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2006年度研究会報告

第5回(2006.11.11)

テーマ Pro-poor Tourism 貧困撲滅のためのツーリズム
報告者 高寺 奎一郎(立教大学非常勤講師)
報告の要旨

本報告では、観光形態の中でもとくに発展途上国の貧困な人たちにとって利益の多いPro-poor Tourismの登場にいたる世界情勢の変化にはじまり、実際、この観光が事業として実施されている多様な事例の紹介までが、紹介された。とくに、この種の観光はコミュ二ティが単位になって行われる場合、多様な側面でコミュ二ティのメンバーにプラスの効果をもたらすという。ただ、一部のメンバーだけが利益を得るのではなく、開発公社のような組織を作り、これが単位になって外部の観光産業と交渉し、観光収入によってコミュ二ティの貧困なメンバーを救済するための基金を作ったり、観光に必要な衣食住の材料を地元産のものでまかなうなどの工夫が必要である。活発な意見交換がなされた。

江口信清

テーマ 現地住民と観光文化
報告者 橋本 和也(京都文教大学教授)
報告の要旨

本報告では、観光による地域づくりを進める場合、観光客の要請にいかに合わせていけるかが重要である。地元民と観光客の両者がともに満足できる「観光文化」が成立してはじめて、観光開発の意義があると報告者は強調した。そのためには、観光客が背景に持つ「文化資本」を解明する必要があり、それに対応した開発を進めなければならない。さらに、「地域文化観光」といった場合の地域性とは何か、地域と地域性の違いといった概念を日本やフィジーの観光地の事例や文化人類学の成果を交えて述べられた。観光客を迎える地元側にはなにが「売り物」になるかを知る、観光客の文化的文脈を理解している「文化的媒介者」が必要である。そして、地元民独自の時間と空間とは別な時間・空間に観光客を迎え、観光客を満足させるような「観光文化」を提供することが望ましい、と報告者は強調した。先の報告者を含めて、活発な意見交換がなされた。

江口信清

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