんしゃで学んだことが活かされていると感じることが多く、先生方には本当に感謝しています。
ゼミのフィールドワークで釜石鵜住居復興スタジアムを訪問
嘉正
学生の間にやっておけばよかったと思うことはありますか? これまでの学生生活でちゃんと学べているのかな?という不安もあって。
伊東
在学中、私も某球団のインターンなどに出向いていたのですが、どれも単発でした。嘉正さんがB.LEAGUEのクラブでのインターンでさまざまな経験をされているお話を聞くと、私ももっと現場を経験したかったと思います。イベントは生き物。現場でしか分からないことが絶対にありますから、嘉正さんが自発的に参加されてきたことは間違ってないと思いますよ。
嘉正
ありがとうございます。コロナ禍で人と関わることが少なかった分、イベントやボランティアなどに誘われた時は、興味がなくても全部行こうって決めたんです。行ってみたら交流も生まれて、次の出会いにつながることも分かりました。インターンもそんな出会いから実現できたことなんです。
伊東
在学中の出会いは大切にしてほしいなと思います。学生時代の仲間からしか得られない力みたいなものがあるんですよね。いつ再会してもすぐに学生時代の関係性に戻れる、そんな仲間達が日々頑張って生活している話を聞くと、初心を思い出して頑張ろうと思えます。
でも嘉正さん、それはスポーツの魅力にも繋がると思いませんか?頑張っている選手を見たら、よし私も頑張ろうって思いますよね。
嘉正
そうですよね!私もラグビーW杯やJリーグ開幕時の動画を見ると、すごくモチベーションが上がります。
伊東
そんな人が一人でも増えるよう、スポーツの良さを伝えていきたいですね。
スポーツという素晴らしい文化に携わる仕事をさせていただいているからか、「仕事、楽しそうだね」と言われることが多いです。同窓である嘉正さんのお話を聞いて刺激を受けました。私も負けないように頑張ります。
嘉正
私もそうなれるよう頑張ります!

総括

「スポーツに関わる仕事」は本当にさまざまで、そこに至るルートも一つじゃないということがよく理解できましたし、伊東さんがいきいきと話してくださった営業の仕事がすごく面白そうで、これは新たな発見でした。今までやってきたことを「間違ってない」って言ってもらえたのは自信になりましたし、逆に考えすぎだった部分も教えてもらい、視野が広がったような気がします。

学生プロフィール

嘉正 照波

愛知県出身。2020年、スポーツ社会専攻に入学。保健体育科と社会科の教員免許状取得を目指して教職課程を履修。金子史弥先生のゼミに所属し、現在「バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)と地域活性化」をテーマに卒業論文を執筆中。課外活動では子どもの頃から続けてきたバスケットボールのサークルに所属し、アルバイトで小学生への指導も行っている。卒業後は立命館大学大学院社会学研究科に進学予定。モチベーションを上げてくれるのはスポーツの動画を見ることと、頑張っている人に会うこと。実家に帰って家族と美味しいごはんを食べるとリフレッシュできる。