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2006年度研究会報告

第3回(2006.7.15)

テーマ 観光開発をどう評価するか─ 経済学的アプローチとケイパビリティ・アプローチ ─
報告者 池本 幸生(東京大学東洋文化研究所教授)
報告の要旨

人々の「生活のよさ・正しさ」は、所得アプローチを用いないとすると、どう表現されるべきか。それは、人びとがどんな生活をしているのか(健康である、Educated, Sheltered,人間としての尊厳を持つ、自律性、・・・)というアリストテレス的基準で評価すべきである、とするのがアマルティア・センやヌスバウムのケイパビリティ・アプローチである。報告者は、ケイパビリティという概念を用いることによって、ツーリズムの評価をどこまで進めることができるのかを検討しているが、本報告ではその途中経過が報告された。

従来の経済学的アプローチの問題点を指摘したうえで、文化が単なる観光資源(金儲けの手段)ではないということを論じ、観光産業の問題点を東南アジア諸国でのいくつかの事例を通じて紹介された。参加者間で活発な意見交換がされた。

江口信清

テーマ 台湾原住民の権利回復運動と観光
報告者 汪 明輝(国立台湾師範大学教授)
報告の要旨

報告者は、台湾の先住民族(台湾では「原住民族」)の一つ、ツォウ族の一員である。原住民族の権利回復運動についての説明の後、台湾中部のツォウ族社会について紹介された。そして、観光を通じて民族としての統合を図り、自律化を試みる2つの異なった事例の比較がなされた。一つは、河川保護を通じてエコツーリズムを推進するコミュニティであり、他方は文化を見せることを主にしたコミュニティのケースである。利益配分、文化の創造、自然環境の保護、コミュニティ全体と観光客との関わりなど、面白い違いが紹介された。親族構造、他者認識、その他の点を含めて討論は盛り上がった。

江口信清

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