[佐藤満HomePage]
[「政策科学と政治過程論」目次]
政策内容にかかわる実質的な情報
従来の政治過程論の研究者は、先に述べたように、特定領域の専門家に等しい知識を求められる政策内容についての実質的な情報収拾は避けて来た。しかし、特定領域の政策内容について精通することが、その特定領域の政策過程理解に不可欠のものとなると、政策過程の研究者は特定の政策課題を自らのホームグラウンドとすることが求められるようになる。
サバティールが例として上げるのは、政治エリートの信条体系である。対象が特定政策について言及しない一般の政治過程である段階では、エリートの信条体系は単純な規範的・イデオロギー的整理(Putnam, pp.76-92. )であるが、特定政策のエリートを見て行く場合にはその政策問題の重要性に関する認識や、他の変数との因果関係にかかわる認識をも含むものとして分析する必要がある。政策の実質的内容にかかわって、技術的な世界での認識のありようも押さえる必要が出て来る、という話である。
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