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2006年度研究会報告

第4回(2006.10.7)

テーマ Community-based Ecotourism in Ecuador and its contribution to the Alleviation of Povert
報告者 David Peaty(文学部教授)
報告の要旨

本報告は、2006年8~9月の1ヶ月余りにかけてエクアドルのエコツーリズムを実践する複数の集落とNGOの取り組みを調査し、分析した結果についてであった。 報告者はまず貧困撲滅のためのエコツーリズムの重要性、観光一般の正負の影響、観光と環境の関係に関する一般論、そしてエコツーリズムの定義をした。 そして、調査地を含むエクアドルの総面積が全地表のわずか1%であるにもかかわらず、地上の全植物種の44%、動物・鳥類の35%が生息する豊かな自然がそこに存在するという。しかし牧場の拡大や鉱山の開発、そしてなによりも市場経済の浸透によって多くの先住民社会では伝統的な暮らしができなくなり、貧困化が進んできた。 報告者は4ヶ所の集落で現地調査を実施したが、外部者によって創造され、所有され、経営されるエコツーリズム・プログラムが、現地のコミュニティによって創造され、所有され、経営されるものよりうまくいっていることが見出された。報告者はエコツーリズムを実践する際の問題点や提案を最後に行った。 報告者はエコツーリズムの専門家であり、他分野の参加者との活発な議論がなされた。

江口信清

テーマ マレーシアのオランアスリと観光現象
報告者 藤巻 正己(文学部教授)
報告の要旨

報告者は、マレーシアの不法占拠者を主たる研究対象にしてきたが、今回の報告では現在氏が有している5つの研究関心について、ぞれぞれの現況と問題点を説明し、指摘した。 大きな枠組みは社会的弱者とマレーシアの観光についてである。具体的に見れば、①不法占拠者や先住民が居住している土地から強制移動させられることで生じる空間や景観の転換についての観光の観点からの研究。 ②多国籍化、観光、そして変容するエスノスケープの関係性の研究。③観光と下層階級の関係やオランアスリ(半島部の先住民)、外国人労働者、そして都市の不法占拠者のような社会的弱者の関係に関する研究。 ④オランアスリ観光(オランアスリか何らかの形で関わる観光)に関する研究である。 パワーポイントを用いた豊富な新聞記事や写真を使った報告で、今後のフィールドワークの成果が大いに期待できるものであった。

江口信清

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