Interview01

念願かなってテレビ局に入社します。

どんな仕事や生活が待っていますか?

メディア社会専攻 4回生 田島 かのん (静岡放送株式会社 内定)

株式会社毎日放送 制作局 辻本 敬詩 (2017年 メディア社会専攻 卒業)

テレビが大好きで、幼い頃からアナウンサーになるのが夢だったメディア社会専攻4回生の田島かのんさん。出身地のテレビ局、SBS静岡放送から総合職での内定を得て、念願だった「地元の魅力を発信する仕事」に携わることになりました。
これから始まる仕事に意欲はあるものの、テレビ局は未知の世界。どんな仕事なの?職場環境は?生活は不規則?わからないからこその不安もよぎります。
そこで、同じ根津朝彦教授のゼミに所属していた先輩で、MBS毎日放送で情報バラエティ番組の制作に携わる辻本敬詩さんを訪ね、テレビ局社員の「リアル」や、卒業までの過ごし方などについて聞きました。

さんしゃ先輩プロフィール

辻本 敬詩

兵庫県出身。2013年、メディア社会専攻に入学。根津朝彦教授のゼミに所属し、卒業論文のテーマは「暴力団とメディア」。立命館大学放送局(RBC)でも活動。2017年、株式会社毎日放送に入社、報道情報局報道部で記者として大阪府警などを担当。2022年より制作局制作部でディレクターとして情報バラエティ番組『せやねん!』を担当中。休日は録りためたテレビ番組を見たり、映画を見たり、小旅行などをして過ごす。年に1度は約2週間の有給休暇を利用して海外旅行も。

テレビが大好きだったので、番組制作を志望して入社。
好きなものを自分で作れるのは、めちゃめちゃ楽しいです。

田島
辻本さん、私も静岡放送に総合職として入社することになりました!日々どんな仕事をされているのか、すごく興味があります。
辻本
おめでとう。静岡放送といえば毎日放送と同じ系列局ですよね。僕は、毎日放送に入社して5年半は、報道局の記者として主に事件の報道をしていました。2022年に制作局に異動し、『せやねん!』というバラエティ番組のディレクターとして一部のコーナーを担当しています。芸人さんと街でロケをして、編集し、放送するのが今の仕事です。
田島
『せやねん!』私も見ています。「街ぶら」をして通りがかりの人の話を聞くなど、たくさんのコーナーがあって、長く愛されている番組ですよね。私もいつか、あんな番組が作りたいと思っています。仕事は楽しいですか?
辻本
めちゃめちゃ楽しいですよ。僕はテレビっ子だったので、もともと番組制作を志望して入社したんです。好きなものを自分で作れるなんて、楽しいに決まってますよね。制作局ではVTRの編集もディレクターの仕事です。1日かけてロケをしても、放送するのはわずか20分ほど。この部分を何秒使って、テロップをのせて…パソコンで作業するのですが、未熟なこともあり、ものすごく時間がかかります。
でも、そのVTRを見て、生放送のスタジオで百戦錬磨の芸人さんたちが笑ってくれていると、苦労が報われたようで本当に嬉しいです。僕にとって大きな仕事のやりがいです。
田島
私もテレビが大好きで放送局を志望したので、お話を聞いてなんだかワクワクしてきました! 職場の雰囲気や、働く環境はどうですか?
辻本
入社前に想像していた昔ながらの徒弟制度や暴言を浴びるということはなく、お互いに配慮し合えるいい人ばかりの環境です。制作現場には外部のスタッフさんもたくさん出入りしていますが、社内にも社外にも目標にできるすごい人がたくさんいるのは本当に恵まれていると思います。そして、サボっている人が一人もいないのが制作現場。それは逆にプレッシャーになることもありますね。頑張るのは当たり前で、それだけでは人と差をつけることはできない。その意味では厳しい世界かもしれません。
田島
そうなんですね。私は「頑張れる環境」がある会社で働きたいと思っていたので、すごく希望を感じました。

ジャーナリズムを学んでいるので報道にも興味があります。
でも、色々な仕事にチャレンジしてみたいです。

田島
テレビ局にも色々な職種があるので、どこに配属されるかは気になります。辻本さんは制作志望で入社したけれど、最初は報道局に配属されたんですよね。記者の仕事は精神的にも大変だと思うのですが、どう向き合っていたのですか?
辻本
僕も大学ではジャーナリズム論の根津先生のゼミにいて、卒論のテーマは「暴力団とメディア」。事件や報道にも関心があったので、やりがいは感じていましたよ。 闇バイトの応募者を装って強盗の指示役に接近し、直前で犯行を止めるという貴重な経験をしたこともあります。ただ、ジャーナリストとしての責任は常に感じていましたね。なぜ実名で報道するのか?公共性を盾にして被害者の人権を侵害していないか?日々事件に追われながらも、自分なりに納得できる答えが出るまで考え続けました。
田島
やっぱり大変な仕事ですね。私も根津ゼミでジャーナリズムを学んでいるので、報道にも興味があります。でも色々な仕事にチャレンジしたいなと思います。一つの部署での経験は、違う部署に行っても活かせるものですか?
辻本
活かせてますね。今、若い人は電話をしないと言われますが、報道局では取材のために電話をすることが多かったので、今も電話取材は得意ですよ。商店街の端から端まで1軒ずつ電話してネタを探すのも苦ではありません。世の中には、ネットでは見つからない情報があるんですよね。地道な聞き込みを続ければ、そんな情報にもたどり着けるということを、報道の経験で実感しました。
田島
テレビ局の仕事は不規則なイメージがあって、家族が心配しています。今、どんな生活スタイルですか?
辻本
朝は、定時に出社する必要はありません。だから、ある程度は自分の思うような生活を組み立てることができると思いますよ。ただ僕の場合、編集作業中に素材が全部可愛く感じられて、カットできなくなり、気がついたら何時間もたっていることが多いんですよね…尊敬する先輩や外部スタッフさんみたいに、早く判断できるようになりたいですね。

教えて!先輩さんしゃの学生生活

Q振り返って、根津ゼミの良さはどこにあったと思いますか?

