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研究科長のつぶやき 2022年1月バックナンバー

2022/04/15設置
2022/01/25[情報共有(重要!)]1月31日からBCPレベル3

 昨日(1月24日)から立命館大学のBCPレベルが2に引き上げられましたが、1月31日からBCPレベルが3に引き上げられることになりました。新型コロナウィルスの感染拡大を受けてのことです。立命館大学からのメッセージはこちらをご参照ください。
 オミクロン株は重症化しにくいからといって警戒を緩めることなく、感染予防に心がけてください。
2022/01/11[情報共有(重要!)]1月6日から10日の立命館大学における新型コロナ感染者数

 大学のウェブページ(こちら)で1月6日から10日の立命館大学における新型コロナ感染者数が発表されました。14名。うち衣笠キャンパスは4名です。感染者数が増えてきています。マスク着用と手洗で感染対策をしっかりしましょう。BCPレベルはまだ引き上げられていませんが、用心が必要です。
2022/01/09[情報共有(重要!)]「PCR等検査無料化事業」へのリンク

 立命館大学のキャンパスがある自治体の「PCR等検査無料化事業」へのリンクが大学のウェブサイトで公開されました。こちらを確認してください。
 残念ながらまたしても感染拡大です。感染予防の基本を守って健康に留意してください。
2022/01/01[その他]新春メッセージ

明けましておめでとうございます。2022年もよろしくお願いします。

 みなさん、いかがお過ごしでしょうか。クリスマス前後から例年にない積雪で大変な思いをした方も多かったのではないでしょうか。佐々木は、札幌で雪で冷やした青森の酒「桃川」をお屠蘇としていただく予定です。離れて暮らしている家族とはZoomで忘年会をしました。年末には、学部時代の友達ともfacebookのビデオ機能を使って忘年会をしました。
 2021年を一文で表すと「疲れが取れない一年」でした。同じ立場に何年かいると徐々に仕事を効率化できて楽になるものですが、そうではありませんでした。コロナ禍も2年目、研究科長も2年目なので少しは楽になると期待していたのですが、そうではありませんでした。それだけ、世の中の変化が激しいということなのでしょう。
 それでも達成できたことがいくつかあります。オンラインサービスを使って達成できたことのほとんどはコロナ禍の前から可能だったものだったりします。今抱えている課題にどんな解決策があるかということをできるだけ多角的に考えながら、2022年の仕事に取り組むつもりです(といっても、個人の視野は限られていますからご批判ご意見を歓迎します)。

【学会活動】

Gengo Kenkyu Anthology Vol. 1刊行

 2020年度の発足した日本言語学会国際発信力強化小委員会では過去に和文で発表された優れた研究論文を英訳してオンラインで公開する事業を行っています。2020年度に英訳したものを2021年11月12日に刊行することができました。米田信子前委員長が2021年3月いっぱいでお辞めになって佐々木が4月から委員長をしています。佐々木が委員長になってからの英訳論文も年度内に刊行される予定です。
 英訳論文の第1弾(5本)が掲載されたGengo Kenkyu Anthology Vol. 1はホットリンクをクリックすると閲覧できます。直近の5本の会長就任講演論文(オリジナルが和文のもの)を英語で読むことができるようになっています。

