大学から学生に送付される案内は、現在も様々なものがあります。
今から60年前の1953(昭和28)年、当時の学生に送付された書類から2つほど覗いてみましょう。
<学生服と角帽の購入案内>
現在ではあまり見かけない「学生服・角帽」は、昭和28年当時は大学生の一般的な姿でした。立命館大学では「制服」と定めていませんでしたが、多くの学生が着用していたのです。
そのため、入学手続きの案内には、学生服・角帽の次のような申込み用紙が同封されていました。
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角帽は600円、学生服は6,000円で市販よりも25%安く購入できる予約申込みですね。
「立命館大学 用度室」とあるのは、現在の生活協同組合のように学生生活に必要な品々を安価に取り扱う部署でした。
さらに学生服はサイズについての説明書も同封されています。
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規格の単位は、吋(インチ=2.54cm)になっています。換算しますと、おおよそ現代の男性用スーツの「A体」と同じ号になります。3号は身長160cm、4号は165cm、5号は170cm、6号は175cmが目安になりましょうか。
文部科学省「学校保健統計調査」によれば、1953(昭和28)年の17歳平均身長は162.9cm、2013(平成25)年は170.7cmですので、当時は3号か4号の注文が多かったのでしょう。
現在なら5号か6号になりますね。
学生服も角帽も、任意の購入でしたから、結局何着注文があったのかはわかりません。
それでも、1954(昭和29)年の卒業アルバムを見ると、ほとんどの学生が学生服を着用していますから、皆予約したのでしょう。
1954年卒業アルバムより
<学費の案内と郵便振込のすすめ>
大学から送られた書類の中で、もう一つ「学費」の案内をご紹介しましょう。
昭和28年当時の学費額は「昭和二十九年度入学の手引」によれば次の通りでした。
※本文に「二十八年度学費は、或は、若干増額されるかもしれない。」とありますが、「二十九年度」の誤植です。
特に毎年度の授業料と維持費は、年3回に分割して納入することが可能で、その第二期目の学費納入案内(昭和28年8月25日付)は次のようなものでした。
この挨拶文に注目すると、
「いつも新学期を迎えられるに当たり学校に納めて頂くことになっています学費につきまして 遠隔地から送金される多数の方々の御便宜を図り、本学では曩に郵便振替貯金の方法による学費納入の取扱を開始しましたところ、幸に多数の方々の御利用を得まして非常に好成績を納めております。この方法は御承知の通り盗難、紛失等の虞れもなく、又払込手数料も当方で負担致します関係上最も安全且有利だと好評を博しておる次第であります」
と郵便振込を薦めていて、振込用紙も同封されていました。
当時の立命館大学は、地方出身学生の比率が高かったこともあり、郷里から送られる学費を、学生自身が大学窓口で支払う事例が多かったのでしょう。
挨拶文に書かれた「盗難、紛失等の虞れ」や「払込手数料」の話は、こうしたことを想像させます。