ヤフー株式会社 丹羽達洋

Biographi
  • 2005年理工学研究科 情報システム学修了
  • 2006年テクノロジーマネージメント研究科 テクノロジーマネージメント修了
  • 2007年ヤフー株式会社に入社
  • 趣味 旅行。九州全県など日本各地を車で旅している。

次世代型の検索サービスを目指して。

関連検索ワードなど新しい検索技術を切り拓く

 今や数多くあるインターネット上の検索サイト。中でも、『YAHOO!JAPAN』は国内最大手のサイトとして知られている。そして、このサイトの頭脳となる検索システムの進化に力を注ぐのが丹羽達洋。開発エンジニアの彼が手がけるのは、自社独自の検索技術を活用した新しいサービスをアウトプットすることだ。

 「YAHOO !で常時やりとりされている検索ワードって、データにしてどれくらいの量かご存知ですか――それは常に何テラという凄まじい量。正確な数字は現場の私でさえ把握し切れないほどです(笑)。それで得られた膨大なワードを改めてデータ化して、検索精度の向上につなげたり、新しいサービスを考えて実現させるのが、私の主な仕事です」

 せっかくなので、YAHOO !のサイトで検索してみよう。たとえば、“立命館大学” で検索すると、検索結果の他に、検索窓の下やページの最後にこんなワードの組み合わせが登場する。“立命館大学 偏差値” “立命館大学 硬式野球部”… etc。いわゆる『 関連検索ワード』。こんなワードでも検索されています…というサービスだ。そして、これをブログ検索にも活用範囲を広げるなど、サービスの充実に丹羽が所属する開発チームは力を入れている。

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最先端を走る意識よりもユーザーの利便性向上が大事

 「関連検索をブログ検索へ導入したのは、入社1年目のことでした。まずは運用レベルの仕事をしながらシステムを覚えて、新規導入へとステップアップしていきました。先輩からは『作業で事故ったら画面全部が真っ白になるぞ』なんてプレッシャーをかけられたものです(笑)。私が所属するチーム自体が当時は発足したばかりだったので、関連検索の精度向上はもちろん、この先、どんな新しいサービスを展開していけば良いのか――ということを新人ながらも考えるような日々でした。技術的な知識については、さほど驚きもしませんでした。さすがに研究所となればハイレベルですが、大学で学んでいた技術がいろいろと使われていましたからね。特に、大学では福本先生の自然言語処理研究室にいたのですが、そこで学んだ事柄もたくさん出てきた。それなので、新しい言語を勉強したりということはありましたが、自分の中ではすんなりと仕事環境に慣れたと感じています」

 YAHOO !が検索システムの最先端技術をリードしていることに間違いはない。しかし意外にも、丹羽自身は“自らが検索技術の最先端にいるエンジニア”といった意識が薄い。新しい技術が研究される一方で、今ある技術を発展させながら、企業の資産としてどう活かしていくのかが、丹羽らエンジニアに課せられた重要なミッション。何よりもユーザーの利便性向上が彼らにとって、大きな仕事のやりがいになっている。

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社会人として必要なスキルを学んだ自治会での活動

 ところで立命館大学の在学時、丹羽は先端のIT を知識として吸収する他に、将来の自分のために何を得られたのだろうか…。

 「学生時代の話をする上で、自治会のことは絶対に欠かせません。1年の終わりから関わったのですが、ここでは基本のコミュニケーションスキルを吸収できたんです。一から企画を考えることに始まり、先輩に添削してもらいながら企画書を完成させる。そして、大学側へのプレゼンテーションで人を説得する術を学び、自身の気持ちが通じた時の達成感は本当に大きい。
とにかくそれまでは前に出るようなタイプではなかったので、自治会の活動は後の人生に大きな影響を与えたと思います」 

 実はこのコメントにIT 業界、もしくは社会を生き抜くために欠かせない、大切なメッセージが隠されている。将来像として、漠然としながらも多くがIT 業界へ進みたいと考えているだろう。その実現に向け、大学生活で養えるのは技術的知識に加えて、トータルな人間力なのだ。

 「今の仕事は新規事業的な意味合いもあって、チーム内では『社内ベンチャーだよね』なんて笑い話になります。つまり、私たちが新しい技術を考えたら企画書を作り、関連する他のチームにデモツールを使ってプレゼンし、確かな理解を得た上で具現化する。これは私が自治会でやっていたプロセスとほとんど同じ。なかなか学生時代には気づかない大切なことかもしれません」

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言葉にできない事柄をサービスとして形にすること

 将来的にどんなインターネットの世界を作りたいのか――そんな質問をすると、丹羽はしばらく沈黙した。そして、自分の将来像とからめてこう語ってくれた。

 「当然 YAHOO !というブランドを背負っているのですから、先は常に見ています。それを見られる環境もここには整っていますからね。しかし、私自身として考えるならば、まだ将来を決めたくない。子供の頃は漠然とですが、建築家に憧れもしましたし、何かを創造することは好きなんだと思います。敢えて言えば、『人々がうまく言葉にできないニーズを斬新なサービスとして提供する』という感じでしょうか。とにかく、将来を決めないからこそ、今後の自分がどうなるのかが楽しみなんです」

 “本番よりも練習が好き。そのプロセスを楽しみたい”とも語る丹羽。まさしく、日々の積み重ねが、ユーザーを驚かせる新たなサービスの源泉になっているのだ。

自然言語処理

丹羽が学生時代に取り組んだ“自然言語処理”の研究は、YAHOO!でも推進されている。その成果は「関係がありそうな人物名」を検索できる関連人物抽出技術などとして、自社の検索サイトに活用されている。

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  • クリーンで自動制御…近未来カーを自らの手で。
  • IT技術を駆使し、社会基盤設備に貢献する。
  • 次世代型の検索サービスを目指して。