A劣等生だった僕にも自信をつけてもらえたことです。

根津先生は一人ひとりのことを本当によく見てくださっていました。ゼミのメンバーの多くが新聞社志望。すごく優秀な人が多くて、成績もよくない僕は少し劣等感も持っていました。でも先生は「君は面白いからそのまま頑張ればいいよ」といつも言ってくださっていて。おかげで僕も、自信を持ってやりたいことに向き合えました。ゼミで身につけた読書の習慣が、就職活動での評価につながったことにも感謝しています。

学生時代、根津ゼミのメンバー

さまざまなフィルターをつけ替えながら多面的に社会を見る。
今の仕事に必要なことを産業社会学部で学びました。

辻本
田島さんはどうしてテレビ局を志望したんですか?
田島
幼い頃からアナウンサーになるのが夢だったんです。だからメディア社会専攻を志望しました。アナウンサーにはなれなかったけど、地元の魅力を発信できるテレビの仕事ができることになり、ようやくスタートラインに立てたかなと思っています。
辻本
僕も、テレビの仕事がしたくてメディア社会専攻を志望しました。今思うと、産業社会学部で学んだ一番大きなものは、「社会の見方」です。俯瞰で大きく見たり、逆に「寄り」で見たり。印象に残っているのは「比較宗教論」の授業です。宗教に関わる大きな出来事が続いた時、興味本位で履修したんですが、宗教というフィルターを通して社会を見ると、違う景色が見えたんですよね。宗教に限らず、興味があることを幅広く学んで、さまざまなフィルターをつけ替えながら多面的に社会を見ることは、今の仕事にも絶対に必要な姿勢だと思います。
田島
私は、授業の中で身近な問題について考える機会がたくさんあったので、社会の出来事を自分事として考える習慣を身につけることができました。それが就職活動でも活きたと思います。ダブルメジャー制度でスポーツ社会専攻の授業も受け、スポーツに関して掘り下げた知識が得られたこともプラスになりました。ゼミの存在も大きいです。優秀な仲間に刺激を受け、負けないようにと自分からアクションを起こせるようになったことが、希望の就職につながったのだと思います。
辻本
根津ゼミではたくさん本を読みましたね。おかげで読書の習慣が身につきました。田島さんもこれから経験すると思いますが、あるテーマで取材しようとなった時、僕は勢いで人に話を聞きにいくことはしません。まずは本を読んで知識をつけ、自分なりの考えを持ってから詳しい方の話を聞きたいんです。根津先生に、社会人としての基礎力を鍛えていただいたと思っています。
田島
私もゼミで読書の習慣がつき、バッグの中にはいつも必ず本が入っています。本を読んで自分で考えることは大切にしたいですね。入社まであと半年です。それまでの過ごし方についてなにかアドバイスをいただけますか?これからどんな風にテレビを見たらいいのかなと考えることもあります。
辻本
社会人になったら、もうテレビの一視聴者には戻れません。今の僕のように「このロケ大変だろうな」など制作側の視点を持ってしまうのは、面白い番組作りには邪魔になることがあるんですよね。だから、今のうちに、視聴者としてどこが面白いのかを意識しながら、テレビ以外のメディアも含めた中から、自分に響くものを積極的に探すのも一つの方法じゃないかな。でも一番大事なのは、「今」を楽しむこと。今しかできないこともたくさんあると思います。少しでもやりたいと思ったことはやっておいた方がいいと思いますよ。今、テレビ以外のメディアもたくさんあるけど、「たまたま見た番組が面白かった!」と言ってもらえるのはテレビにしかない良さですね。そんな番組を作れるよう一緒に頑張っていきましょう。
田島
ありがとうございます!

総括

テレビの仕事に不安もありましたが、辻本さんのお話から、すごく仕事を楽しんでおられることが伝わってきましたし、最前線で仕事をされている方のエネルギーも感じました。私もそんな風になりたい!という気持ちが湧いてきて、入社がとても楽しみになりました。「今しかできないことを」という言葉もすごく響きました。どうしようかと悩んでいた気象予報士の資格取得にチャレンジしようと思います。

学生プロフィール

田島 かのん

静岡県出身。2020年、メディア社会専攻に入学。根津朝彦教授のゼミに所属し、現在、「富士宮焼きそばと町おこし」をテーマに卒業論文を執筆中。2023年度ミス富士山コンテストでグランプリに選ばれ、静岡県富士宮市の顔としての活動も行う。NiziUのファンで、旅行を兼ねて全国のライブを追いかけるため、アルバイトにも力を入れている。モチベーションアップにエナジードリンクは欠かせない。