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  • 楢葉町に寄りそう心

産業社会学部 西崎 芽衣

よそ者だからこそできることがある。
原発20km圏避難解除の町と共に生きる。

「戻りたくても、戻ることができない」「戻りたいけど、不安で仕方ない」。
全町避難指示が初めて解除された福島県楢葉町。
その出来事に揺れる「町民一人ひとりの気持ちに寄り添いたい」と彼女は1年休学し、
一般社団法人「ならはみらい」の臨時職員になった。
震災翌年、傾聴ボランティアで同町の仮設住宅を訪れる中、彼らの複雑な気持ちを知った。
放射能への不安、インフラ整備や働き口の問題、
さらに避難先での新しい暮らしも始まっている。帰町したのは1割にも満たない。
しかし、しばらくすると帰町できなかった人と帰町した人との間に溝が生まれる。
日々深くなる溝に、彼女は危機感を募らせた。
仮設住宅を一軒一軒訪ね、町民の本音を聞く他、イベントや祭りなどを企画。
町民全体で活動する機会を設け、戻らない人にも町と繋がる場をつくった。
「よそ者だからこそ中立な立場でいられた」と彼女。
楢葉町を愛する気持ちは皆同じ。震災を機にバラバラになる姿は見たくない。
1年の任期を終えこの4月から大学に。「離れたからこそ見えることがあるはず」と
学生ボランティアの窓口になるなど、京都から楢葉町に寄り添い続けている。
大好きな町で暮らす日を思い描きながら。