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『JPPA AWARDS 2023 (学生の部)にて「音響技術部門」』において「最優秀賞」を受賞!

2023.07.3

cias/db20230622

2022年度に卒業した映像学部の西山浩暉さん(4回生*)監督の卒業制作作品『凪の唄』が『JPPA AWARDS 2023(学生の部)「音響技術部門」』において「最優秀賞」を受賞しました!
*制作時の昨年度の回生

JPPA AWARDSとは・・・・・
「(社)日本ポストプロダクション協会」が開催し、さまざまな映像作品における「映像技術」と「音響技術」にスポットがあてられたアワードです。JPPA AWARDSの「学生の部」は、未来を担う学生の創作に目を向け、人材育成や産業振興に寄与することを目的としたものです。

『凪の唄』
音響担当:上野祥さん(大学院  映像研究科2回生*)、稲田竜弥さん(4回生*)
*制作時の昨年度の回生

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受賞された監督(西山浩暉さん)、音響を担当されたお二人(上野祥さん、稲田竜弥さん)にインタビューを行いました!!

受賞おめでとうございます!!受賞したお気持ちをお聞かせください・・・

(西山さん)
大変嬉しく感じております。この作品は音楽をテーマとして扱った作品である為、その音楽の部分や音の部分を評価されたということで音に関わってくださった皆さんには感謝の気持ちしかありません。監督として、作品企画者としてこの作品を制作したことで音の重要性を再確認しました。その結果が日本ポストプロダクション協会のプロの方々から評価を受けたことでさらに映画における音の重要性を知ることができました。

(上野さん)
大変ありがたいなと思います。もちろん受賞自体もそうですが、プロの方々に、学生である自分たちの作品を観ていただき、そこにフィードバックいただける機会はそうそう無いので、貴重な経験だなと感じております。また、ここ2年間くらい稲田とタッグを組んで(私が勝手に思ってるだけかも)やってきたので、2人で担当した最後の作品で賞を貰えてとても嬉しいです。

(稲田さん)
素直に嬉しいです。
2年ほど前から音響効果部として、整音の上野さんと共に何作もさせて頂いていたのですが、初めの頃は自分の力不足でご迷惑をおかけすることが多く、ずっと悔しい思いをしてきました。今回の受賞で僅かながら自身の成長を感じることができた気がします。
そしてなにより、共に2年間ご一緒させて頂いた上野さんとの最後の作品でこの賞を受賞でき大変嬉しいです。

作品に込めたメッセージについて・・・

(西山さん)
作品に込めたメッセージとして、私は音楽には力があると思います。そして夢にも力があると思います。 二つの共通点となる力を具体的に述べると、それは「人を変える力」です。 私自身まだ若輩者ですが、その力を感じた経験が多々あります。 そこで、私は思いつきました。「この音楽と夢の力を描いた映画作品で、観た人を勇気づけることはできないだろうか」 と。そしてこの二つの力をどのように描くかを考えました。
・音楽の力=アコースティックギターの弾き語り
・夢の力 =病気にも時代にも負けずに夢を追いかける女性。
この二つのモチーフなら、自分にしか描けない作品を作れると確信しました。
なぜなら、
・私には音楽業界を目指して挫折して、映像業界を目指した経験があるから。
 ・アコースティックギターと歌の弾き語りの歌が大好きだから。
 ・病気で苦しんだ経験があるから。
そして新型コロナウイルスが感染拡大し始めから今まで、学生として日々を経験した自分がさらに何を自分らしく描けるかを考えた時、「主人公が新型コロナウイルスで 混乱する社会を経験する」ということもこの物語には必要だと感じました。以上のことが作品に込めたメッセージです。

音響効果のポイントについて教えてください・・・

(上野さん)
監督から顔合わせの時に音楽の力を表現したいという旨を聞いて、私自身も長年音楽をしてきた経験から似たことを感じていたので、そこを形にすることに注力しました。
脚本を読んで歌は同録(同時録音)でいきたいなという私の想いに賛同してくれた監督、形にしてくれた助手の皆さんにはとても感謝です。
またサウンドデザインの観点では、稲田とかなり相談して行いました。この2年の付き合いというのは短いようで長いもので、私が迷ってる時は「良いですね!」とか「これはおかしいでしょ」みたいなツッコミを的確に入れてくれるので大変助かりました。
俳優部さんの自然なお芝居に寄り添う音響演出にできたかなと感じています。

(稲田さん)
音響効果の面では、シーズンの表現に力を入れています。
同じロケーションでも季節が異なるシーンが多くあるため、気温による低域の残し方や、湿度の違いによるPropの軋み方の違いなど、単に素材を変えるのではなく、細かい部分で調整して季節感をコントロールしています。
また、現場では録音部チーフも担当させて頂きました。この作品のお話を頂いた時から「歌は同録で行きたい」という録音技師の上野さんの強いこだわりは伺っていました。プレイバックの段取り、小道具マイクの生かしなど、録音技師のこだわりを実現できるよう尽力しました。


後輩に向けたメッセージ・・・

(西山さん)
後輩たちには自分のやりたいことと観客が観たいものの違いというものを意識して欲しいなと思います。この作品に関しても、王道のジャンルでありながら自分のやりたいことと観客が観たいものの違いに苦しんで脚本を十稿以上も改稿しました。自分のやりたいことを突き詰めてやるということは学生でしかできないことなので、それを意識するのもいいとは思うのですが、結局作品は観てもらって完成するものだとも思うので観客が観たいものを意識して作品制作を頑張って欲しいなと思います。

(上野さん)
多分さんざん聞かされているとは思いますが、機材やソフトはあくまで手段でしかないということです。その先の「なにを創りたいのか」を意識すると、自ずと手段は見えてくるのかなと思います。
(といいつつ機材ばかり買っちゃう気持ちも痛いほどわかるのですが笑)
あと私もこれまでずっと言われてきましたが、短編長編関わらずせっかく映画を創るならお芝居を大事にすることが大切だと思います。
これも技術に気を遣ってばかりいると疎かになってしまうのですが、目の前のお芝居に対してどのように技術を使うのかを常に考えることが、最終的には作品を良くする近道なんだと思います。
これからも作品制作頑張ってください。

(稲田さん)
私も録音部として上京して1年目で偉そうな事は全く言えませんが、とにかくたくさんの良い音に触れてほしいと思います。そのためにも、映画をたくさん観ることは勿論のことですが、とにかく大学の機材にたくさん触れてほしいと思います。
Neveのチャンネルストリップを通すとどういう音になるのか。いつも使ってるレコーダーとマイクの間に、SIGMAミキサーをマイクプリの代わりに挟むとどう言う音になるのか。
マイクのフォーカスを変えたり、ショットガンマイクならスリッドの向きを変えるだけでマイクの持つ表情は大きく変わります。
ライセンスを取ったら、機材にたくさん触れて、芝居にあった選択ができるようになると表現の幅は大きく広がると思います。
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あらすじと予告編を公開させていただきます!以下からぜひご視聴ください。
【凪の唄】あらすじ
凪沙の夢はプロのシンガーソングライターになること。2018年。高校二年生になった凪沙はオーディションに挑戦するも、歌っている最中に喘息の発作が起き倒れてしまう。喘息を発症した凪沙は果たして夢を叶えられるのだろうか。夢と音楽の力を描いた98分ヒューマンドラマ作品。


6月2日に行われた授賞式の様子・・・
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【(左から)西山浩暉さん、上野祥さん、稲田竜弥さん】


JPPA AWARDS 2023学生の部受賞作品一覧】

【一般社団法人 日本ポストプロダクション協会ホームページ】

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