[佐藤満HomePage]
[「政策科学と政治過程論」目次]
長いスパンを持つ研究
この点では、最近は政策に注目する政治過程研究者と政策そのものの研究者の意見は一致していると思われる。その理由としてサバティールは、以下のようなことがらをあげている。
まず、短期間のフォローで政策評価を行うことは無理であることが上げられる。実際にある政策を投入して、その社会的な帰結を評価しようとするならば、10年20年後のものであろう。また、政策分析などの研究が実際の政策に影響を与えるのは、政策コミュニティに属する人々の認識を変えていくという形でのいわゆる「啓蒙」型の影響であることが多い。そうだとするならば、政策研究が実際の政策に影響を及ぼし、それがいかなる帰結を産み出すかを見るには長期的な視野を持たねばならないことになる。また、ヘクロウの研究(Heclo1974)が示しているように、特定政策におけるイノヴェーションの重要性や社会経済的状況の変動、政策指向の学習などの要素の重要性が認識されてくると、これらを観察するには当然数十年にわたるタイムスパンを持たねばならないことになる。
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