政策分析技法入門 第6講 (2000年5月18日)

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第6講 微分2−微分と最大値最小値問題

講義の目的
 1)極大・極小の概念及び極値(極大値、極小値)や最大値・最小値の求め方を理解する。
 2)第2階導関数の概念を理解する。
 

1.関数の増減表
 極大・極小とは・・・
  ある一定の領域の中でもっとも大きい、または小さい値。
  一つとは限らない。

     

 「y=f(x)について、x=aのとき、f(x)は極大をとる」という表現をする。
 f(a)という具体的な値は、「極大値」という。

 「極値」という言葉は、「極大値」と「極小値」の両方を指す。

 例1:2次関数 y = −x + 6x の増減

  <平方完成>
  y = −x + 6x =(x−3)+9 より、グラフを描く。

   x = 3のとき極大値9をとることがわかる。

  

  <微分>
  導関数 y´= −2x − 6 = −2(x − 3) から以下のことがわかる。

   y´> 0 となるxの範囲は、x < 3
     このとき、接線の傾き y´はプラスであるからグラフは右上がり。
     y の値は、x の増加とともに増加する。

   y´< 0 となるxの範囲は、x > 3
     このとき、接線の傾き y´はマイナスであるからグラフは右下がり。
     y の値は、x の増加とともに減少する。
  
   y´= 0 となるxの範囲は、x = 3
     このとき、接線の傾き y´はゼロ(0)であり2次関数の頂点となる。
     y の値は、x の増加とともに増加する。

   以上のことは「増減表」で簡潔に示すことができる。

   増減表
  
   x < 3のとき y´> 0(接線の傾きが正)
   x = 3のとき y´= 0(接線の傾きが0)
   x > 3のとき y´< 0(接線の傾きが負)

   y´= 0で極大値 y = 9 をとる。
   (ここでは最大値であり、最適解を得ることができる)

   ただし、y´= 0 は極値を求めることはできても、それが、極大値か極小値か決めることができない。
   (たとえば、y = x では y´= 0 のとき、極小値を取る。)

   必ずしも極大値を得られない・・・y"(第2階導関数)が正か負で極大・極小の区別ができる。
 

 例2:3次関数y = x − 3x の増減

  導関数 y´ = 3x − 3 = 3(x + 1)(x − 1)

  増減表

  

   極大 x = −1 のとき、極大値 y = 2
   極小 x = 1  のとき、極小値 y = −2
 

2.第2階導関数の概念
 1)距離、速度、加速度 の関係

   y = f(x)で、yを距離、xを時間とした場合、
    y´ = f´(x) 距離を時間で微分・・・速度
    y"  = f" (x) 速度を時間で微分・・・加速度

    y" > 0・・・時間とともに加速 速度は速くなる
    y" < 0・・・      減速    遅くなる

 2)第2階導関数は「接線の傾きの変化」を示す。
   y´は接線の傾き、y" は接線の傾きの変化 を示す

    y" >0・・・接線の傾きは逓増する
    y" <0・・・接線の傾きは逓減する

   増減表を書かなくても極大・極小がわかる。

 3)y = f(x) において、f´(a) = 0 であるとき、

    f" (x) > 0 ならば、f(x) は x = a で極小
    f" (x) < 0 ならば、f(x) は x = a で極大

   一般的に、y´ = f´(x) = 0 を満たすxに対応するyが極値をとることはわかる。
   しかしそれが、極大値か極小値かはわからない。極大値か極小値かの情報を得るためには、第2階導関数を求める必要がある。

   例2の場合、y"  = 6x  したがって
    x =  1のとき、y" >0 であるから、y = −2は極小値
    x = −1のとき、y" <0 であるから、y =  2は極大値 となる。

3.最大最小値問題
 例:次の関数の最大値と最小値を指定された定義域(xの範囲)内で求めよ。

   y = 2x − 9x     (−1 ≦ x ≦ 5)

   導関数  y´ = 6x − 18x = 6x(x − 3)

   増減表
   
   

  したがって、x = 5 のとき、最大値 y = 25
        x = 3 のとき、最小値 y = −27

        x = 0、y = 0  ・・・極大であるが最大ではない。
        x = 3、y = −27 ・・・極小かつ最小である。

 
演習問題
(1)y = 12x − x の増減表をつくり、極値を調べよ。また、増減表を使用せずに第2階導関数を用いて極値を求めよ。
(2)y = x − 6x + 9x の増減表をつくり、極値を調べよ。また、増減表を使用せずに第2階導関数を用いて極値を求めよ。
(3)たて3cm、横8cmの長方形のブリキ板の四隅から、一辺xcmの正方形を切り取り、ふたのない容器を作る。
   容器の容積ycmを最大にするには、切り取る正方形の一辺の長さを何cmにすればよいか。
 

 *解答


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