飴山 惠

氏名     飴山 惠(AMEYAMA Kei)
ポジション  教授
研究テーマ  

 

材料工学とは

<材料工学>という学問は、料理を勉強するようなものです。和・洋・中・イタリアン・エスニック・・・、素材は同じでも、料理はその方法でずいぶんとできあがりが違ってきます。出汁(だし)やソース、スパイス、様々な味付けで、いろいろと楽しめます。実は、材料も同じです。私たちのまわりにあるいろいろな道具や器具も、その素材をよく見ると百以上もある元素の中のせいぜい20数種類の元素の中からの組み合わせです。でも、その組み合わせや味付け、料理方法で、明石海峡大橋を支える柱やワイヤーロープになったり、iMacのCPUになったり、様々な性能を持った材料に変身します。「材料工学」は、「材料」のための料理のレシピを作る学問なのです。

きっかけ

たまたま紫水晶の結晶を見て、あの自然の持つ美しさに惹かれて材料の世界を選びました。自然は一見、ランダムで不規則な形ばかりのようですが、その中のミクロの世界へ入ってゆくと、見事に規則的でとても美しい世界があるのです。そして、大学院生の時に電子顕微鏡で覗いた原子の整然と並ぶ様、熱でひょいひょいと動く結晶の中のしわ(転位といいます)。ついつい「覗き」の世界に魅せられ、原子サイズから の新しい材料の開発、つまり、「創作料理」のレシピづくりにはまりました。

失敗したこと

もちろん万事がうまくいったわけではありません。最大の失敗は、薄膜を電子で透過させてナノ構造を観察する電子顕微鏡を覚え立ての頃。それまでになく(実際、その後の20数年の経験の中でもないくらい)どこまでもどこまでも薄くきれいな最高の試料ができたときのことでした。ほんの小さなゴミが試料のすみの方についていました。よし、超音波洗浄でとってしまおう・・・イソップ物語の、水に映った骨をくわえた自分の姿に吠えた犬、の物語を思い出しました。超音波洗浄で試料の薄いところは全部なくなっていました。(思い出しただけでも暗い気分になる・・・)

これから

21世紀は、「IT」、「環境」、そして「材料」の時代です。20世紀の後半から登場した様々な新材料が、今の私たちの快適な生活を生み出しました。たいていの人が持っている携帯電話のアンテナが、実は、金属で、しかもナノメーターの世界の原子の規則正しい動きのおかげで、あんなにもしなやかに大きく曲がるということ(ふつうの針金ではああはいかない)、皆さんは知っていましたか?材料はまだまだ進化します。ジブラルタル海峡のような大海峡にかかる超長大橋をかけるための材料から、体の奥のホントに小さな患部へ薬を届けるマイクロカプセルまで、材料の新しい料理方法の発見が期待されています。

主な研究分野

  • 金属材料、セラミックス材料の組織制御
  • 粉末冶金分野における微視的構造解析


学歴

  • 1979年3月  京都大学工学部冶金学科卒業

  • 1983年3月  京都大学大学院工学研究科修士課程修了

  • 1986年3月  京都大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学

  • 1987年1月  工学博士(京都大学)

             博士学位論文題目:「2相ステンレス鋼におけるα相からのγ相析出挙動に関する研究」

職歴

1979年~1980年     信州精機(株)(現:エプソン(株))


1986年~1992年     立命館大学理工学部助手


1992年~1996年     同 助教授


1996年4月~       同 教授 (現在に至る)


2001年4月~2003年3月  立命館大学総合理工学研究機構,材料・生産技術研究センター長

 

学外

1989年~1990年  NSERC客員研究員,Department of Metallurgy and Materials Science, University of Toronto, Canada

 

1996年       通産省工業技術院招聘研究員

 

1997年~2002年  NEDOスーパーメタル技術委員会委員

 

 

学会

  • 日本金属学会
  • 日本材料学会
  • 日本鉄鋼協会(評議員)
  • 日本粉体粉末冶金協会(理事:副会長2016)

 

受賞

1987年3月   金属組織写真奨励賞((社)日本金属学会)
         「2相ステンレス鋼のフェライトから析出したオーステナイトの形態」

 

2001年3月   西山記念賞((社)日本鉄鋼協会)
         「粉末冶金法における組織制御に関する研究」

 

2001年9月   第49回日本金属学会論文賞
          「3次元でのNear-Coincidence Site Lattice解析による2結晶間の結晶学的方位関係と異相界面構造の検討」
          日本金属学会誌, 64(2000), 42-49.宮野公樹,飴山惠

 

2007年11月  日本粉末冶金工業会PM研究促進奨励賞

         第62回日本金属学会論文賞

 

2014年9月  「Application of Harmonic Structure Design to Biomedical Co-Cr-Mo alloy for improved mechanical properties」
         J. Materials Transactions, 55(2014), 99-105.Choncharoen Sawangrat, Osamu Yamaguchi, Sanjay Kumar Vajpai and Kei Ameyama

 

2015年5月   H27年度研究功績賞 (社)粉体粉末冶金協会、
         「高強度・高靭性材料創製のための調和組織制御法に関する研究」