2007年度研究会報告
第2回(2007.7.7)
テーマ | 『Homestays for Poverty Alleviation: Runa Tupari, Ecuador』 |
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報告者 | David Peaty (文学部教授) |
報告の要旨
エクアドルの先住民集落の多くは否応なく市場経済に巻き込まれ、現金収入を必要としている。 しかし、収入の機会が限られているため、貧困の度合いがましている。その貧困を削減する試みの一つとして旅行代理店Runa Tupari(「ケチュア語で先住民に出会うこと」)がいくつかの現地組織と協力し、外部資金を借り入れて、先住民と協力してコミュニティにロッジを建設し、限られた数の観光客を受け入れてきた。観光客が宿泊で落とす金からまず、税金と外部とのコミュニケーション経費が引かれ、残りがロッジの経営者、ツアー運営者、輸送手段提供者、Runa Tupari, そして当該コミュニティに配分される。 この配分方法に見られるように、ロッジの経営に直接関わらない人も含まれるコミュニティ全体が観光の推進によって利益を受ける。ロッジの1日の宿泊者数が限定されているために、環境への負の影響も低く抑えられる。現地の人たちにとっての観光収入はあくまでも本来の生業の補足的な程度にとどめられているために、季節的な観光客数の不安定さによる影響も少ない。また、ロッジの経営者だけではなく、車の運転手、工芸品製作者、農民など多くの人たちが利益を得ることができるというように、このようなプロジェクトはコミュニティ全体の生活環境の改善に大きく貢献するという。 マイクロクレジットの仕方を含め、研究会参加者各人のフィールドの事例と比較して、活発な意見の交換が行われた。
江口信清