講演「日本語方言研究者が英語で情報収集することの意義と情報発信することの意義」

 これも日本言語学会国際発信力強化小委員会の企画ですが、2021年12月18日に開催された「英文要旨作成ワークショップ(第二回)」で上記の演題の講演(といっても30分の短いものですが)を行いました。内容は、外国語(英語とは限らない)で発信されている海外の研究を把握しておいた方が日本語方言のデータを分析する上でも有益な視点が得られるということと、外国語に苦手意識を持っている人は情報収集や情報発信の際に積極的に補助的手段を使うべきだしそれが可能な状況になっているというものでした。近日中にYoutube上で当日の映像が公開される予定です。ちょっと恥ずかしいですが。
 海外の学会の情報をもっと受け入れた方が目の前にある方言データの価値を理解できるということについては大学院時代からずっと考えていたことです。学術的な価値があるのに見落としているデータがたくさんあるというのが現状だと思います。
 講演の中では触れませんでしたが、日本語の方言は膠着語でありながら、複合語のアクセントを除けば形態音韻論の研究が非常に少ないという奇妙な状況にあります。決して、分節音における形態音韻論的交替が標準語と全く同じというわけではないにも関わらずです。むしろ、分節音における形態音韻論的交替は地域差が現れやすいとすら言えます。それは、動詞の音便に地域差があることから明らかです。そんなわけで、2021年3月まで委員を務めた日本言語学会編集委員会では「日本語方言の形態音韻論」という特集まで組みました。しかし、特集号に掲載できたのは2本だけでした。投稿が少なかったのです。
 形態音韻論は構造主義においても生成音韻論においても盛んに議論されてきた分野です。日本語方言で形態音韻論に関する議論が盛んでないのは、海外の言語学の議論を方言研究者が把握していないからではないかと考えています。その状況をなんとかしようと思い、講演を引き受けました。
 方言研究者の中で外国語が苦手な人がいることは知っています。佐々木自身苦手意識があります。しかし、そのような人でも、Google翻訳やDeepLといったサービスを使えば海外の文献もかつてより楽に読めるようになっています。電子的に公開されている文献も多いので、いちいち外国語で書かれた文章を自分で打つ必要もありません。そのような補助的手段を積極的に使うことも訴えました。
 こういう主張は外国語教育を専門としている方からは顰蹙ものかもしれません。ただ、苦手だけれどもやらなければならないことがあるときに補助的手段を使うことはよくあることです。計算が全て暗算で行わなければならないとしたら、僕なんかは家計簿もつけられません。計算が苦手な人が電卓を使ったり、Excelの関数を使うことは日常的に見られるものです。外国語だけ特別視する必要はありません。もちろん、いくら機械翻訳の世界が日進月歩だからといっても、完璧な翻訳ができるようになっているわけではありませんので、特に専門用語などについては人力でチェックする必要があります。でも、これは、統計ソフトや表計算ソフトを使う場合でも同じですね。式そのものの妥当性は人間が確認する必要があるわけですから。
 僕の講演はだいたい上記のようなものです。公開されたら、「研究科長のつぶやき」でURLをお知らせします。

【研究・教育活動】

古い調査データの再分析の刊行

 2020年度の言語コミュニケーション学演習01で、2005年に行った北海道方言の逆使役構文に関するアンケートデータの再解釈をしました。北海道方言といっても地域によって逆使役構文の文法性判断の明瞭度に差があることを明らかにすることができました。その研究成果を北海道方言研究会第231回例会(2021年4月11日)で発表しました。受講者であった徐新鋭との共同研究です。そのときの発表を文章化したものが次に刊行される『北海道方言研究会会報』に掲載されます。  コロナ禍のもとでは、対面調査が困難なので、過去のデータの再解釈やオンライン調査のかたちで方言研究を継続する必要があります。上の発表は過去のデータの再解釈でした。これは、本当はコロナ禍でなくても行うべきことなのだと思います。上の方でも書きましたが、日本語方言には言語学的観点から興味深いデータが分析されずに残っている可能性があります。過去の研究者(これは僕自身を含む)の視野の限定により、手付かずになっているデータが結構あると思うのです。それを活かすには過去の調査資料の再検討が有益だと思うのです。上で紹介した発表はその実践の一つです。

オンライン調査の結果を調査協力者に公開

 2020年度にも行ったのですが、2021年度の言語コミュニケーション学演習01では、Zoomを使って方言調査を行いました。調査に際しては、千葉県南房総市の樋口正規さんと京都市左京区出身の松丸真大さんに協力していただきました。
 今年度はオンライン調査でいたデータの分析を公にする研究発表会をZoomを使って行い、調査協力者の方にも見てもらうことができました。このようなかたちで、調査結果で得られた知見を調査協力者に公開していくことは積極的に行うべきだと思います。オンラインのさまざまなツールはそれを可能にするものです。そして、それらはコロナ禍の前から存在するものだったりします……。

その他の研究成果

 その他の研究成果については、立命館大学 研究者学術情報データベースをご参照ください。方言の動詞活用に関する論文が掲載された本が刊行されたほか、動詞活用に関するワークショップでも発表もしました。

2020年の課題

 2022年は課題山積みです。2024年度に向けた研究科のカリキュラム改革の準備、4月からなる予定の学会の委員などなど。僕も50代後半です。人生で一番忙しい時期なのかもしれません。健康に留意しながら、がんばります。
 教育に関しては、できるだけ多くの人に言語教育情報研究科の教育を届けられるようにすることが目標です。社会人や健康不安を抱える人に教育の機会を保障するためにIT技術の活用は欠かせません。勉強が必要です。あと、ブカレスト大学との1回目の院生ワークショップ実施に向けて頑張る必要があります。研究に関しては、研究成果の活字化を昨年以上に進めるつもりです。
 コロナ禍が1日も早く終息しますように。

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