佐藤満HomePage] [「政策科学と政治過程論」目次

エリートの役割


 政治過程論は、民主主義へのこだわりを持っていたせいか、世論や投票行動にかなりのエネルギーを割いて来たが、政策分析など特定の政策に関する研究を行って来た者は政策の形成、執行に一般大衆が果たす役割は政治過程研究者が思っているほどのものではない、という認識を持っている、とサバティールは言う。つまり、特定の政策領域で戦わされて来た議論は、一般大衆や大部分の議員達の持つものよりもはるかに専門的な、その政策にかかわる情報を要するものであった、というわけである。ここでも政策コミュニティの重要性が確認される。
 政策の視点が政治過程論に注入され、政策過程というものの見方を得たときに、同時にこの政策研究が持っていたエリート傾斜の側面をも継承していることを忘れてはならない(5)

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